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はじめに

○はじめに



「どうか、助けてください」

「神様、お願いです」

「自分はどうなっても構いませんので」


〈あれが例の男かい?〉


 私は同僚に尋ねた。

 同僚は「yes」と事務的に答えた。

 私も事務的に見続けていた。特に興味があるわけでもなく、仕事だから見ていただけだ。これだから仕事は嫌である。

 私は神であり、様々な世界を見ることが仕事である。私の同僚たちもその仕事に追われている。

 今、私は職場での評価が低い。悪者を間違えて救ってしまって世界を1つ滅ぼしてしまったり、正義の味方をうっかり下痢状態にして悪者に負けさせてしまったり、悪者の強さを気まぐれで強くしすぎて誰も勝てないようにしてしまったりした。

このままでは神様をクビになってしまう。

 そんな私に上司から指令が降りた。ある人物を正しく救う、という指令だ。その指令のために、私はその男について調べる必要が出てきた。

 その男というのは、今にも自殺しようとするものだった。正直言って、自殺者なんか今まで何人も見てきたから、今更興味などなかった。しかし、自分のクビがかかっている状況での上司からの指令だ、断ることはできない。だから、嫌々ながら事務的に神の仕事をしようとしているのである。

 さて、そうはいっても、今の自殺しそうな男の姿を見ただけでは、どう救えばいいのかわからない。ややこしいのが、正しく救う、という言葉の、正しく、という部分である。ただ自殺から救うだけなら、不老不死にするなど、いくらでもやりようがある。しかし、それでは正しくないのだろう。そういえば、その不老不死にしたものが魔王になって地獄となった世界もあったなあ……

 とにかく、正しく救うためには、そのものが抱えている問題を知ることが必要だ。そのためには、その男の過去を知る必要が出てくる。だから私は、その男の過去を見ていこうと思う。

 ああ、仕事って面倒くさい。

 でも、クビになりたくない。

 楽して生活したい。

 ……

 巨大なスクリーンに映像が流れ始めた


〈あっ、始まった始まった〉


 背もたれにリラックスしながら私は男の過去を見始めた。


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