表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/26

現実逃避するわけではないのですが、再び物語を読み進めることにしました。


その時、外からガシャンという陶器が割れたような音がしたような気がしました。


気になったわたくしは侍女に言ってロフトに続くドアを開けてもらいロフトに出ました。

わたくしの部屋は王城の2階になります。


ロフトの端から階下を見下ろすと、ちょっとした人だかりができていました。


中心には白いローブを身に纏った女性が座り込んでいます。

ここからでは顔まではわかりませんが、その服装からわたくしが輿入れしたのとほぼ同時期に賓客として滞在している大聖女ローザリア様です。


トルマリン王国ではラピス教が強く信仰されています。ラピス教は創造神ラピス様を信仰する一神教で、王国中に教会の支部が存在しています。


王都の大聖堂にある教会本部には教皇様がいらっしゃいますが、王国に絶大な発言力をお持ちで巷では政教一体などと言われているそうです。


大聖女ローザリア様はそのラピス教会に所属されていて、わたくしとそう歳の変わらない若干15歳にして神秘の力により王国を悪しき者から守護しているそうです。


悪しき者というのが良く分からないのですが、王国の外には魔族という者達がいて、代々の大聖女様が結界を張らないと侵略してくると言い伝えられています。


トルマリン王国の建国以来の約700年間そのようなことは起こっていないので、かなり古い文献にしか記載されておらず、本当にいるかどうかもわかりません。


また、大聖女様にはどんな傷や病も癒す力があり、神秘の力は代々ひとりにしか引き継がれないらしいので権力のある方しか癒してはいただけませんが、それらの大聖女様の力がラピス教会の立ち位置に強く関わっています。


わたくしはそう家庭教師から教わりました。


ローザリア様は昨年に先代の大聖女様が亡くなられる前に、ラピス様の神託により大聖女になられたばかりです。


最近になって大聖女としての勉強を終えられたらしく、王城に滞在して王家の方々と顔合わせをされています。わたくしも一度だけお話させていただきました。


元々平民のご出身だそうですが、儚げで美しい容姿で、とてもそうは見えません。とてもおっとりした優しそうな方で、わたくしもとても好感が持てました。


ラピス教は聖職者の婚姻を禁じておりませんので、第二王子様のお相手になるのでは、などとも噂されています。


大聖女様が王家に嫁ぐのは珍しいことではなく、実際に先代の大聖女様は王太后、つまり現国王様のお母様に当たります。


むしろ、国を守護する大聖女様を妃に迎えるということは次期国王への近道と言えるかもしれません。


そんなローザリア様が地面に座り込んでいるのです。ここからでは見えにくいのですが、近くでツボのようなものが砕けていました。先程の音はそれでしょう。


ローザリア様の側には王太子様や第二王子様とその側近達が集まっていました。

誰かがこちらを指差しています。


王太子様が差し出した手を借りてローザリア様は立ち上がりました。

良かった、特に大事ではなかったようです。大聖女様に何かあったら大変です。


ローザリア様が立ち上がる際に王太子様とローザリア様が見つめあっていたように見えたのが少し気になりましたが、わたくしは読書の続きを始めようと部屋のソファに戻りました。


部屋の外の廊下が騒がしくなってきました。複数の足音が近づいてきます。


ドンドンと乱暴にわたくしの部屋の扉が叩かれました。王太子妃であるわたくしの部屋にそのようなことをするのは余程のことです。


わたくしは慌てて侍女に扉を開けるように言いました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

王太子妃なのに冤罪で流刑にされました 〜わたくしは流刑地で幸せを掴みますが、あなた方のことは許しません〜

完結作品 全59話

アルファポリスHOTランキング 最高3位



伯爵令嬢は身の危険を感じるので家を出ます 〜伯爵家は乗っ取られそうですが、本当に私がいなくて大丈夫ですか?〜

連載中 現在15話

アルファポリスHOTランキング 最高5位



アルファポリス
https://www.alphapolis.co.jp/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ