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5-3;やはり違う世界かな

「やっはー。どけどけ!」

「道を開けんかーバカタレ!」

「死にたいのか、ああん?!」


 そう態度悪く遠い席に座った3人組を見てコオは目を見開いた。知り合いだった。


「あいつらは、いじめっ子3人組」


 コオの目の前には、隣の客に難癖をつけたりテーブルをうるさく叩いたりいたるところに唾を吐いたりする輩だった。いつもから態度は悪かったが、いつも以上に態度が悪く見えたらしい。


〈何を驚くことがある〉

「何?」

〈お前がいないことによって調子に乗ってしまった姿だよ〉

「俺がいないせいで?」

〈そうだよ。お前は2回奴らをやっつけたんだろ? それによって奴らは面木丸つぶれになって、少しずつまじめになっていったんだ。まあ、ほとんど変わらないから見分けが付かないけどな。でも、まあ、実は変わったんだよ〉

「いや、あいつらに関しては変わっていないよ。それよりも、あいつらは俺に負けてからギルドで見かけなかったからびっくりしただけだ」

〈それが変化だよ〉


 そんな会話をしているところに、灰皿が飛んできた。コオの頭の上で灰が舞った。


「いったー、なにすんだよー!」


 その方向にはいじめっ子3人組。悪そうな顔。


「あーん? よけねえほうが悪いんだよ」

「むしろ、俺たちが投げた灰皿があたってラッキーと思わないと」

「そうそう。ありがとうございます、って言えよ」


 コオはカッチーンときた。態度が悪すぎて腹立つわけですよ。


「なんだとこ……」

「すみませんでした」


 割っていじめっ子に謝る老人。コオはその老人に見覚えがある。


「ほお、お前か。仕方ねえ、許してやるか」

「その代わり、いつもと同じことをしやがれ」

「ほら、さっさとせえ」


 そう言われると、老人は身をかがめて、いじめっ子たちの靴を舐め始めた。その動きには抵抗のようなものはなく、やって当たり前の奴隷そのものだった。その様子を見てコオはショックを受けた。いろいろな意味でショックを受けたのだが、一番ショックだったことは、それはウロじいさんだったことだ。


「ウロじいさん……?」


 コオは立つ力がなくなって。空気がなくなったかのように座り込んだ。


〈さっきのいじめっ子は君のことを知らなかっただろ? それも君がこの世にいないことの証拠だ〉

「そんなことはどうでもいい」

〈そんなことって、自分の生まれていない世界の証拠だよ〉

「そんなことより、なんでウロじいさんがあんなことになっているんだ!」


 いじめっ子にいいように嘲笑と暴力を受けているウロを見ながら、コオは怒りを噛み殺しながらワナワナと震えていた。そんなそんなそんな、と呟く。


〈ああ、あの老人のことか。そういえば君の知り合いだったね〉

「そうだ。そのウロじいさんがなんであんなことになっているんだ!」

〈それは簡単だよ。君がいなかった結果だよ〉

「なんだと?」


 コオは静かに妖精を睨んだ。無責任に自分のせいにされたことが気に食わなかったらしい。


〈そんな睨むなよ。わたしは何も悪くないよ〉

「俺がいなかった結果というのは、どういうことだ?」

〈昔、君があの老人の道具屋で働いていただろ? そのときに老人が間違えて毒薬を客に出したことがあったはずだ。そのとき、君が信じてもらえなかったから怒られながら自分で毒薬を飲んで止めただろ? その君の出来事がなくなったんだよ。つまり、老人は毒薬を客に出してしまったんだ〉

「そ、そんな」


 コオは血の気を失った。そして思ったことが、本当に別の世界なのか?ということだった。


〈それで毒殺してしまって牢獄行きさ。もちろん、道具屋は潰れて家族や親戚からは縁を切られた。そんな老人が殺人の意図がないという理由で牢獄から出れたとしても、どう生きろと? そんなもの、ああいう汚れ仕事しかないさ。ちなみにあの仕事は、みんなのストレスを……〉

「もういい」

〈……え?〉

「もういいと言っているんだ!」


 そう言うと、コオは椅子から飛び上がり、ギルドの外に向かった。イライラで頭がおかしくなりそうだったようだ。

 ――


「待ちなさい」

「無銭飲食ですよ」


 コオたちは扉の前で急に止められた。眼鏡の警備員と受付のお姉さんだった。


「そ、それはすみません」

「おや? どうやら悪いやつではないようだな」

「では、お金を払った後に冒険者として登録してみるのはいかがでしょうか?」


 2人ともコオを覚えていなかった。


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