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24 ローザリア視点①

私はローザリア。この世界の人達に大聖女と呼ばれてます。今年で15歳です。


私はライムストーン辺境伯領の商家に生まれました。


ライムストーンは広大な穀倉地帯を領有していて古くから農業で王国を支えてきました。


実はその裏で石灰岩が大量に眠っている島を保有していて、その石灰岩を産業利用することで技術発展してきました。これは領地の重要機密です。


私の実家は石灰岩の仲買人をしていて、それなりに裕福な家庭でしたが、お父さんもお母さんも忙しくて、楽しい家族の思い出はあまり無いです。


私は物心付いた頃から、自分の境遇に違和感を覚えて生きてきました。なんとなく好きになれない親、価値観の合わない友達、理解し難いことを教える教師、毎日の生活も食べる物も、何となく全てが受け入れ難いんです。


その理由を知ることができたのは、ほんの一年前のことです。


ある晩、ふと自分が別の世界を生きていた記憶を思い出したんです。自分が何故死んだかは覚えていないしどうでもいいことだったけど、私は異世界の人間だったんです。


私は納得しました。この世界はファンタジーの世界だったんです。それなら現代日本に生きていた私が不便に感じたり価値観が合わなかったりするのは当たり前でした。


しかし、納得しても私の生活は特に変わりません。私は世界に失望し始めていました。


ところがある日、私はライムストーン辺境伯から屋敷に呼ばれました。


そこでラピス教会の司教という人から、私が次代の大聖女であると神様のお告げがあったと言われました。私は世界を守る特別な存在だって。


先代の大聖女が寿命を迎えるので、練習して大聖女の結界と回復魔法を身につけるように言われました。


今思えば、前世の記憶を思い出したのは、その天啓があった日だったんです。


特別な存在と言われた私は得意になって頑張りました。結果、先代の大聖女様が亡くなる前に修行を終え、大聖女として胸を張れる立場になりました。


でも、私の苦難はそこが始まりでした。


結界の維持を先代の大聖女から引き継ぎ、教皇様から大聖女として周知されてから暫くして、私はトルマリン王国の王城に滞在することになりました。


そこで王家の人と顔を合わせているうちに、私はあることに思い至りました。


この世界は私が昔やり込んだ「大聖女×大戦争~100カラットの恋~」というゲームの世界そのものなんです。


それに気づいた時、私のこれからの行動は決まりきっていました。


割と気に入ってやり込んでいたゲームだったけど、どうしても納得いかないことがありました。


それはトゥルーエンドの攻略対象だったアルフレッド。


政略結婚を我慢してとかいう設定だったけど、16歳の健気な年下の女の子をお嫁さんにしてるのに、後から現れた別の女に手を出そうとする腐った性根の男です。


16歳ですよ?まだ子供だし、多感な時期に彼女だって政略結婚させられて不安に決まってるじゃないですか。


それでお嫁さんの気持ちを追い詰めて罪を犯させてしまったのに、追い出される所を全く庇わずに別の女と結ばれて喜ぶストーリーが理解できなかった。


実際に会ったアルフレッドは一見人が良さそうに見えたけど、時折私を見る嫌らしい目つきを感じました。


逆に私に嫌がらせをするはずのベアトリスはお姫様って感じのとっても可愛い子で、身分も高いのに嫌な感じがしないとっても良い人でした。


でも、普通にしてると私が魔力を失って結界が消失してしまい、アルフレッドと結ばれないとたぶん私は死ぬことになる。でも、あんなのと結ばれるのは絶対に嫌。


そんな私の目指す道は隠しルートしかなかったんです。


隠しルートなら誰とも仲良くしなくて済むし、そのまま好きにしてたら魔の島って場所に流されて、あのイケメン魔王と結ばれることができる。


でもね、実際には分かってても上手くいかないものなんです。


私はこの世界でリアルに生きてるんだけど、魔の島とか魔王とか本当にいるかどうかわからないんです。


王宮の図書館でもいろいろ調べましたけど、命を賭けれる程の確証があるわけじゃないですよね。


だから確信的に人を避けては行動できなくて、結局のところアルフレッドやユリシーズにいきなり気に入られてしまいました。


その辺りから、私の身の回りに不可解なことが起きていました。

この小説はアルファポリスに以前から投稿している作品です。全59話完結済。

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