070:子ネコの正体・1 メインクーンだ!
せやさかい・070
『子ネコの正体・1 メインクーンだ!』
この子メインクーンだ!
頼子さんの言葉に、あたしは男爵と並ぶジャガイモの種類を思い浮かべた。
「メインクーン?」
メークインと発音せんかっただけ偉いねんけど、留美ちゃんもメインクーンは分かれへんみたい。
「一見トラ猫なんだけどね、胸の毛とかが違うの。アメリカのメイン州のネコでね、クーンって言うアライグマに似てるから付いた名前なんだよ」
「アライグマって言ったら、ちょっと大きいんじゃないですか?」
「うん、まだ子ネコだけど、大人になると10キロ近くなるわよ」
「「10キロ( ゜Д゜)!」」
「ほら……こんな感じ」
頼子さんはパソコン検索して写真を出してくれた。
「「おおー!」」
これは、もう猫の範疇に入る生き物やない!
うちらが助けた子ネコは、ゲンコツ二つ分くらいの大きさしかない子で、ジャージのお腹の中でも余裕で入るサイズ。
お目めがクリクリしてて、三角の耳がピンとかっこよく立ってる。もし、トラ猫の子どもを連れてきてコンテストをやったら、一等賞間違いなしいう感じ。
うちの横で留美ちゃんがしょぼくれてる。
察するに、留美ちゃんは子ネコに一目ぼれしたんや(*´ω`*)。できたら自分とこで飼うつもりにさえなってた。せやけど、この写真を見たら二の足を踏むわなあ。
頼子さんは、頬杖付いて子ネコを見てるけど、やっぱしょぼくれてる。ネコ、嫌いなんかなあ?
「家族にネコアレルギーがいるからねえ……」
そういう理由か。
「それに、たぶん飼い猫だよ。いくらするんだろう……」
検索する頼子さん。子ネコをモフモフしながらパソコンの画面を見つめる留美ちゃん。
「アヒョーー(*〇*)」
頼子さんがケッタイな声を出す。画面にはスゴイ値段が出てた。
10万~20万…………アヒョー、うちも言うてしもた。
「メインクーンの血が入った雑種かもしれませんねえ」
「うん、子ネコのうちは分からないし、きちんとしたことはブリーダーとかでなきゃ分からないでしょうねえ……にしても、学校においとくわけにもいかないだろうし」
うちの気持ちは、ほとんど決まりかけてた。
「ちょっと、家に電話してみます!」
それだけで、意味が分かったみたいで、留美ちゃんも頼子さんも、うちのスマホに注目。心なしか子ネコも縋りつくような目ぇで見てるやおまへんか~(^_^;)
「うん……うん……うんうん、そうします!」
「「どうだった!?」」
電話にはテイ兄ちゃんが出て、檀家周りから帰って来たおっちゃんに聞いてくれて、とりあえずのOKをもろた。
「お寺の前に『迷子ネコ』の張り紙して、飼い主が見つかるまでは預かってもええいうことのなりました!」
「「よかったあああ!」」
せやさかい、子ネコは、とりあえずは、うちに来ることになった(o^―^o)!
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 安泰中学一年
酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主
酒井 詩 さくらの従姉 聖真理愛女学院高校二年生
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原留美 さくらの同級生
夕陽丘・スミス・頼子 文芸部部長
瀬田と田中(男) クラスメート
田中さん(女) クラスメート フルネームは田中真子
菅井先生 担任
春日先生 学年主任
米屋のお婆ちゃん
佐伯さんのお祖母ちゃん 釋良袋(法名) 法子(俗名)
ソフィー ソフィア(メイド見習い)
イザベラ メイド長&女王秘書(サッチャーの異名を持つ)
ジョン・スミス ボディーガード




