表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの頃のメロディ  作者: 星利
1.<ひらひら、ひらり>
7/19

作戦会議


私達は、高校の近くにあるこぢんまりとしたカフェ・"dreamy"に入ることにした。


「ここ、初めて来たけどオシャレ!」


店内の様子をスマホでパシャパシャと写真に収める私。


木造の建物で、店内はナチュラルな雰囲気だ。植物や、猫モチーフの雑貨などのインテリアがアットホームな感じを醸し出している。


「速水君って、こういうお店詳しいの?」


「まぁね。」


「ふーん。」


私達は、それぞれ名物のフレンチバーガーセットを注文した。


数分すると、焼き立てバンズにオニオンらしきソースやレタス、トマトに肉汁溢れるお肉が挟まれた手作りバーガーが運ばれてきた。


手作りの細いカリカリポテトと、コーラも付いている。


「うまそー!」


目を輝かせる速水君の前で、私はまたスマホをパシャパシャ鳴らす。


「いただきまーす!」


彼がそう言ったので、私も手を合わせる。


フレンチバーガーを口に運んだ私は、それを堪能する。サクッとしたバンズは、中がふわとろでほんのり甘い。それが溶けたと思いきや、次はフレッシュな野菜に包まれた肉汁たっぷりのミートがジュワッと口いっぱい広がる。


「お、美味しい…!」


感動してしまった。この世界にこれほど素晴らしいバーガーが存在していたなんて。


「美味いね!」


そう言うと、コホンと咳をする速水君。


「そろそろ本題に入らなくちゃね。どうする?…黒田さんのこと。」


彼はフレンチバーガーを頬張りながら、困った顔をして言った。


「どうするかねぇ…。」


私は、しぶしぶと答えた。


「そこなんだよなー。でも、バンドやる為には何とかしなきゃ。」


更に眉間にしわを寄せて、彼は続ける。


「というか、野崎さん。何でそんなに黒田さんに嫌われてるの?」


「え、…。」


多分それは、私と黒田さんが恋のライバルであるからだ。でも、それが他人にバレるなんて恥ずかしい。


言葉を失っている私に、速水君が恐る恐る言う。


「…もしかしてだけど、野崎さんって沢下君のこと、好き?」


「ぶふぉっ!」


飲んでいたコーラを思わず吹き出してしまった。


「ゲホッ、ゲホッ…」


(何でそんなに鋭いのよ!)


「…そっかそっか。」


少し切なそうに、うんうんと頷く速水君。そして、続ける。


「僕が思うに、黒田さんも、沢下君のこと好きだと思うんだ。


この前、宣戦布告とかされたんでしょ?」




一拍置いて、私は叫んだ。


「な、なんでアンタがそれを!」


「まぁ、オトコのカンってやつかな。僕の人間観察能力をナメちゃいけないよ?」


「は、はぁ…。」


「入学して早々恋愛なんて、キミたちは困ったもんだよ。」


彼は、やれやれと手を広げる。


「でも、こうなったらキミには2択しかないだろうね。」


「2択?」


「そう。恋――沢下君を選ぶか、バンド――僕たちを選ぶか。」


「……。」


(バンドにも沢下君が関係してるなんて、言えない…。)


「でも、キミにはどうしてもバンドを選んでほしいな。


今後一切、沢下君と関わらないことだね。


そして、黒田さんと仲良くなるんだ。」


「そ、そんな一方的に…。」


困り果てた私は、腑に落ちないことを暴露する。


「で、でも…。黒田さんと仲良くしようにも、もっと"根源的な何か"がある気がするの。


…それに、沢下君とは、たまに話す程度だし…。」


「そこなんだよなー。


あー、もうわっかんねぇな!」


彼は自分の頭をグシャグシャしている。


「確かに、分からないわね…。」



カァ、カァ、カァ…


沈黙の中に響き渡る、カラスの鳴き声。よい子はもう、帰宅する時間だ。


「もう、帰ろっか。


あ、そうだ。野崎さんのLIND(リンド)教えてくれない?


何か作戦をひらめいたら連絡してよ。」


LINDとは、若者の間に普及したインスタントメッセージアプリだ。


「あー、はいはい。」


別に嫌というわけではなかったので、私は速水君とLINDのIDを交換した。(実は、これが男子と交換する初めてのLINDである。)



「じゃ、僕が払っておくよ。」


速水君は先に歩いていき、2人分のお会計を済ませようとしている。


「えっ、そんなのいいって!」


「ちょっとぐらい格好つけさせて、ね★」


「う、うん…?」


速水君は、なぜそんなに女子から好かれたいのだろうか。



◇◆◇◆


その日の夜、速水君からLINDが来た。


「速水 瑛太でーす!


何かあったら、気軽に連絡してね♪」という文字。


「ほーい」という黒猫のスタンプを送っておいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ