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ログアウト  作者: 狐野柄
第二章:絶望の四日間
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第9話 『死刑執行』

体育館の扉がゆっくりと開かれた。


クイーン「さあ、最後の人が到着しましたね~。」


ステージ上に立つ、このゲームの支配者『クイーン』が待っていましたと言わんばかりの瞳で立っていた。


修太「…。」


そこには、腕を實に捕まれ拘束されている修太の姿もあった。

他にも、このゲームの参加者は全員ここに来ていた。


和也「あ…。修太くん!!お、おれは!!」


龍斗のそばにいた和也がその姿を見るなり、体を前に突き出していった。


修太「…。」


その問いかけに、なにも言わなかった。


和也「お、おれは…おれは!!」


そう問い続ける和也。

そして、その閉じていた口が開いた。


修太「諦めな。」


和也「…?!」


豪太「な…?!」


政義「…!」


洸「なに…?!」


その表情は冷たく、言葉も冷徹だった。

人間とは思えない、そんな表情をしていた。

共に行動した仲間にかける言葉とは思えないものだった


快兎「…。」


何も言わず、下を向いて歩みだした。

無言で修太に快兎は近づいていく。


修太「…。」


修太は、快兎の方を見向きもしない。

和也の方をじっと見つめる。


快兎「おい……お前…!」


その低いトーンでの声で呼び掛けた。

怒りを抑えるかのように、呼び掛けた。


修太「…。」


だが、修太は見なかった。

ただじっと和也の方を見つめるだけだった。


快兎「く…!!」


焦吉「お、おい!!!」


―――――ドガッ!!!!


激しく頬殴った。

その怒りが抑えられなくなるくらいに激しく。

焦吉の止める声も間に合わなかった。

あたりの声が聞こえていなかった。


修太「い…てぇ…。」


快兎「痛いだと…?ちがう!!」


修太「…。」


和也「うぅ…。」


叫んだ。

体育館中に響き渡るような声で、怒鳴っていた。


快兎「痛いのはお前じゃない!!本当に痛いのは!助けを求めて、頼った相手に、切り捨てられたアイツ自身だ!!」


和也「…!!」


そう修太に向かって叫んだ。

胸ぐらをつかみ、和也のほうに突き出した。


修太「あいつは失敗したんだ。俺は助けようとした。失敗したアイツが悪い。」


快兎「な……!!」


修太「もう諦めるしかない。だから、最後にそう言った。」


もはや、仲間にかける言葉ではなかった。

失敗した彼の責任だと、そう主張した。

冷たい表情で冷たい言葉をかけ続けた。


快兎「お前は…!!」


その言葉に腹を立てた快兎はもう一度殴りかかろうとした。


洸「もうやめろ…。」


その振ろうとした右腕を洸が止めた。


快兎「…!!」


洸「こんなこと意味ないだろ…。」


快兎「けど…!!」


そう口論しようとした。


修太「そうだぜ、俺たちで仲間を割れしても意味がないぜ?」


その口論しようとした口を遮るように快兎に言って見せた。


快兎「こいつ…!!」


怒った表情で修太を見る。

だが、修太は冷静な目で見つめていった。


修太「あまり騒ぐと殺すぞ…?」


快兎「…!!」


殺気に満ち溢れた言葉。

それを残してその場を後にした。


焦吉「あまり調子に乗るなよ。」


修太「ちっ…。どいつもこいつも…。」


歩く修太のすれ違いに焦吉がそう呟いた。


クイーン「あの~喧嘩は済みました??」


ステージに立つ女がそう語りかけた。


和也「…っ!」


その声に、

もう死期の近づく和也が怯えた。

震えていた。


美南「なっ…。もう時間かよ…。」


歩「怖い…。」


麻衣「うん…。」


美南にしがみつく歩と麻衣。

そして、携帯の時計を確認をする美南。


蒼「…。」


焦吉「どう思う…。」


蒼「四日間なんてごめんだ。途中で終わらせるさ。」


實「同感だな。」


このゲームの終わらせ方を考える3人。


白「…。」


茜「白が無事でよかった。本当に良かった。」


白「…。」


友達の無事に安堵する茜。

そして、『標的』として生き残った白。


豪太「くそっ…。俺が監視しとけば…!!」


政義「仕方ないよ。誰もこんなこと読めなかった。」


修太と行動していた2人の後悔。


快兎「くそっ!!くそっ!!」


洸「(もう…間に合わないのか…。両方を助ける事は叶わないのか…。)」


怒りと悲しみで歯を食いしばる快兎。

打開策がないか思考回路を巡らせる洸。


龍斗「…ごめんね。」


和也「はぁはぁ…。」


和也に謝罪をする龍斗。

この先のことを考え震える和也。


・・・・・・・。


全員がこの場で沈黙していた。

何もできないこの状況で、ただ立っていることしかできなかった。

そして、その沈黙を破ったのは…。


クイーン「さあ。時間になりました…!」


ステージに立つクイーンだった。


龍斗「…!」


快兎「ま…!」


その言葉を聞いて全員がどよめいた。


始まる。


これから、始まってしまう。


いま生きている人から一人。


死ぬ。


クイーン「さあさあ!!ここからメインですよ~~~!!!」


高らかにその声を出した。


蒼「く…。」


焦吉「くそ!!両方救えないのか…!!」


クイーン「そんな甘っちょろいことはないですよ~。」


甘くない。

そう言った。

確実に死ぬ。

その人間もわかる。


クイーン「奴隷は、王様の命令を全う出来なかった…。よって!!!」


クイーン「『奴隷』である『深堀和也』の死刑確定です。」


そう言った。

躊躇うことなく冷たく笑うようにして言った。


和也「…!!」


龍斗「和也…!」


みんなが振り返る。

全員が和也を見ていた。


クイーン「さて…。深堀和也くん。君にはこれを付けますね。」


そう言うと、クイーンはステージから降り和也のところへと歩いた。


―――――コツ、コツ、コツ。


ゆっくりと近づく。


焦吉「おい…。今ならいけるんじゃないか。」


小声でそう蒼に言った。


蒼「いや……。無理だ。隙がなさすぎる。」


ただ歩いているだけなのに、殺気立つオーラに近づけなかった。


和也「ひっ…!」


クイーン「そんなに怯えられると心が痛むよ~。でも安心して…すぐ終わるからね。」


その言葉と共に、首輪が付けられた。

しっかりと固定された。


和也「こ、これは…?」


龍斗「くび…わ…?」


クイーン「はーーーーーーい!!!みんな離れてーーーーー!!」


突然クイーンは大声でそう言った。


快兎「は…?」


焦吉「何言ってんだ…?」


茜「どういうこと?」


そう思いつつ距離をとる。


修太「…!?おいまさか?!」


クイーン「ふふ…。」


―――――ピッ。


クイーンが手に持っていたスイッチのようなものを今押した。

その瞬間に首輪が音を立てた。

起動音。


クイーン「はーい。早く離れてねー。巻き込まれたくなかったら…。」


蒼「あれ爆弾か…?!」


クイーン「大当たりーー!!特製小型爆弾です!!」


龍斗「なに…?!」


そう言われ、みんなが離れていく。


和也「取れない…。取れないよこれ…!!」


クイーン「当たり前でしょ?取れるわけないじゃない。処刑だから。」


豪太「おいおい!!まじかよ!!」


それぞれで、距離をとる。

だが、近づく者が1人いた。


洸「な、白?!」


白「和也くん…。ごめんね。私のせいで…。」


謝罪した。

『標的』だった白が、謝罪をした。

責任を感じていた。

自分が生き残ったから、和也は死ぬ。

そんな責任を抱えていた。


和也「な…。」


白「ごめんね…。」


何度も謝った。

それしかできなかった。


洸「白…。」


和也は取ろうと必死になっていた手を止めた。


和也「あぁ。なんか…。お、おれバカみたいだね…。みんな必死だったのに、おれなんて標的じゃない子を殺そうとした…。バカだよな。」


茜「…っ。」


和也「なんか…。自分がバカらしいね…。お、おれなんかに謝罪してくれるほどに責任感じてたのに…。」


焦吉「…。」


和也「おれは…。生きることしか考えてなかった。ごめんね。」


龍斗「和也…。」


和也「よ、よかったよ!誰にも手をかけなくて!後悔なんてなくなったや…。」


豪太「和也…。」


和也「その手を一緒に汚さなくて良かった…。ありがとう。修太くん。」


修太「…っ!!」


その和也の瞳からは一滴の涙が落ちた。


そして、


―――――ピピピピピピピ。


―――――バンッッ!!!!!!!!!


激しいその音が体育館に響き渡った。


鈍く、生々しい音。飛び散った物。

そして、嗅いだこともない血が焦げた異臭。


歩「いやっ!」


美南が歩と麻衣を見えないように抱えた。


龍斗「…。」


快兎「うそ…。」


豪太「そんな…さっきまで話してたのに…。」


ついさっきまで話していた人が、

昨日まで元気だった人が、

たった今、一瞬ではじけ飛んでいた。

見るに堪えない光景…。

最悪な光景だった。


クイーン「凄いですね~。派手に吹っ飛びましたね!見事に首から上が!!」


興奮気味で話している。

おかしいとしか言えない。


茜「白…。」


茜はそっと白を抱きかかえた。

これ以上この現場を見せないために。


焦吉「最初のゲームより酷い…。なんだよこれ…。」


蒼「くっそ…。」


全員が動揺した。

命令に従わなければ、こんなにも残酷に殺される。

今、その光景を見て理解した。

これは、そう言うゲーム。

『標的』は原形をとどめたまんま死ぬ。

『奴隷』は原形もとどめられずに死ぬ。


クイーン「ふふ…。あと3回…。ちなみに4回とも爆弾じゃないですよ…。どう死ぬのか楽しみですね~」


不敵な笑みを浮かべながら、そう言った。


―――――ピロン。


通知の音が全員の携帯から鳴り響いた。


『—――――深堀和也がログアウトしました。—――――』


その知らせが来た。

目の前で起きたことの知らせ。

その通知がさらに、洸たちに現実を見せつけた。


クイーン「それでは、番号と命令を送信しますね…。」


そして、束の間もなく送られてきた。

次のゲームがもう始まる。


『命令:『8』は『3』を殺せ。』


その命令と共に、2日目がスタートしてしまった。




第9話『死刑執行』(完)

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