第16話 海底ダンジョン攻略
マリンウルフを回収し先へ進んでいく。20体ほど倒したところで下へ降りる階段を見つけた。二層、三層と進み八層に到着すると様子が変わった。
明るかった上層とは違い薄暗くなりどこからともなくカチカチと音が聞こえてくる。警戒しながら進んでいくと通路の角からデカいカニが出てきた。
名無し(ビガークラブ種) Lv109 状態:健康
スキル
水魔法
剛力
いよいよダンジョンマスターのレベル超えてきたな。まだ下層もあるだろうしどこまで上がるか。
「赤炎包」
カニを魔術の炎が覆いカニはのたうち回る。十秒ほどすると動かなくなる。この魔術はカニ相手には使えないな、殺すまでに時間がかかりすぎる。炎を消し丸焦げのカニを割り魔石を取り出す。焼き蟹のにおいは一切しなかった。
休憩を挟みマリンウルフ、マッドクラブを屠りながらどんどん降りていく。
十五層、新たな魔物が俺たちに向かって来ている。ぶよぶよした半透明の……なんだ?少なくとも祖国では見たことがない生物だ。まぁ魔物なんだからこれが当然なのかも知れないが。
名無し(メリベ種) Lv120 状態:健康
スキル
自己再生
水魔法
自己再生ね、完全に息の根を止めねえと何度でも立ち上がるってか?とんでもねえスキルだな。戦争で使われて消耗戦にでも持ち込まれたら敗北濃厚だな。
「瞬雷」
直撃し高い破裂音が鳴るがメリベは少し体をくねらせただけでこちらへの進行を再開する。
「ん?ボルテッカーが効かないのか?」
「赤炎包」
紫の魔術でメリベが炎で包まれる、激しく体をくねらせどんどん小さくなっていく。三十秒ほどで完全に蒸発?し魔石を残して消滅した。
「相性が悪いんだろうね、雷も炎も。もっといろいろ試して効率を突き詰めて進んでいこう。」
「あァ、そうだな。」
この後様々な方法で検証した結果、メリベに対して最速の確殺パターンは炎魔術での蒸発だった。体のほとんどが水分のようでそれを蒸発させることで殺せるらしかった。上の層より時間がかかってしまうが仕方ない。
魔物のレベルが130を超えたところで二十五層にたどり着き大きな扉が現れた。
「これは前のダンジョンと同じなァ、多分奥にダンジョンマスターとコアがあんだろ。」
「だね、注意していこう。」
「あァ。」
扉の奥はかなり不思議な場所だった。床は通路と同じ石張りなんだが壁と天井が水でできており表面が波打っている。いや、水でできているというか壁と天井は無く、水の侵入だけを止めているって表現の方が近いかもしれない。それも正確な表現ではないだろうが。
眺めていると天井が強く波打ち中から大きな蛇の頭が現れ俺たちに顔を向けた。表皮は薄青色でツルッとしておりエラや小さいヒレがある。顔の大きさに比べてアンバランスに目が大きく真っ黒で視線が読めない。
ダンジョンマスター(固有種) Lv151 状態:健康
スキル
水魔法
完全流体
自己再生
「先手必勝!フレイムラップ!」
炎が大蛇の頭を捉えると大蛇は水に変わり天井に吸い込まれた。次の瞬間に壁から頭を出し口から水をレーザーのように撃ち出してくる。俺と紫はそれを跳んでかわす。
「ウォーターカッターみたいだな!?」
「当たったらまずいかもね。」
大蛇はそれが見えてるのか見えてないのかデタラメに頭を振り回し床に幾筋の断跡がはしる。
「「断絶ノ匣!」」
内と外を完全に遮断する透明の匣を召喚する。紫は俺たち二人を中に入れ大蛇の攻撃から遮断する、俺は壁から伸びている大蛇の頭部を封じ込める。
断絶ノ匣は空間に固定しているので大蛇は身動きができない。殺った!と思ったが大蛇は首をちぎり水の中に戻ってしまった。断絶ノ匣の中の頭は水になっていた。次の瞬間には壁と天井から十を超える数の頭が現れた。
「頭潰しても死なねェのか、面倒臭ェ。」
「お手並み拝見、防御はまかせて。」
紫は手伝う気はないようだ、アカシャを張ったままわずかにニヤニヤしている。試そうってか?…言ったな?俺は魔素を練り始める。
「誰もが彼女を見て涙する 彼女は清廉な心と体を持ち人々を救う天の遣いであると 彼女が祈り触れればどんな怪我や病も瞬きの間に消え去ると だが全ての人間を救う彼女は売国奴と石を投げられる 救った人間に家族を殺された者から 彼女は一筋涙を流し 悲憐と怨禍と狂悦の業火で 総てを焼かれた『愛の少女』」
「えっ!?ちょっと!?」
「三重奏魔術…」
「界盾!!」
「あゝ可哀想、それでも私は愛します」
アカシャの周りをアイギスのハニカム構造が覆う、アカシャと違い防御特化の魔術だ。過去の実験により効果はお墨付きである。
続いて俺の三重奏魔術が発動する。空中に炎が現れ女性の形をとる。それが両手を広げると壁と天井から水が大蛇もろとも剥がれ彼女の前に集まり人型に整形されていく。彼女はゆっくりとそれを抱きしめ消滅するまで離さなかった。




