第12話 ギルドとあれこれ
職員さんが総勢8人で戻ってきたので査定を待つ間に一旦『閑古鳥』で食事をとり、宿も三泊取ってたのにダンジョン泊したせいで期限切れになってしまっていたので改めて取り直した、もったいないことをした。
結構時間も経ったのでギルドに戻ってみると職員さんに手招きされカウンターに向かう。
「お待たせしてすみません、先程査定の方が終わりまして。全ての素材の買い取りに加え、ダンジョンの魔物に関する追加情報に対する報酬を合わせて金貨700枚となります。ご確認下さい。」
カウンターに置かれた袋がジャラリと音をたてる。紫に収納させると軽く頷いた。しっかり700枚あるようだ。
「それでですね、あの、魔物の中にダンジョンマスターの名がついた個体があったんですが…最奥まで攻略なさったのですか?」
「そうだな、コアってのもあったし行き止まりだったし。」
「ダンジョンコアは持ち帰っておられますか?それもよろしければ買い取らせていただきますが?」
「いや、あれは売らねェ。」
「かしこまりました、まあダンジョンマスターの討伐だけで攻略認定は降りますからね。おめでとうございます。後日、初回攻略者としてお二人の名前が登録されます。」
「へェー。」
「名声には興味が無さそうですね。」
職員さんが軽く苦笑いする。まあその通りだ、名声には興味がない。得られるものなど『他人からの悪意と余計なしがらみ』しかないからだ。そも軍人とは護国と謳いつつ他者を排する仕事だ、誇りに思われることも多いが嫌われる職業でもある。まあもう俺たちには関係ないことだが。
「あァ、有名人なんてなりたくねェ。」
「なら登録3日で未踏破ダンジョンの攻略なんてしない方がいいですよ?かなり目立ちますからね。」
「…考えとく。忠告はありがたく。」
「いえいえ、ではこちらからは以上になります。今後ともギルドをよろしくお願いいたします。」
「あァ、お疲れさん。」
職員さんに労いの言葉をかけギルドの外に出ると12人の男たちが並んでいた。
「ずいぶん待たせやがっ…」
無視して宿へ向かう。ギルドの隅で集まってた連中みたいだったが知り合いですらないし待たせたつもりもない。
「止まれぁ!そこの新人二人!先輩の言葉を無視してんじゃねえよ!」
大通りで大声でわめき散らす男、危ないモンでもヤってんじゃねーか?関わりたくねーな。ひたすら無視する。
ヒュッ!
バキャッ!
後ろから足に向かって放たれてきた矢をタイミングを合わせ踏み潰す。俺と紫は振り返らず立ち止まる。
「常識ってモンを知らねえ新人に教えてやる!ここじゃあな、新人は先輩に金を払いこれからよろしくお願いしますと挨拶に来るのが決まりなんだよ。てめえら初日オレのところに来なかっただろーが!で、わざわざオレの方から来てやったってわけだ。」
男がデカイ声で叫ぶので周りの人がチラチラこちらを見ている。
「おまえらさっき依頼の報告してたな、どうせショボいだろうがといあえず今日のところはそれでいいぜ?オレは優しいからな。だからこんなにもしたわ…」
「無明領域」
紫は俺と手を繋ぎ魔術を行使する。ダークエリアの魔術は発動領域の内と外を遮断する魔術、見ることも触ることもできず、匂いだって届かない。だが手を繋ぎ二人の魔素を混ぜて術を発動すれば術者が二人の扱いになり俺と紫の二人からは領域内は丸見えとなる。
「なんだこりゃ!?出せごらあ!」
男どもが喚くが出してやるつもりはない、お前たちは既に排除対象だ。せっかくだ、試させてもらう。
「蟲型魔物生成スコロペンドラ」
領域内にLv101のスコロペンドラを生成する、対する男どものリーダー格、うるせぇ奴は。
カイマヌセ(人間種) Lv27 状態:健康
スキル
斧術
これでも男どもの中で一番レベルが高い、…話にならん。スコロペンドラに皆殺し、捕食を許可する。キチキチキチと顎を鳴らし襲いかかる。領域内部は一気に蹂躙劇へと変貌する。
「ごあぁぁぁあ!?」
「うあぁぁぁ!!出して!出してくれぇぇ!」
「くそぉ!硬ぇ!歯が立たねっ、グボッ!」
喰われるモノ、恐慌し逃げ回るモノ、武器をふるうが意味を成さず薙ぎ払われ吹き飛ぶモノ。五分も持たず、男どもは全員スコロペンドラの腹に収まった。雑食というか悪食というのか、スコロペンドラは武器や防具までしっかりと食べ、領域内には地面の血痕以外に男どもの存在を証明するものは無くなった。
「もしかしてこの世界の人間、俺たちの世界と比べてすげェ弱ェんじゃねェ?」
「人間のステータスを見たのはこれが初めてだから断定しちゃダメだよ?でもあの男じゃあダンジョンのB10Fでも死ぬだろうね。」
「じゃァこれからはチェックもこまめにしねェとな。」
「そうだね、魔物は当然だけど人間にもね。」
俺がスコロペンドラを消し、紫がダークエリアを解く。血塗れの地面があらわになりざわめきが起こるが無視して宿に向かう。久しぶりにベッドで睡眠がとれるんだ、もうこれ以上邪魔されたくない。
俺たちはさっさと宿にこもり、上質な睡眠をとることができた。




