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あの頃のメロディ  作者: 星利
2.<青い春の日>
11/19

青天の霹靂


翌日、私は自分の最寄り駅の近くにあるという、真由ちゃんの家へと向かった。


梅雨上がりの雫に濡れた夏草が、青空の(もと)、線路で揺れている。



家に着いたので、少し緊張しながら、インターホンを押す。ピンポーンと軽やかな音が響く。


「あ、花澄ちゃん!


玄関入って階段上がってきて!他の2人ももう来てるしなぁ~!」


タッタッと階段を駆け上がると、"♡まゆ♡"というボードの掛かった白い木のドアを発見した。


ドアを開けると、そこはいかにも"女の子"って感じの部屋。


白を基調とした壁に、ピンク色で揃えられた小物の数々。ピンクのふわふわしたテディベアもたくさん置かれている。


「花澄ちゃん、おはよー!」


丸い白テーブルを囲んだ3人が、こちらを見て笑っている。学校とはまた違った、和やかな雰囲気だと思った。


「おはよう。」


「じゃあ、期末テストの勉強会ということで、まずは勉強しよー!


お菓子とジュースは好きなだけもらってなぁ!」


真由ちゃんが、元気そうに大きな声で言った。



カリカリカリ…


1時間が経過した時、「あー、疲れた!」と伸びをした真由ちゃんを筆頭に、皆シャーペンを机に置いていく。


「じゃあ、本題といこ!


見てびっくりしんときや?


黒田さんの中学時代。」


そして真由ちゃんは、おもむろに本棚から卒業アルバムを取り出してきた。


「あ、これこれ!」


彼女が指さした、"黒田 秋子"の文字。


その顔写真を見た途端、私の頭は真っ白になった。


(え、…?!)


苗字は"黒田"なのに、それはまさに、小学生の時に私をいじめから救ってくれた優しい少女――田中 秋子ちゃんだった。


「エェー、めっちゃ普通。しかも黒髪やし!」


「素朴だねぇ~。」


他の3人の会話は、2割ほどしか頭に入ってこない。頭が思考停止状態だ。


「真由もあんま知らんけど、ここだけの話、親の離婚で苗字が変わったらしいんよ。


それに、いじめられたのもあって、高校入る前に整形したとか。」


「えぇー、闇深~!」


「整形してたんだ~。」


ショックすぎてその場にいられなくなった私は、バッと立ち上がった。


「どうした花澄ちゃん?」


「ちょ、ちょっとごめん!


急用を思い出しちゃったから、帰るね!お邪魔しました!」


私の挙動不審な態度に目を丸くしている3人をよそに、真由ちゃんの家から飛び出した。



◇◆◇◆


外に出ると、空は青いのに、さっきまでの穏やかさは微塵も感じられず、土砂降りの雨と雷で荒れ狂っている。


私は、その中を、傘も持たず走って、走った。


ただ、考える時間が欲しかった。…1人に、なりたかった。

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