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せやさかい  作者: 大橋むつお
本編
198/438

198『銀之助の秘密の秘密はSOS団』


せやさかい


198『銀之助の秘密の秘密はSOS団』さくら     





 え、年上やったん!?



 意外な人が意外にも年上やって、ビックリすることてありません?


 小学校の担任の先生が見た目より年上やいうのが分かって驚いたことがあります。


 仮にA先生と呼んでおきます。


 小柄なツインテールで、着てる服もピンクとかエメラルドグリーンとか、それが、白い肌にピッタリで、ちょっと憧れてました。ほら、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の桐乃のファッションに似てるんです。


 クラスでA先生の事をネットで調べた奴がおったんです。奴と呼ぶからにはけしからん奴で、むろん男子で、しょーもない奴!


 A先生の出身高校を突き止めて、小学生とは思えん能力で卒アルやら文集やらを見つけてきよって、うちらが思てるより十歳も年上やったという事実を突き止めよった。


「あのなあ、教えたろか~、ツインテールは、リフトアップのためやねんぞ」


 生き物係で、ウサギ小屋の世話してるときに、こっそり言いよった。


 リフトアップいうと、オッパイの事やた思てたので顔中が?マークになった。なんで、ツインテールにしたらオッパイがつり上がるのか?


「ちゃうちゃう、顔のしわとかたるみとかや」


 そう言うと、そいつは兎の耳を持って吊り上げよった。


「ほらなぁ」


 なるほど、ウサギの目ぇがつり上がってウサギに化けたキツネになった。若いと言うよりは怖い顔になる。


「ウサギの顔はシワとかはないからな」


 家に帰って、半信半疑でお母さんに聞いた。


「リフトアップしたら、若く見えるのん?」


「ああ、なるよ……ほら!」


 両手でこめかみのとこをグッと上げるお母さん。


「おお!」


 ひいき目に見んでも五歳くらいは若返る。


「そうか、お父さんは、こういう顔してるお母さんに惚れたんや!」


「アハハハ」


 笑って手を離したとたんに、元のアラフォーさん。


「…………」


「そう露骨に残念な顔しなやあ!」


 お母さんとはじゃれ合っておしまいやったんやけどね。




 プールの授業の時に、先生のスイミングキャップが取れたことがある。


 水泳なんで、ツインテールも解してキャップの中にまとめてたんが、ザバっと出てしもた。


 スッピンやったこともあって、先生の素顔は、まさかと想像してたよりも老けて見えてしもてた。


 正直、ショックやった。せやけど、これは単なる前フリ。



 次元はちゃうけど、それと同じくらいショックなことを銀之助が言いよった。



「涼宮ハルヒは十八歳なんです!」


「ええ!?」


 留美ちゃんといっしょに驚く。


 涼宮ハルヒはうちも好きなアニメ。ことはちゃんもDVD持ってて、いっかい通しで見せてもろた。


「元はラノベで、2003年から、ずっと出てるんです」


「え?」


 2003年いうたら、うちなんか影も形も無い時代や。


「ずっと出てるって……完結してなかった?」


 留美ちゃんは目の付け所がちゃう。


「はい、去年の秋に『涼宮ハルヒの直感』が出たんです!」


 


 涼宮ハルヒというとSOS団。


 クラス開きの自己紹介で「東京出身、涼宮ハルヒ。ただの人間のは興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのとこに来なさい、以上!」とぶちかます。


 アニメはとっくに完結してるんで、ラノベも終わってると思ってたら、とんでもない、まだまだ続いてたんです。


「それで、僕も、ひとりSOS団をやってるんです!」


 ちょっとぶっ飛んで、銀之助講演会を締めくくりよった。


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