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交彩アイソーン  作者: 矢口間也(やぐち まや)
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第9話 初ダンジョン

ギルドに登録した翌日の早朝、俺と紫はダンジョンの入り口に到着していた。見た目は荒削りなトンネルって感じだが空気が出入りを繰り返している、まるで呼吸するかのように。



「雰囲気あるな、見た目もまずまずだ。暫定70点!」

「何の点数?」

「俺が楽しめれば点数が上がります。90点を超えるとお気に入り登録されます。」

「わたしは何点?」

「紫は100点満点さァ!俺から離れたいって言っても離さねェから覚悟しとけよォ。」

「上等、わたしも蒼は100点だと思ってるよ。もし死んでも生き返らせるからね。」



俺たちはお互い笑い合い軽い足取りでダンジョンへと潜っていった。



「真っ直ぐじゃねェな、どんどん降りていってる。」



地形データを万能端末で収集解析しながら奥へと進んでいく、周囲はすでに外からの光が届かず真っ暗であるが元々夜目が利くことに加え、蒼のスキル『修羅の眼』、紫のスキル『夜叉の眼』の効果の一部により一切の問題なく行動できている。



「貰った冊子が正しいなら交互に折れ曲がりながら下っていく構造になってるみたい。B2Fまでは魔物はいない、B3Fからはゴブリン、吸血オオコウモリ、アラネアなどの魔物が生息、少数だがスケルトンも確認されている。比較的新しいダンジョンで最高到達点はB17F、最奥は未到達。…だって。」

「アラネアってどんな魔物なんだ?他はなんとなくわかるんだが。」

「写真とか絵がないからはっきりしないけど文字の説明だと大きなクモの魔物っぽいね、出血毒とか麻痺毒を持ってるみたい。」

「そいつは危険だな、場合によっては即時撤退もあり得る。周囲警戒、行くぞ。」

「了解。」



B3Fに着いてすぐ魔物の気配を感知した。90m先に反応が八つ、この感じはゴブリンだ。紫に目配せをしお互いに魔術を展開する。



「「氷鋭柱(アイスランス)」」



俺と紫の背後の空中に太く尖った氷塊が四つずつ出現し高速でゴブリンに向かって射出される。寸分の狂いもなくそれぞれのゴブリンの頭部を破壊する。声の一つもあげることなくゴブリンは絶命した。



「完了。…やっぱすげェな魔術、国にいた頃はこんなことできなかったのに。」

「そうね、もっと洗練させれば戦争事情を一変させられるかもね。」

「おまえまでそーゆーコト言うなよ。」

「冗談。」



軽口はほどほどにして奥へと足を踏み入れる。B10Fに到着した瞬間、空気の違いを肌で感じた。70m先に反応を感知、修羅の眼で望遠し姿を視認、簡易解析(スキャン)で相手のステータスを確認する。



名無し(アラネア種) Lv29 状態:健康

スキル

操糸

毒生成(出血・麻痺)



名無し(スケルトン種) Lv33 状態:健康

スキル

剣術

直感



「ゴブリンとコウモリから随分と強くなったな。」



B9Fまではゴブリンと吸血オオコウモリしかおらずレベルも一桁ばかりだったのにここで一気にレベル30超えが出現してきた、行動にも一層慎重さが加わる。



「レベル30がどのぐらいの強さなのかわからん、少し強めにいくぞ。」

「了解。」



俺と紫はゴブリン共に撃っていたものより硬く速くなるよう魔素を練り上げアイスランスを出現させる、その瞬間。



「!!」



スケルトンがグリンッと首をこちらに向けた。



「ッチ!?撃て!」

「了解!」



バレたと確信した瞬間、アイスランスを撃った。紫が撃った四本は全てアラネアに突き刺さり絶命させる。だが俺の撃った四本は三本が回避され一本は左腕を砕いたがスケルトンは意に介さずこちらに走ってくる。右手にはショートソード。



影縄捕縛(シャドウバインド)



俺の魔術が発動しスケルトンの全方位から黒縄が飛び掛かり全身を縛り上げ空中に固定する。



「すまない、外した。」

「いえ問題ありません、カバーの必要もありませんでしたし。」



黒縄をそのまま締め上げていきスケルトンをバラバラにする。黒縄を消すとゴブリンよりも大きい魔石が地面に転がった。それを拾い上げ次元収納にしまう。



「紫も見たと思うがこのスケルトンはスキルに直感というのがあった、多分それで俺の魔術か自分の危機を察知したんだろうな。」

「うん、その可能性が高いと思う。…もしくは種族とレベルの関係性の方。」

「そっちは勘弁してほしィなァ。」



これは前々から紫と相談していたことだ。レベル差は大きいがそれは強さに直結しないという点、簡単に言えば十才の人間と十才のライオンが戦えばライオンが圧勝するように、レベル10の人間とレベル10のゴブリンではゴブリンの方が強いのではないかと。



俺たちはレベル800を超えているが人間より遥かに強い別種族ならレベル10相手にも負ける可能性はあるということ。だから今、紫はスケルトン種レベル30超えで俺たちに近い戦力なのではないかと低い確率ながら否定しきれていない。



「祖国じゃ元人間ながら兵器とまで言われた俺たちがこの世界だと弱者かァ…。」

「あくまで可能性だからね、わたしは直感スキルだと思うけど。」

「俺もそうだがスキル一つで作戦が左右されるって新たな問題も出てきた。…あァー、少し休憩しよう。」

「そうね、真っ暗でわからないけどもうお昼過ぎね。ごはんにしましょう。除魔壁(タリスマン)



紫が魔物避けの魔術を展開し、その中で昼飯にする。現在B10F、最高到達点のB17Fまで今日中にはいけるかなと俺は考えていた。



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