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二回目

 


 今回は次男の話。

 そんな何回も同じような話なんて、と思われるかもしれませんが、実は全く状況が違うので、参考の為にここに記しておきます。


 妊娠出産はその子それぞれ、という事ですね。


 次男の妊娠中の時と、生まれたての育児を、実はあまり覚えていません。

 長男との年齢差が近く、両方の育児にかかりっきりで、本当にあまり記憶していないのです。


 妊娠中、長男はトイレトレーニング中でした。

 トイレトレーニングとは、自分でトイレが出来るようにしていく事です。

 これまたその子それぞれで、すぐトイレしたい、と言える子もいれば、まったく気にせずに遊びに集中していて、だだ漏れでも言わない子もいます。

 長男は、まったく気にしないタイプでした。


 今にして思えば、少し早く始め過ぎていたかもしれません。

 私としては何とか次男が生まれる前に出来るようになってもらいたい、という、親の勝手なエゴもありました。

 でも、当たり前なのですけれど、こちらの思うようになんて、出来ませんよね。


 本人にその気が無いのに無理に続けてしまって、とうとう出来ない長男に手を上げてしまった事があります。

 叩かれた事にびっくりした長男の顔を見て、あ、もうダメだ。と思いました。



 このまま続けたら

 虐待になってしまう。



 次の日の朝、長男の頭に埃がついていて、取ってあげようと手を伸ばしたら、首をすくめて逃げようとしました。


 あの事がトラウマになったんだ、と思い、その日からトイレトレーニングを辞めました。


 それを気にせずに済むようになって、初めて次男の妊娠中の記憶が蘇るってくる程、私は長男の育児に必死だったのだと思います。



****



 次男はお腹の中にいる時から長男よりも元気でした。長男が伸びるようにむにょーんと蹴るタイプだったのに比べて、次男は寝ながら走ってるんじゃないの? というぐらいダカダカ動いていました。そこまで動くと、逆子さかごになりました。


 逆子とは、お腹の中で頭が下ではなく、上に上がってしまう事です。

 逆子が直らないと、帝王切開で出産、という事になります。

 それだけで? と思われるかもしれませんが、足から無理矢理引っ張り出す事を考えたら、帝王切開して下さい、と思います。


 でも、正常の位置に戻ったら普通分娩が出来るので、逆子体操という事をやりました。


 それは、四つんばいになってお尻を突き上げてなんだかとても人様に見せられない体操。

 お腹が大きいのでそんな格好をすると、とにかく苦しい。


 三人の中で一番体重があった彼は、妊娠中も非常に重たかったです。


 ぎりぎりまで逆子だったのですが、次の検診で帝王切開ね、という運命の検診の時に治っていました。その前々日に気持ち悪いほどぐりんとお腹の中が動いて、ホッとしたのを覚えています。


 また、夏を大きなお腹で過ごさなくてはいけませんでした。通称、夏腹なつばら


 これがハードで、何をしていなくても、ただ横になったり、生きているだけで汗がダラダラと出ました。

 これでもか、というくらいの汗のお陰で体重はあまり増えませんでした。

 逆に若干、減った時もあり、戻してみたり。

 相変わらずの体重調整です。


 前回の反省もあって、臨月になったらかなり動きました。もとよりちょろちょろしている長男を捕まえるのに動いてはいましたが。

 歩きました。とにかく歩いた。

 階段の昇り降りも繰り返しましたね。

 そしたら今度は、予定日の2日後に陣痛がつきました。


 普通の陣痛のつき方は緩やかでした。


 明け方少し痛いな、と思っていつもより早めに起き、旦那さんのお弁当を作ってはいたのですが、痛みが15分間隔になってきました。


 それまでは痛みがついてもすぐ収まってしまっていたので、継続してついてきたのに少しだけ焦りました。経産婦(出産の経験がある)妊婦は思いの外早く出産のする事があるで、早めに病院に連絡するように、と言われていたのです。


 病院に連絡すると、すぐに来るように言われました。旦那さんに仕事を休んでもらって病院へ。

 一人目よりも全てが早く進んでいきました。

 前回の経験があったので立ったり座ったりしながら、痛みをちらします。

 でも、やっぱり直前の1時間は逃げ出したい痛み。経験があるからって痛みが弱まる事もないですし、怖さも一緒でやっぱり怖いのです。……何故か平気なフリをしてしまいますが。


 いよいよ3分間隔の痛みになり、分娩室に行くと、どうも長男の時とは違う。大きくて、なかなか出てきてくれません。


「お母さん、いきみましょうか」


 へ? と思いました。

 長男はいきまずに産んだので、どういきんだらいいか分かりませんでした。


「この棒をもって」


 と言われて、たぶん付属の取っ手を握らされたと思います。


「はい、いきんでー」


 へぇぇ?! うーーん!


「お母さん、チカラもう少し入れて、あ、息止めないよー 赤ちゃんに酸素いかなくなるからねー はい、いきんでー」


 なんとも飄々とした先生の声と共にまたいきみます。


 うーーん、うーーん!


 陣痛の一番痛い波を狙っていきむので、もう、早く出てぇ、という思いでいっぱい。


 出産の痛み、というよりか、継続してくる陣痛の痛みから逃れたくてとにかくチカラを入れた感じです。


「はい、お生まれになりましたよー」


 また生まれたての赤ちゃんを抱っこさせてもらいました。

 ずしっ、と重くて、長男の時よりも、こ、この子、重っ と思いました。


 体力的にも余力があったので、産んだ後もなんだか元気でした。


 生まれてからは、怒涛の日々でした。


 長男の時は、長男だけに向き合えばよかったのですが、長男のお世話をしつつ次男も泣いていて、ごめんね、と思いつつ、どちらかを泣かしたまま、一人一人に向き合いました。


 私が今覚えているのは、次男の鳴き声が超音波並に大きかったのと、気がつけば次男はハイハイをしていた、という事だけです。



 そして、旦那さんに、三人はいいよ、子供は三人だと兄弟で世界が出来るんだよと言われ続け、未知の三人目を産む決意をするのですが……



 続く。


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