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あの頃のメロディ  作者: 星利
2.<青い春の日>
10/19

初夏の風と帰り道


カラオケオールの日から1ヶ月が過ぎ、期末テスト1週間前になった。


あれは5月末だったので、今は6月末である。


この1ヶ月間、じめじめした梅雨と共に私の気持ちが晴れることはなかった。


なぜなら、あの日から沢下君と黒田さんが、たまに楽しそうに話している姿を見かけたからだ。


きっと、LINDのメッセージをやり取りして、仲が深まっているのだろう。


そんな金曜日の帰り道。いつものように、速水君が隣を歩いている。



「ねぇ、野崎さん。もうすぐ、夏がやって来るね。」


「…そうね。来週から衣替えだし。」


「僕、この風の匂い、好きだな。


初夏を運んでくる、風の匂い。」


そう言いながら、両手を広げ、くるくると回ってみせる速水君。


(まったく、人の気も知らないでのんきね…。)



すると、私のスマホが"ピロン♪"と音を立てた。


そこには、"森下 真由"の文字。真由ちゃんからのLINDだ。


"やっほー、花澄ちゃん!♡


いきなりやねんけど、明日って空いてる?


良かったらうちの家で勉強会しーひん?


カラオケで言ってたメンバーで(笑)"


(おっ、きた!何だか、嬉しいな。)


私は、すぐさま返信した。


"もちろん!"



「なに、なに?


誰からかな?」


興味津々に私のスマホを覗き込んでくる速水君。


「友達よ。」


私は、満更でもない顔をして答えた。


真由ちゃんや梨華ちゃん、海乃ちゃん達とは挨拶を交わすようになった。


昼休みも、"いつメン"までとはいかずとも、たまに話に入れてもらったり、持ってきたお菓子をシェアしたりしている。


「ふーん、いいなぁ。


野崎さんって、少し変わったよね。」


少し拗ねたように口を尖らせながら、速水君はボソリと呟く。


「良かったね。


…"あの頃"より、楽しめているようで。」


(…え?)


何か心に引っかかったが、次の瞬間には忘れてしまった。



「速水君は、友達とかどうなの?」


「あぁ、僕かぁ。


男の子の友達は何人かできたよ。


あと、何人かの女の子に告白はされたけど、女の子で仲いいのは、今のところ野崎さんだけかな。」


(やっぱり、モテるのね…!)


「告白されたのに、付き合わないの?」


彼に、素朴な疑問をぶつける。



「うん。


僕、好きな人いるしね。」



そう言って速水君は、ウインクした。


そんな2人の間を、初夏の風が吹き抜けていった。


そこに広がっているのは、住宅街から少し離れた夏草の道、鮮やかな新緑、そして、青い空であった――。

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