表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

まずはここから

鈴木 一真(かずま)

23才

男性

アルバイト


一真はもう二日間、何も食べていない

水だけで過ごしていた


シーチキンの缶詰めが二個だけ残っていたが、それが最後の食料だから、手をつけたくない


明日には口座にお金が入る

もう数時間の我慢だ

二日間、なるべく体力を消耗しないよう、動かないようにしていた


水だけで、けっこう生きられるもんだな


日焼けで薄茶けた天井を見ながら、そんなことを思っていた


三流大学を卒業して、フリーターとして生活している現在

親からの仕送りは無くなり、貯金もない

かつかつの生活を送っていた


ゲームにかけるお金を減らせば、もう少しましなのかもしれないが、一真は逆に食費を削ってゲーム代にまわしていた


他にやりたいことなんてない

何も考えずに、ゲームに没頭していたい

依存症なのは、もうわかっている

夜型生活が続いて、太陽の光をしばらく浴びていない


ゲーム関連のショップで、大学生の時からバイトをしている

ゲームの腕はなかなかだと思う

ゲームの大会で、優勝したこともある


だけど、それだけで食べていけるほどではない

そんな甘くはない

世界レベルの中では、趣味でやる腕前だ


友達もいるし、勉強も人並みにできたが、子どもの頃から、ひとり遊びが好きだった

昔から覇気はなかった

体調はいつもどこか調子が悪く、体力もなかった


誰かに迷惑をかけることもなく、真面目に生きてきた

電車では、お年寄りに席を譲った

親の言うとおり、特に行きたくもなかった大学も卒業した


何もしたくない

遊ぶことなら、やってみたいことはたくさんある

世界遺産を見に行ったり、ルアーフィッシングをしてみたい、とかお金があるならずっと遊んでいられる


働きたくない

時間を拘束されたくない

自由を奪われたくない

無理したくない

イヤなことはしたくない


ダメな大人だと思う

責任のある大人になんかなりたくなかったけど、勝手に年月が過ぎた


好きなことを仕事にできたらいいけど、現実的に考えて無理だ

あきらめて、嫌々やりたくもないことをして生活費を稼ぐくらいなら、何とか生きていけるくらいの収入で遊んでいたかった


でも、このままではやっていけない

病気になったりして、収入が減ったりしたらすぐゲームオーバーだ

実家に戻って、人生リセットだ


どうにかしなければ…

好きなことを仕事に、か

まず好きなこと、やりたいことをリストアップしてみよう


一真は、空腹を紛らわすように目を閉じて、集中した









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ