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交彩アイソーン  作者: 矢口間也(やぐち まや)
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第21話 女王セエラノ

チェスター女王国王都、名前はないらしい。街はたくさんあるが王都はひとつだから必要ないそうだ、ふむ、合理的だな。幅広の大通りを城目指して一直線に兵士たちと一緒に歩いていく。この道は途中に三つの門があり城に直通していると兵士が歩きながら教えてくれた。



うん、実によくない造りだ。見た目こそきれいだが攻められれば短時間で城まで攻め入られるだろう、三つ門を閉めたところで大したことはできないと思うが何かあるのだろうか?こういう造りにした理由が。考えても仕方ない…か。思考を打ち切る。



城に外縁に着く、跳ね橋は下げられたままであり城内に入る。中庭を通ったとき少し驚いた。花でも植えているのだろうと思っていたのだが植えられてえたのは野菜だった。大小色鮮やかな実が成っており、数名の女性が収穫をしていた。



「驚かれたでしょう?」

「あァ、城の中庭だよな?ここ。」

「私も初めは驚きました。女王陛下の命だそうです。最初は花を植えていたらしいんですが『花なんか食えん、食えるものを作れ。』と言われたそうで。」

「そりゃァまた現実的というか剛毅というか。」

「…大きな声では言えませんが優秀な方ですが変人も言われる方です。おそらくお二人とも謁見することになります、失礼のないようにお願いしますね。」



談話室とやらに案内され指揮官の兵士は、先に行って報告をします、後から呼ばれると思うのでこちらでお待ち下さい。と言い出ていってしまった。手持ち無沙汰になり部屋の調度品を眺めているとノックがされ女給が入ってきた。



「紅茶をお持ちしました。」

「あァ。」

「ありがとう。」



ワゴンの上でカップに紅茶を注ぎ、テーブルへと運ぶ途中で女給は躓きカップはトレーを離れ俺と紫に飛んで来る。紫にはカップに続いて女給も飛んで来る、…左手にはナイフを持って。



近くにいた紫がカップをかわして女給のナイフを叩き落とし床に組み敷く、俺がカップを二つとも紅茶をこぼさずに受け止める、紫が女給の両腕をひねり上げ肩を脱臼させる。ゴリンッと大きな音が鳴った。



「ギッ!」



へぇ、悲鳴は上げなかったか。かなり痛いはずなんだが。俺はカップを持ったまま近付く。女給は大きなため息をついた。



「はあー負けた、報告の通りマジで強いんだなお前ら。アタシのこの不意討ち、回避こそされたことはあるが反撃してきたのはお前らがはじっ、アッツァー!!」



俺は紅茶を女給の頭にかけた。脱臼は我慢したのに紅茶は我慢できねぇのか。俺の分の紅茶はなくなったので紫の分の紅茶も追加でかけてやる。



「アッツァー!!熱いっての!拷問か!?」



女給は頭を振って冷まそうとしている、が、頭を振る度に肩が痛むようで声を我慢している。俺はワゴンに乗ってるティーポットを持ち女給の眼前にしゃがみこむ。ニコニコ。



「いやいや!待って!誰か人呼んで!そしたら勘違いだってわかるからさぁ!」



女給は顔を青くして助けを乞う。ニコニコ。



「知ってるよォ、ナイフは偽物、お宅も女給の偽物。さて問題です、今の俺の笑顔は本物?偽物?どっちでしょう?」



ニコニコ。



「えっと…、不愉快を隠してる笑顔だから偽物?」

「ブッブー外れェ、答えは一国の女王に合法的に紅茶をぶっかけることが楽しくて笑ってるので本物の笑顔でしたァ!」



ティーポットの紅茶を全部ぶっかける。



「ウォアッツァー!!」

「陛下!ご無事で、あぁ…遅かった。」



部屋に飛び込んできた指揮官が見たのは組み敷かれた女給が紅茶をかけられてる異様な光景だった。そして指揮官はォと女給しかいない部屋で陛下と言った。まぁ俺たちはこの女給の正体は分かっててやったんだが。



セエラノ・グリセア・チェスター

24才 女 Lv91 人間 状態:軽傷

スキル

王の威光

短剣術 剣術 槍術 斧術

加速

偽装

操馬術

火魔法 水魔法 風魔法



レベルこそ低いがスキルの数なら緑川(みどりかわ)奈月(なつき)より多い。内容も女王なのにかなり武闘派なのな。



「蒼殿、紫殿。君たちが今いじめているのは一応この国の女王でして…。」

「陛下って聞こえてたからわかってるよォ、でも俺たちは女王だろうが何だろうが区別も贔屓も差別もしない。遊びで飛びかかってきたから俺たちも遊びで返してるだけさァ。紫、お迎えが来たから肩、入れてやんな。」

「ん。」



ゴリュッ!



「ングッ!」



肩が治るとゆっくりと立ち上がりハンカチで顔と頭を拭き始める女王、ハンカチはすぐびたびたになるので途中で髪を拭くのは諦めた。



「よし、風呂に行ってくる!男爵!二時間後彼らを案内するように!」

「はっ!」

「ではな二人とも、その時に報酬を渡そう!」



紅茶の雫を滴らせながらわんぱく女王は部屋から出ていった。




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