第18話 アーカム帝国の奴隷兵器
ししゃも騒動の後、海底遺跡に戻りルルディエルの街方面へ向かおうとすると遠くに二十体の反応を感知した。それも人間の反応。
「紫、人間がこっちに来るぞ。潜れねェって話じゃなかったか?」
「王都に知恵と力を借りるって言ってたからその結果じゃない?わたしたちがギルドを出てすぐに策を編んで出発したらおかしくはないんじゃない?」
「まァそうなんだけどな…。」
「気になる?」
「あァ、勘だけどなァ。なんかクセェんだわ。」
「わかった、一旦隠れよう。」
遺跡から少し離れた岩場に身を潜め反応が近付いてくるのを待つ。しばらくすると揃いの剣と鎧を装備した兵士が十人、長杖と軽鎧を装備した兵士が十人現れ遺跡の中へ入っていった。
「当たりだったね。」
「あァ、チェスター女王国の国旗じゃねェ。真っ先に敵対してきた…えーっと、なんて国だったっけ?」
「オルゼイ王国ね。そこでもないわね、国旗覚えてるもの。」
「てことは俺たちの知らねェ第三の国かァ。協力関係にある国か、敵国、仮想敵国か。」
「街に戻って聞いてみよっか?あいつらの国旗ならもう覚えたし。」
「うし、そうすっか。」
行きと違い場所がわかっているので一時間もかからずにルルディエルの街へ戻ってきた。しかし、きれいだった街並みは姿を変えていた。建物からは火や煙が立ち上ぼり、地には死体が転がり、遠くでは悲鳴が聞こえる。港に停泊しているたくさんの船には先ほど見たばかりのあの国旗が風になびいていた。
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「ここでも戦争か…。チェスター女王国ってのは別々の国にこの短期間で攻められるほど恨みを買ってる国なのか、ただの哀れな国なのか…。」
「火の匂い、土の匂い、人間の臭い。鼻腔に染み着いた戦争の臭い。違うのは火薬と科学燃料の臭いがしないことだけ。」
スーッと頭が冴え渡り、急速に冷えていく。戦争の臭いを嗅ぎ反射でスイッチが入る。装備を点検する、魔素を充填、装着する。
「まだいたぞー!武器を持ってる!おそらく冒険者だー!人を回してくれー!」
二人組の兵士が大きな声を上げて仲間を呼んでいる。丸聞こえだぞ?馬鹿じゃないのか?俺と紫で一人ずつ銃で頭を撃ち抜く。
「なっ、なんだっ!?」
死体の後ろからやってきたのは四人、いきなり仲間が倒れ混乱しているようだ。
「蟲型魔物生成 スコロペンドラ。」
「水棲魔物生成 マリンウルフ。」
目の前に魔物を生成する。スコロペンドラはキバをカチカチ打ち鳴らし、マリンウルフは鱗を逆立て震わせている。
「屠れ、スコロペンドラ。」
「屠殺よ、マリンウルフ。」
合図で二匹が地を駆ける、這うように低く、だが速く。一呼吸で四人の兵士へ飛びかかる。
「えっ?」
呆気ない、悲鳴すら上げれずに四人は地に伏す。二匹は次を求めて通りを駆けていった。
「俺たちは逆回りにいくぞ。」
「了解。」
★★★★★★★★★★★★★
目に付いた兵士を片っ端から仕留めていく。改めて感じたが魔物に比べて人間が脆弱すぎる。途中で見た兵士なんてLv28 スキルなし なんてのがいた。よくこの世界の人間、魔物に絶滅されてないものだと感心する。
仮にも兵士のくせにこれじゃあ一般の民衆なんてレベル一桁の可能性もあるな。どうやって国や街を防衛しているんだか。
「あァ!?」
「えっ!?」
スコロペンドラとマリンウルフの反応が消えた、この先の通りで。近くには人間の反応が二つ、こいつらがやったな。なんだ、ちゃんと倒せる奴もいるじゃないか。
「紫、警戒。」
「了解、蒼。」
通りを歩いていくと1mを超える大剣を担いだ女と座り込んでいる中年の兵士がいた。女はこちらを睨み付けている。
「あなたたちね、さっきの魔物をけしかけたのは。おかげさまで隊はボロボロよ、任務失敗だわ。」
ィィンッ!ギィィンッ!
「…いきなりね、話もしてくれないの?」
紫の銃撃が大剣で弾かれた。とんでもねえ奴だな。SAMURAIじゃねぇんだからよ。
緑川奈月 18才 女 Lv211 人間 状態:隷属
スキル
大剣術
火魔法
風魔法
痛覚鈍化
怪力
今までの中で最上の強さを持つ人間に出会った。




