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交彩アイソーン  作者: 矢口間也(やぐち まや)
23/23

第23話 王都①

「うむ、何度来ても我らが王都は賑わっているな!」



報酬を貰った後、結局女王セエラノの案内で王都を歩いている。離れたところからバラバラで兵士が六人付いてきている。女王の言葉や兵士の様子から日常的に抜け出しているんだろう。



「二人とも!この店なんだがな、うちの貴族が出資して素材や料理人に力を入れている割りにそんなに美味くないんだ、笑えるだろ!」



店の前で堂々と不味いなんて営業妨害もいいとこだな、だが事実のようで人入りは悪い。料亭『星が煌めく一瞬の永遠(ティンクルデリシャス)』。……今までとは別のベクトルでセンスやべェな。



「値段が高いなら美味いなんて考える無知なガキみたいな貴族でな、王都は貴族こそ他の街よりは多いがやはりメインは民だ。民はそんな高い飯は食わん、それが理解できないのだ。借金が嵩んでこの前謹慎を命じて領地に押し込めてやったわ!」



ガハハの大口を開けて笑ってる。すれ違う人たちも生暖かい視線を向けたり、くすくす笑ったりしている。慣れてるんだろう、こういう女王だと。…住んでて不安にならないんだろうか。



「よし!着いたぞ。安い・多い・美味いの三拍子揃ったアタシのおすすめの大衆食堂『迷うな!入れ!』だ!」

「一番まともな店名だな。」

「…そうかしら?」

「おやっさーん!三人!テーブルで!」

「声でけーんだよ陛下!端のテーブルしか空いてねーからそこ座っててくれ!」



女王はズンズン入っていってテーブルにつきこっちを手招きしている。女王が目立ち過ぎてるので俺たちにも視線が刺さるがスルーして席に着く。



「鹿肉が一番おすすめなんだがどうする?猪や狼もあるが?」

「わたしは鹿肉を。」

「俺は猪にするかな。」

「なら後は適当に摘まめるモノを頼むぞ!おやっさーん!ちゅうもーん!」

「うるせーっつってんだろーが!今行くよ!」



店の奥からムキムキゴリゴリの大男が対比的に小さい紙を持ってやってきた。料理人なのか?



「蒼殿、紫殿、紹介しておこう。この店の料理人でギガトンさんだ、見たらわかるが人間かどうかちょっと怪しい体躯だがすげーいい人だ。困ったら頼るといい。」

「これ以上頭痛の種を持ち込むな、月一で女王が食いに来るってだけで俺は腹一杯だよ。……ギガトンだ、よろしくな。」

「よろしくな、蒼だ。」

「紫です。」

「おう!」

「よし!で、注文がな、……。」



女王は適当に注文してギガトンはのっしのっしと去っていった。



「戦争してるとは思えないくらいゆっくりと時間が流れてるな、王都は。」



女王にそう言うと目を少し細めて声のトーンを落とした。



「情報統制してるんだよ、王都の民はまだ戦争を知らないはずだ。だがルルディエルの被害があったし時間の問題だろうがな。」

「アーカム帝国ってのはそんなにこの国が欲しいのか?」

「おそらくはダンジョンだろうな、帝国にはダンジョンがない。資源に乏しく国力も弱かったんだ、一年前まではな。」

「何か転機があったのか?」

「異界より四基の強力な兵器を呼び出したと言われている。その兵器を選ばれた人間が持つことで真価を発揮し一騎当千の(つわもの)となるそうだ。同盟国からの又聞きだから真偽ははっきりせんがな。」



なるほどねぇ。



「だが実際帝国はオルゼイ王国を落とし属国としている、異界の兵器かどうかは知らんが軍事力が格段に上がる何かがあったのは間違いなく事実だろうな。」

「お待ち!ご注文の品だよ!」

「おっ、きたきた!」



テーブルに料理が並べられる、女王のお墨付きなだけあってかなり満足のいくものばかりだった。





★★★★★★★★★★★★★





食堂を出ると兵士が走ってきて女王は耳打ちされると顔をしかめて城に戻らなければならなくなったと言いその場で別れた。宿には兵士の一人が案内してくれ一番良い宿の一番良い部屋をとってくれた。宿泊費は後払いで王家が支払うので何日でもゆっくりしてくださいと言い兵士は戻っていった。



「王都ともなれば宿の質も上がるな、まァ祖国とは比べるまでもないけどなァ。」

「充分じゃない?わたしは問題ないよ。…ところでさっきの話だけど。」

「四基の強力な兵器と選ばれた人間だとよ、…あの女だと思うかァ?」

「どうだろうね?一般兵と比べれば強いけどわたしたちなら完封できるからね、正解とも不正解ともとれる。」

「そこでェ、ここにあいつの持っていた大剣があります。」



糸で拘束して直ぐに没収していた大剣を次元収納から出す。



潰大剣ニコラ(破壊不可 未覚醒)



詳細解析(アナライズ)で見てみると明らかに普通の武器ではなかった。俺たちの刀にも付いてる破壊不可がある、おまけに未覚醒なんてのも。




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