055:ヤマセンブルグ・1
せやさかい・055
『ヤマセンブルグ・1』
ブゥゥゥ~~~~~~~~~~~~~~ン
エディンバラを離れる飛行機の中に居てます。
と言うても、夏休みが終わって日本へ帰るわけやない。第二の訪問地ヤマセンブルグに向かっているとこなんです。
じつは、こっちが本命。
おとついの晩御飯で頼子さんが口を開いたのは、イザベラさんがデザートを運んできた時。
いつもは通訳見習いにしてエクソシストにしてお世話係のソフィアさんがやってくれてる。それがメイド長兼女王秘書のイザベラさんなんで、うちらも——アレ?——って感じはしてた。
イザベラさんが英語でも日本語でもない言葉で頼子さんに言うと、頼子さんも同じ言葉で返事して、うちらに話してくれる。
「あさって、エディンバラを離れてヤマセンブルグに移動します。ちょっと窮屈な旅になるかもしれないけど、そのぉ……またとない経験というか、ファンタスティックと言うか、ある意味教訓に満ちて、示唆的で……まあ、有意義な旅になることは確か! かな? だから、期待してちょうだいね(^_^;)」
「「は、はあ……」」
留美ちゃんと二人でたよんない返事になる。
「ヤマセンブルグというのは、どんな国なんですか?」
留美ちゃんが素朴な質問をする。
「ヨーロッパには公国と言って、王国に準ずる国がいくつかあるの。モナコ公国とか知ってるでしょ? その一つよ。わたしにはね三つの国籍があるの、日本とイギリス、そして、ヤマセンブルグ。お父さんがイギリスとヤマセンブルグの国籍を持ってる関係でね。で、夏休みに間にどうしても立ち寄らなくちゃならなくて、ごめんなさい、ちょっと付き合ってちょうだいね(o^△^o)」
頼子さんの笑顔(o^△^o)には有無を言わせへん力がある。阿弥陀さんがお迎えに来たら、きっとこんな笑顔やろなあと思う。
空港で待ってた飛行機はプライベートジェットとは違ごた。ふたまわりは大きいクリーム色のジェット機で、胴体にはドラクエに出てきそうな紋章が貼り付いてて、パイロットもジョン・スミスとは違う人。
「この機体の操縦免許は持ってないんでね」
そう言いながら、ソフィアさんやイザベラさんといっしょに飛行機に乗り込んだ。他にもヒルウッドのお屋敷のスタッフも何人か乗り込んで賑やかになるかなあ……と思ったら、機内はいくつかのキャビンに分かれていて、うちと留美ちゃんは頼子さんといっしょに○○○○キャビンに。○○○○と伏字になってるのは「キャビンの位置が分かる書き方はしてはいけません」と言われたから。
「なんでですか?」
「ミサイルは、このジョン・スミスでも防げないからね」
これはただ事やないなあ……(;'∀')。
そう思てると、イザベラさんの耳打ちで頼子さんが目を剥いた。
「え、ドレスコードがあるの!?」
ドレスコード? どんなコードや?
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 安泰中学一年
酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主
酒井 詩 さくらの従姉 聖真理愛女学院高校二年生
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原留美 さくらの同級生
夕陽丘・スミス・頼子 文芸部部長
瀬田と田中(男) クラスメート
田中さん(女) クラスメート フルネームは田中真子
菅井先生 担任
春日先生 学年主任
米屋のお婆ちゃん
佐伯さんのお祖母ちゃん 釋良袋(法名) 法子(俗名)
ソフィー ソフィア(メイド見習い)
イザベラ メイド長&女王秘書(サッチャーの異名を持つ)
ジョン・スミス ボディーガード




