幕間 『残りの4人』
これは、グラウンドで2人の少年が鬼から脱しようとした時の話。
そのグラウンドの上には、命惜しさに少年少女が、鬼に仲間を売ろうとしていた。
その滑稽な姿は、まるで出荷直前の動物そのものだった。
強者が狩り、弱者が狩られる。そんな光景だった。
その様子を、木の上にいる少年、玄関近くの少年。
そして、鬼の死角を利用している者が4人。
金髪でリーダー格の男。おどおどしている小太りな男。
細身で眼鏡をかけている男。筋肉質でガタイのいい男。
そんな4人がいた。
金髪の男は、最初に教室で率先して動いていた男。
鷲田修太だった。
政義「なぁ…。俺たちのあそこにいけばたすかるんじゃないか…?情報提供すれば…!」
和也「そ、そうだよ!いこう!!」
眼鏡の男に、小太りの男がそういった。
修太「おめぇら馬鹿か?あんなんで、あの化け物が助けてくれるとでも?ま、死にたいなら止めねぇさ。行きたきゃ勝手にしろ。」
修太は、この先どう言った結末になるのかを予測した上でそう言った。
そんな簡単なこと、と思いつつ伝えていた。
案の定、鬼は命乞いをしていた少年少女を容易く殺されていった。
簡単壊れていった。なんの躊躇もなく殺された。
和也「ひっ!こ、ころした…!」
豪太「なんでわかったんだ?」
修太「逆にわからないことあるか?あんな簡単な考えに行きつけないのは、あの殺されたバカ二人と同じ知能ってことになるぞ。」
政義「でもよー!こんな状況だぜ?」
修太「チッ。こんな状況だ?俺はこの状況でも冷静だ。冷静でいられる人間が1人でもいるんだ、おまえらもなれるさ。」
簡単なことのように言った。
だが、決して簡単じゃない。
冷静でいられる方がすごいくらいだった。
豪太「で、だ。これからどうするんだ?」
政義「逃げよーぜ!校内に!」
修太「いや。俺はここに残る。鬼が探してやがる、危険だが。」
黒いローブの鬼は、辺りを見渡していた。
その機械的な目で静かに探していた。
和也「じゃ、じゃあ、ずっとここにいるのかよ?!」
修太「あぁ、そのつもりだ。時間的にも、ここを奴が離れたらもう、こねぇだろって言う勘だ。」
政義「勘?!そんなもの信じてここにいろってか?!」
修太「あぁ。そうだ。信じられないなら一人で行ってもいいぞ。」
豪太「まあまあ。とにかくだ。どちらにしろ、鬼が動くまで動けないのは事実。」
その時だった。
勢いよく風の音を立てて、鬼は割れた窓ガラスの方向へ飛んで行った。
ものすごい速さで飛んで行った。
修太「化け物だな……。」
そして、その後は4にんともグラウンドから動こうとせず、時間を待って。
その終了のサイレンまで、長い間緊張感を途切れさずに待った。
ずっと、ずっとその時を待った。
――――――――うぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーー。
そして、その時は来た。
和也「この音は!!」
政義「やった…!やったんだ!」
豪太「おう!!やったぜ!!」
激しい窓ガラスの割れる音が色んなところで、聞こえていた。
だが、そんなことも気にせずにその時を待っていた。
そして、一人の男が立ち上がった。
修太「よし、中に入るか…。」
政義「お、おう!大丈夫なのか?」
豪太「サイレン鳴ったんだ。きっと大丈夫さ。」
4人はゆっくりと玄関に足を踏み入れた。
その時だった。
――――――――ブーブーブー。
ポケットの中に入れていた携帯のバイブレーションが鳴り響いた。
通知が届いた。
修太「…。」
和也「な…!」
政義「まじかよ…。」
豪太「嘘だろ…!?」
その通知は『死の通知』だった。
『—―――安藤 未希がログアウトしました。――――』
保健室で、息絶えた少女の名前だった。
和也「どうすんだよ……。」
修太「なんだ?ちゃんと見てないのか?」
政義「な…!それは!!」
修太が、携帯の画面を3人に見せる。
修太「これに従う他ないだろ。ほら、いこーぜ。」
その声とともに3人は、修太の後をついていった。
修太「(このふざけたゲームを利用してやる…。この俺が、生き残るために支配してやる…。洸…。待ってろよ…。)」
そう心の中でつぶやいていた。
その時の顔つきは、誰も見ていなかったが、
恐ろしく、まるで化け物のような形相をしていた。
第一章 幕間 『残りの4人』 (完)




