第11話 攻略完了
細い道の先は小部屋があり、中央の台座にオレンジ色の宝石のような結晶が浮いていた。
ダンジョンコア(固有種) Lv1 状態:所有者未登録
スキル
ダンジョン作成
蟲型魔物生成
「あァ?生きてんのかこれ?」
「レベル出てるね、生きて…るのかな。殺す?ダンジョンの核みたいだし。」
紫は魔黒銃『廻天』をダンジョンコアに向ける。
「ちょい待ち、所有者登録とかあんじゃん。持って行こうぜ。」
「危険じゃない?」
「まァ見た目石だし自力で動けねェだろ多分?もしも何かあったら対応してくれ。」
「はぁ、わかった。何をしても文句言わないでね?」
「はぃよォ。」
俺はダンジョンコアを手に取る。後ろに立つ紫から緊張が伝わってくる。掌の上でほんのり暖かい熱を帯びている。ダンジョンコアは特に何もアクションを起こす気配はない。
「何も起こらねェな、…ん?」
ダンジョンコア(固有種) Lv1 状態:所有者固定
スキル
ダンジョン作成
蟲型魔物生成
所有者未登録から固定になってる、つまり俺のモノってことでいいんだよな。まァどっちにしろ持って帰るつもりだったが。
「俺のモノになったみてェだな、よくわかんねェまま所有者固定されちまったがまァいいだろ。」
「わからないことだらけだから良くはないけど…、ならそれのスキル使えるの?蒼のモノなんでしょ?それ。」
「なるほどなァ、試すか。『ダンジョン作成』」
…………何も起こらなかった。
「……。」
「……。」
「『蟲型魔物生成』!!」
微妙な空気に耐えきれずもう一つのスキルを無駄に声高らかに叫ぶ。すると目の前に黒い靄が発生し滞留する。
「こっちはできんのかよッ!」
「ッ!」
俺と紫は距離を取り銃を構える。が、待てども魔物は姿を見せず靄だけが残っている。
「何も出てこねェ?」
「…もしかしてだけど、どの魔物を生成するか言わなかったから出てこない?」
「マジかァ?てかあの黒い靄が魔物の素ってことかァ?」
「試さないと何もわからないままだよ?」
「はぃはぃ了解ですよォ、えーっとォ、『スコロペンドラ生成』」
すると靄からスコロペンドラがゆっくりと姿を現し、尾まで出切ったところで靄がかき消えた。大きなムカデが鎌首をもたげてこちらを向いている。
名無し(スコロペンドラ種) Lv101 状態:従属
スキル
毒生成(麻痺・出血・溶解)
剛力
「おぃおぃ、ダンジョンマスターと同じレベルじゃねェか、そういうスキルなのかコレ?」
「わからないことがまた増えたね、…攻撃もしてこないみたいだし。」
「従属状態…だからかなァ、俺のペットみたいな扱いかァ?」
「……。」
「そんな目で人を見るな、ムカデをペットにする趣味は俺にはねェ。スキルのテストだろォ?」
スコロペンドラはいまだに動かずこちらを見ている。
「蒼ほらっ、テストテスト。」
「んー、お手?」
そう言って掌を出してみるとゆっくりと近づいてきて脚を乗せた。結構な重みがある。おまけに結果的に顔が近くなりキィー、キィー、と呼吸音?が聞こえる。
「手じゃなくて脚よね?」
「ついだよ、つ!い!でもこれでこのスキルについてはわかったな。ダンジョン作成の方は保留にして。」
「そうね、ところでムカデどうするの?」
「んー、お前消えれる?」
やはり俺の言葉を理解している様で頭を下げ、黒い靄に戻り霧散した。倒した個体のように死骸は残らない。
「なんとかなったな。」
「うん、結果的にはいいスキル取れてよかった。」
「だなァ、ダンジョンもここで終わりっぽいし外に出るかァ。」
「途中でまた一泊だから出るのは明日かな。」
「まァそれはしゃーねーな。」
ダンジョンコアを次元収納に入れて来た道を戻り始める。B15Fで夜を明かし、B9Fより浅い階層で数組の冒険者とすれ違い翌日の昼過ぎ頃、ようやく地上に戻ってきた。
「くぁーッ、やっとシャバに出てこれたなァ。暗くても見えるから問題ないとはいえ太陽の下はやっぱちげーわ。」
「うん。」
俺と紫はグーッと伸びをしたり深呼吸をしたりして外の空気を楽しむ。改めて出発し夕方頃、ラムゼイの街に戻ってきた。魔物の死骸は素材としてギルドが買い取ってくれるのでまずギルドに向かう。
人が多い時間帯なのかカウンターは全て埋まっており仕方なく並び待つ。30分程でようやく順番がまわってきた。
「おや、お二人とも久しぶりですね、登録の時以来ですか。」
「あァ、三日ぶりぐらいだろ?そんな久しぶりでもなくねェか?」
カウンターにいたのは登録手続きを担当した男性職員だった。
「いえいえ、大半の新人さんは登録したその日か次の日には仕事を受けに来るんです。3日間も姿を見せなかったのはお二人を含めてもかなり少数ですよ?」
「まァダンジョンで寝泊まりしてたからなァ、いちいち戻ってくるなんてできねェし。」
「えっ、お二人ダンジョンに行ってたんですか?3日間ずっと?」
「あァ、魔物の死骸買い取ってくれるんだろ?どこに置けばいいんだ?」
「…あまり無茶はしないで下さいね、登録を担当した冒険者の死亡通知って結構クるんですから。」
軽くため息をつきながら職員は立ち上がって別の職員にカウンターを任せこちら側に出てくる。
「で、魔物はどちらに?外に荷車でもありますか?」
「いや俺たちが個別で持ってる、置場所に連れていってくれたらそこに出す。」
「ああ、魔法鞄をお持ちなんですね。ではこちらにどうぞ。」
魔法鞄が何なのかはわからなかったがスルーして職員についていくと広い鶏舎みたいな建物に案内され中に入る。
「ではこの辺りに置いてください、こちらでも確認はしますが魔法鞄から出すときにどの魔物を何体出したか教えて貰えると助かります。」
「はィよ、先に紫が出してくれ。」
「うん。じゃあゴブリン41。」
この辺りと大雑把に指定されたエリアが結構埋まった気がするんだがいいのか?職員は紙とペンを持ったまま止まっていた。
「…ゴブリン41ですか、新人さんにしてはかなり多…」
「吸血オオコウモリ28。」
「えっ?」
「アラネア29。」
「はい?」
「これ以上置けないので横にスライドしていきますね、スケルトン8。」
「……。」
「オオネズミ18、スコロペンドラ33。わたしはこれで全部。」
「…何かあのダンジョンで生息が確認されてない魔物もあるんですが?」
「その辺はB18F以降の魔物ね、ほらっ蒼も出して。」
俺も紫とほぼ同量に加えダンジョンマスターの巨大ゲジを出した。やっぱ死んでも見た目キチィわ。
「職員さァん、これで全部だ。査定してくれ。」
「しょっ、少々お待ちください。応援を呼んで来ますので。」
職員さんは小走りでギルドの本館へと走って行ってしまった。




