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あの頃のメロディ  作者: 星利
2.<青い春の日>
12/19

止まない雷雨


家に辿り着くと、自分の部屋にこもり、私は1人、渦巻く感情と闘った。


(さっきのこと、嘘よね…、)


「誰か、――誰か、嘘だと言ってよ!」


無意識に部屋のドアを叩いていた。涙が止まらない。


秋子ちゃんが、中学でいじめられた?親の離婚?整形?


「嘘だ、嘘だ――!」


信じたくないし、それが真実であるかどうかも分からない。けれども、嘘をついているようには見えなかった。


自分を助けてくれた秋子ちゃんが、そんなにも辛い目に遭ったのに、私は何も知らず、"性悪女"だなんて思っていた。それに、悪口を言う周りの人達を、止めることなく見ていた。



『かすみちゃんは、優しすぎるとこが、たまにキズやで。』


脳裏に蘇る、"ふふっ"と優しく微笑む秋子ちゃんの姿。


「うわぁぁ!」



すると、凄い勢いでドアが開いた。


「うっさいぞ!黙らんかい!!」


そこにドンと立っていたのは、私の家に住んでいる()()()()――元父。


「誰か、嘘だと言って…。」


無視して泣き続ける私。すると、突如として()()()()に胸倉を掴まれた。


「うっさい言うとるやろがゴルァ!


はよ、家出て行け!」


叫ぶ()()()()の目は、血走っている。いつもそう、怒鳴る時は決まって真っ赤な目をしているのだ。


そして、次の瞬間、バシッと思い切り頬を叩かれた。


「うっ、うっ…。」


「お前なんていらん、死ね、死んでくれ!」


叫ぶ()()()()の後ろに、重そうなフライパンを持ち、息を切らしたお母さんが立っている。


「やめて下さい!


離婚してもなお、家に居候し続けているだけのあなたに、子供を叱る権利はありません!」


「ア?何ぬかしとんじゃこのボケ!」


「2人とも、やめてーーっ!!」



これは、私が小さい頃からよく起きる騒動。


仕事が休みの時、隙あらばストレス発散に私を怒鳴りつける()()()()による暴力と、それを必死に止めようとするお母さん。



何もかもがぐちゃぐちゃだ。いつしか、外は嵐で風がビュウビュウ吹き荒れている。激しい豪雨と雷なのに、それにも負けない両親の喧嘩の声。



私は耳を塞ぎ、ただ嵐が通り過ぎるのを待った。

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