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扉を開けたとたん3人の兵士が挨拶もせずに入ってきました。

それはとても王太子妃への態度とは思えず、わたくしは目を丸くしてしまいました。


「何事ですか。王太子妃殿下の私室ですよ?そうでなくとも女性の部屋にずけずけと入り込んでくるなんて」


あまりのことにわたくしが声を出せずにいると、侍女の一人が抗議してくれました。


「誠に申し訳ございません。王太子殿下がお呼びですので、急ぎご同行いただけないでしょうか」

「殿下の使いですって?」


まさか王太子様がこのような粗雑な兵士にわたくしの案内をさせるなんて。


「急ぎお連れせよと厳命されておりまして、ご無礼は承知で何卒お願いいたします」

「殿下はどのようなご用件なのでしょうか」

「それは直接殿下からお聞きください」


兵士は焦っている様子でしたので、わたくしは渋々了承するしかありません。


「わかりました。殿下の元へ案内してください」


わたくしは見送る侍女達の好奇の目に晒されているように感じながら兵士に囲まれて部屋を出ました。




兵士に案内されたのは大聖女様が座り込んでいた場所で、わたくしが先程上から見ていた時と同じ顔ぶれの方々がそのままいらっしゃいました。


兵士がわたくしの到着を告げると皆様が一斉にわたくしを見ました。


ここはわたくしの部屋のロフトの真下になります。上からは侍女達がこちらを見下ろしていました。


大勢の視線に晒されてわたくしは嫌な予感がします。


よくよく考えれば身ひとつで連れ出されています。兵士に囲まれたままですが、彼らは護衛のためではなく逃走を防ぐかのようにわたくしを見張っています。


王太子様はあの夜より恐い目をしていました。


「ベアトリス、なんてことをしてくれたんだ」


わたくしは王太子様が何を言っているのか全くわかりません。黙り込んでしまうと、苛立つように王太子様は声を荒げました。


「何を黙っているんだ!君のせいてローザリアが怪我をしたんだぞ!」

「ローザリア様が怪我をされたのですか?」


黙っていると怒られたので慌てて返事をしましたが、わたくしの聞き間違いでなければ王太子様はわたくしのせいと言いました。


王太子様はますます激昂して、わたくしは肩を掴まれました。王太子様はわたくしの部屋のロフトを指差しました。


「何を白々しい。君があそこからローザリア目がけて鉢植えを落としたのを見ていた者が複数いるんだ!」


全く身に覚えの無い言いがかりに、掴まれた肩の痛みもあって涙が出てきました。


「何を泣いているんだ。君は取り返しのつかないことをしたんだぞ!」

「わたくしは鉢植えなど落としておりません」


やっとのことで声を出しましたが、全く取り合ってもらえそうにありません。


「あくまでしらばっくれるつもりか」

「わたくしは部屋で読書をしておりました。侍女達が証言してくれるはずです」

「君達、ベアトリスの侍女達を連れてきてくれないか」

「かしこまりました」


王太子様はわたくしの肩から手を離しながら、先程の兵士達にそう命令しました。


「兄上、ご自身の伴侶に何を遠慮しているのですか」


痺れを切らした様子で第二王子のユリシーズ・デニス・トルマリン様も近づいてきました。


「お前がローザリアに嫌がらせを繰り返してきたことはわかっているんだよ」


ユリシーズ様はとんでもない言いがかりをつけてきました。

しかもお前呼ばわりなんて失礼極まります。


「わたくしはローザリア様に嫌がらせなどしておりません」


わたくしも少し頭にきたのではっきりと言って差し上げました。

しかしユリシーズ様は鼻で笑いました。


「証拠はあるのに白々しいんだよ」

「ユリシーズ、一応君の義姉に当たるんだから口の利き方には気を付けないと、君自身が品格を疑われるよ」


ご自身のことは棚に上げて王太子様がユリシーズ様を嗜めました。

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