第9話 『死刑執行』
体育館の扉がゆっくりと開かれた。
クイーン「さあ、最後の人が到着しましたね~。」
ステージ上に立つ、このゲームの支配者『クイーン』が待っていましたと言わんばかりの瞳で立っていた。
修太「…。」
そこには、腕を實に捕まれ拘束されている修太の姿もあった。
他にも、このゲームの参加者は全員ここに来ていた。
和也「あ…。修太くん!!お、おれは!!」
龍斗のそばにいた和也がその姿を見るなり、体を前に突き出していった。
修太「…。」
その問いかけに、なにも言わなかった。
和也「お、おれは…おれは!!」
そう問い続ける和也。
そして、その閉じていた口が開いた。
修太「諦めな。」
和也「…?!」
豪太「な…?!」
政義「…!」
洸「なに…?!」
その表情は冷たく、言葉も冷徹だった。
人間とは思えない、そんな表情をしていた。
共に行動した仲間にかける言葉とは思えないものだった
快兎「…。」
何も言わず、下を向いて歩みだした。
無言で修太に快兎は近づいていく。
修太「…。」
修太は、快兎の方を見向きもしない。
和也の方をじっと見つめる。
快兎「おい……お前…!」
その低いトーンでの声で呼び掛けた。
怒りを抑えるかのように、呼び掛けた。
修太「…。」
だが、修太は見なかった。
ただじっと和也の方を見つめるだけだった。
快兎「く…!!」
焦吉「お、おい!!!」
―――――ドガッ!!!!
激しく頬殴った。
その怒りが抑えられなくなるくらいに激しく。
焦吉の止める声も間に合わなかった。
あたりの声が聞こえていなかった。
修太「い…てぇ…。」
快兎「痛いだと…?ちがう!!」
修太「…。」
和也「うぅ…。」
叫んだ。
体育館中に響き渡るような声で、怒鳴っていた。
快兎「痛いのはお前じゃない!!本当に痛いのは!助けを求めて、頼った相手に、切り捨てられたアイツ自身だ!!」
和也「…!!」
そう修太に向かって叫んだ。
胸ぐらをつかみ、和也のほうに突き出した。
修太「あいつは失敗したんだ。俺は助けようとした。失敗したアイツが悪い。」
快兎「な……!!」
修太「もう諦めるしかない。だから、最後にそう言った。」
もはや、仲間にかける言葉ではなかった。
失敗した彼の責任だと、そう主張した。
冷たい表情で冷たい言葉をかけ続けた。
快兎「お前は…!!」
その言葉に腹を立てた快兎はもう一度殴りかかろうとした。
洸「もうやめろ…。」
その振ろうとした右腕を洸が止めた。
快兎「…!!」
洸「こんなこと意味ないだろ…。」
快兎「けど…!!」
そう口論しようとした。
修太「そうだぜ、俺たちで仲間を割れしても意味がないぜ?」
その口論しようとした口を遮るように快兎に言って見せた。
快兎「こいつ…!!」
怒った表情で修太を見る。
だが、修太は冷静な目で見つめていった。
修太「あまり騒ぐと殺すぞ…?」
快兎「…!!」
殺気に満ち溢れた言葉。
それを残してその場を後にした。
焦吉「あまり調子に乗るなよ。」
修太「ちっ…。どいつもこいつも…。」
歩く修太のすれ違いに焦吉がそう呟いた。
クイーン「あの~喧嘩は済みました??」
ステージに立つ女がそう語りかけた。
和也「…っ!」
その声に、
もう死期の近づく和也が怯えた。
震えていた。
美南「なっ…。もう時間かよ…。」
歩「怖い…。」
麻衣「うん…。」
美南にしがみつく歩と麻衣。
そして、携帯の時計を確認をする美南。
蒼「…。」
焦吉「どう思う…。」
蒼「四日間なんてごめんだ。途中で終わらせるさ。」
實「同感だな。」
このゲームの終わらせ方を考える3人。
白「…。」
茜「白が無事でよかった。本当に良かった。」
白「…。」
友達の無事に安堵する茜。
そして、『標的』として生き残った白。
豪太「くそっ…。俺が監視しとけば…!!」
政義「仕方ないよ。誰もこんなこと読めなかった。」
修太と行動していた2人の後悔。
快兎「くそっ!!くそっ!!」
洸「(もう…間に合わないのか…。両方を助ける事は叶わないのか…。)」
怒りと悲しみで歯を食いしばる快兎。
打開策がないか思考回路を巡らせる洸。
龍斗「…ごめんね。」
和也「はぁはぁ…。」
和也に謝罪をする龍斗。
この先のことを考え震える和也。
・・・・・・・。
全員がこの場で沈黙していた。
何もできないこの状況で、ただ立っていることしかできなかった。
そして、その沈黙を破ったのは…。
クイーン「さあ。時間になりました…!」
ステージに立つクイーンだった。
龍斗「…!」
快兎「ま…!」
その言葉を聞いて全員がどよめいた。
始まる。
これから、始まってしまう。
いま生きている人から一人。
死ぬ。
クイーン「さあさあ!!ここからメインですよ~~~!!!」
高らかにその声を出した。
蒼「く…。」
焦吉「くそ!!両方救えないのか…!!」
クイーン「そんな甘っちょろいことはないですよ~。」
甘くない。
そう言った。
確実に死ぬ。
その人間もわかる。
クイーン「奴隷は、王様の命令を全う出来なかった…。よって!!!」
クイーン「『奴隷』である『深堀和也』の死刑確定です。」
そう言った。
躊躇うことなく冷たく笑うようにして言った。
和也「…!!」
龍斗「和也…!」
みんなが振り返る。
全員が和也を見ていた。
クイーン「さて…。深堀和也くん。君にはこれを付けますね。」
そう言うと、クイーンはステージから降り和也のところへと歩いた。
―――――コツ、コツ、コツ。
ゆっくりと近づく。
焦吉「おい…。今ならいけるんじゃないか。」
小声でそう蒼に言った。
蒼「いや……。無理だ。隙がなさすぎる。」
ただ歩いているだけなのに、殺気立つオーラに近づけなかった。
和也「ひっ…!」
クイーン「そんなに怯えられると心が痛むよ~。でも安心して…すぐ終わるからね。」
その言葉と共に、首輪が付けられた。
しっかりと固定された。
和也「こ、これは…?」
龍斗「くび…わ…?」
クイーン「はーーーーーーい!!!みんな離れてーーーーー!!」
突然クイーンは大声でそう言った。
快兎「は…?」
焦吉「何言ってんだ…?」
茜「どういうこと?」
そう思いつつ距離をとる。
修太「…!?おいまさか?!」
クイーン「ふふ…。」
―――――ピッ。
クイーンが手に持っていたスイッチのようなものを今押した。
その瞬間に首輪が音を立てた。
起動音。
クイーン「はーい。早く離れてねー。巻き込まれたくなかったら…。」
蒼「あれ爆弾か…?!」
クイーン「大当たりーー!!特製小型爆弾です!!」
龍斗「なに…?!」
そう言われ、みんなが離れていく。
和也「取れない…。取れないよこれ…!!」
クイーン「当たり前でしょ?取れるわけないじゃない。処刑だから。」
豪太「おいおい!!まじかよ!!」
それぞれで、距離をとる。
だが、近づく者が1人いた。
洸「な、白?!」
白「和也くん…。ごめんね。私のせいで…。」
謝罪した。
『標的』だった白が、謝罪をした。
責任を感じていた。
自分が生き残ったから、和也は死ぬ。
そんな責任を抱えていた。
和也「な…。」
白「ごめんね…。」
何度も謝った。
それしかできなかった。
洸「白…。」
和也は取ろうと必死になっていた手を止めた。
和也「あぁ。なんか…。お、おれバカみたいだね…。みんな必死だったのに、おれなんて標的じゃない子を殺そうとした…。バカだよな。」
茜「…っ。」
和也「なんか…。自分がバカらしいね…。お、おれなんかに謝罪してくれるほどに責任感じてたのに…。」
焦吉「…。」
和也「おれは…。生きることしか考えてなかった。ごめんね。」
龍斗「和也…。」
和也「よ、よかったよ!誰にも手をかけなくて!後悔なんてなくなったや…。」
豪太「和也…。」
和也「その手を一緒に汚さなくて良かった…。ありがとう。修太くん。」
修太「…っ!!」
その和也の瞳からは一滴の涙が落ちた。
そして、
―――――ピピピピピピピ。
―――――バンッッ!!!!!!!!!
激しいその音が体育館に響き渡った。
鈍く、生々しい音。飛び散った物。
そして、嗅いだこともない血が焦げた異臭。
歩「いやっ!」
美南が歩と麻衣を見えないように抱えた。
龍斗「…。」
快兎「うそ…。」
豪太「そんな…さっきまで話してたのに…。」
ついさっきまで話していた人が、
昨日まで元気だった人が、
たった今、一瞬ではじけ飛んでいた。
見るに堪えない光景…。
最悪な光景だった。
クイーン「凄いですね~。派手に吹っ飛びましたね!見事に首から上が!!」
興奮気味で話している。
おかしいとしか言えない。
茜「白…。」
茜はそっと白を抱きかかえた。
これ以上この現場を見せないために。
焦吉「最初のゲームより酷い…。なんだよこれ…。」
蒼「くっそ…。」
全員が動揺した。
命令に従わなければ、こんなにも残酷に殺される。
今、その光景を見て理解した。
これは、そう言うゲーム。
『標的』は原形をとどめたまんま死ぬ。
『奴隷』は原形もとどめられずに死ぬ。
クイーン「ふふ…。あと3回…。ちなみに4回とも爆弾じゃないですよ…。どう死ぬのか楽しみですね~」
不敵な笑みを浮かべながら、そう言った。
―――――ピロン。
通知の音が全員の携帯から鳴り響いた。
『—――――深堀和也がログアウトしました。—――――』
その知らせが来た。
目の前で起きたことの知らせ。
その通知がさらに、洸たちに現実を見せつけた。
クイーン「それでは、番号と命令を送信しますね…。」
そして、束の間もなく送られてきた。
次のゲームがもう始まる。
『命令:『8』は『3』を殺せ。』
その命令と共に、2日目がスタートしてしまった。
第9話『死刑執行』(完)




