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「でもねベアトリス。僕も耳を疑ったが、ローザリアに付けている王家の使用人達から、君がローザリアに対して行った様々な嫌がらせの話を聞いているんだ」


聞けばローザリア様がわたくしに水をかけられたとか、白い服にインクを付けられたとか、靴を隠されたとか。子供の悪戯以下の嫌がらせでした。


「全く身に覚えのないことですが、ローザリア様がそうおっしゃっているのですか?」


わたくしがローザリア様の方を見たところ、ローザリア様は戸惑っているように見えました。


「ローザリアは実際に被害はあったと言っているが、自ら王太子妃である君を告発できるはずがないだろう。使用人達が見るに見かねて打ち明けてくれたんだ」


つまりわたくしは使用人達の証言だけであらぬ嫌疑をかけられているのでしょうか。


「殿下はわたくしより使用人のいうことを信用されるのですか?」

「君とは短い付き合いだが彼らは長く仕えてくれている者達だよ。どちらを信じるかなんて火を見るより明らかじゃないか」


あまりの言い草に悲しくなってきました。

わたくしが使用人達を見ると、明らかな敵意を向けられていました。


「私達が嘘をついているっていうの?」

「王太子妃殿下が確かに大聖女様に水をひっかけるのを見たのに」

「平民の扱いはいつもこうなんだから」


王太子様はそれを手で制しました。


「僕は君たちを信用しているから。あまり言っていると不敬などと言われてしまうよ」


そんなやり取りをしていると兵士がわたくしの侍女達を連れて戻ってきました。

王太子様が侍女達に厳しい口調で問いかけました。


「先程、ベアトリスが大聖女を狙って部屋のロフトから鉢植えを落としたという証言があってね。ベアトリスは部屋で読書をしていたというが本当だろうか」


侍女達は困った顔をしていました。肯定するだけで良いのに、何を迷っているのでしょうか。


「いえ、王太子妃殿下は突然ロフトに出る扉を開けるよう命じられ、ロフトに出て行かれました」


侍女は読書をしていたという部分の肯定ではなく、誤解を受けそうなことを言うので、わたくしは詳しく申し上げることにしました。


「何かが割れたような音がしたので気になって見に行っただけです。大きな音でしたからあなた達も聞いたでしょう?」

「いえ、そのような音は聞いておりませんし、王太子妃殿下がロフトにお出になってから、確かにロフトにあった鉢植えがひとつ消えておりました。王太子妃殿下以外にそれを落とせる者はおりません」


そう言ったのは兵士が勝手に部屋に入ったことを非難してくれた侍女でした。なぜそのような偽りを述べるのでしょうか。

わたくしは膝がガクガク震えて立てなくなりへたり込んでしまいました。


「それみたことか。今証言したのはお前が馬鹿にしている平民の使用人ではなく、由緒ある貴族の家柄の侍女だぞ。もはやお前の嘘など信用する者など誰もいない。早くローザリアに謝れ!」


ユリシーズ様が勝ち誇ったようにそう言いました。


王太子様が冷たい目でわたくしを見ました。


「ベアトリス、僕は残念だよ。妻である君をどこかで信じたい気持ちがあったのに。国家の宝である大聖女に害を成した罪が軽い罰で済むとは思わないことだ」


わたくしは茫然自失していて、言葉を返すこともできません。

見るに見かねた様子でローザリア様が両手で王太子様の手を握りました。


「私は気にしていませんから。どうか王太子妃殿下を咎めないでいただけませんか」


またしても王太子様とローザリア様が見つめ合う形になりました。


しかし王太子様は首を横に振りました。


「慈悲深い大聖女ローザリア。罪には罰を与えないといけない。使用人達も勇気を振り絞って話してくれたんだ。それに応えないと王家の者としての示しがつかないよ」


ローザリア様はあっさり引き下がりました。

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