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 王子様の結婚相手をさがす舞踏会開催のおふれは、その日のうちに国中に出されました。舞踏会の事を知った娘たちは、大騒ぎでした。家柄も身分も関係なく、誰もがお妃様になれる可能性があるのです。こんなことはめったとあるものではありません。次の日には招待状が配られ始め、お城では忙しく舞踏会の準備が進んでいました。進まないのは王子様の気ばかりです。


「こら! まてぇ!」


 王子様が気も重く中庭を歩いていますと、派手なバタンという音と共に、白い背の高い帽子をかぶった、かっぷくのいいおじさんが勝手口から勢いよく飛び出してきました。


「今度見つけたらただじゃおかないぞ!」


 コックのおじさんはふんっと鼻を鳴らすと、くるりときびすを返して勝手口から厨房へと入っていきました。


「お前か、灰かぶり。コックはもう行ってしまったよ」


 王子様は足下を見ました。小さなねずみがコックから隠れるようにうずくまっていました。


 灰かぶりと呼ばれたねずみは顔を上げると、お庭の噴水のほうに駆け出しました。王子様も噴水に向かいました。お城の厨房に住む灰かぶりはよくこの噴水のそばにいました。王子様もよくこの噴水まで散歩に来ては、灰かぶりを話し相手にしていました。灰かぶりという名前を付けたのは王子様です。本当は真っ白で毛並みのきれいなねずみなのですが、かまどの近くにいるせいなのか、いつも灰まみれでした。


「ねえ、灰かぶり。明日、国中の娘を集めて舞踏会をやることになったよ。まったく父上はどうかしている。なにもそんなに急いで私の結婚相手を探さなくても良いだろうに」


 灰かぶりは王子様の方を見てちょっと首をかしげました。


「本当、まったくその通りね」


 そう言っているように見えました。

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