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お人形さん  作者: 月影 ゆかり
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0つめ

最終話です。

後書きにお知らせがあります。

「お人形さん、お人形さん

ごめんなさい。」




1.

「わぁ!お人形だ!」


まだ、私が幼い頃に誕生日で貰った 女の子のお人形。


「かわいい! ありがとう!パパ」


この時は、パパもママも仲が良くて 周りから見れば 正に理想の家族だったと思う。


「喜んでくれて良かったよ。美空」


「良かったわね〜。 私からはケーキよ」


「やったー!」


色とりどりの飾り、美味しそうなケーキ。


全てが、私の喜びだった。



お人形を貰ってから、私は毎日のようにお人形と一緒だった。


一緒におままごとをしたり、一緒に寝たり、

出かけたりもした。


大きくなってからも、一緒に寝たり 出かけに連れて行ったりもした。


でも、大きくなる頃には パパもママもピリピリしていた。



そう。


パパは借金をしていたし、ママは お金を使いまくっていた。




2.

パパは、パチンコに ママは宝石に ハマってしまった。


これが全ての原因だった。


毎日のように、喧嘩をしては 家は荒れ果てた。


私の居場所は、自室しかなかった。


人形をぎゅっと抱きしめ、怯えていた。



中学になる頃には、離婚が決まっていた。


私は、勝手に決められ お母さんの方にされた。


お母さんの家の方が、お金持ちだったそうだ。


それでも、人形は手放さなかった。


お父さんに貰った大事な人形だったし、私達 家族がまだ仲が良かった時の物だったから。


私は思っていた。


また、あの頃に戻れると。




3.

中学の時からの友達、亜美は心配してくれた。


「何か、あったら言って」



悪夢が始まったのは、お母さんが人形を捨てた時からだった。


「なんで、捨てたの?」


私は怒りと悲しみの入り混じった声で、言った。


「もう汚かったし、あの男から貰ったやつなんて いらないわよ!」


お母さんは、怒っていた。


あの男…


「パパ」と言っていたのに、もう言う日は来ないのだろうか。


人形がいなくなること、それは もうあの頃に戻れないと 言われてるみたいだった。


私はゴミ捨て場を1時間以上、探した。



それでも、見つかることはなかった。



4.


見つかったのは、数日経ってからだ。


部活から帰ると、お母さんが泣きそうな目で言った。


捨てたはずの人形がある と。


人形は、リビングの床に転がっていた。


薄汚くはあったが、前よりも汚れていた。


人形はニッコリと、笑っている。


可愛く感じた、その笑顔が今は 不気味に感じられた。


あんなに、探した人形が見つかったのに 大事な人形が見つかったのに。


私は人形を、捨てた。




5.


それからは、何事もなかった。


1週間、1ヶ月、そして1年…


何事もなく、過ぎ去っていき 私は人形の事など忘れかけていた。



人形に再会したのは、中2の時だった。



お父さんが、私に会いに来てくれたのだ。


私は嬉しかった。


それは、学校からの帰り道で お母さんには何も言わずに来たそうだ。


「会いたかったぞ。美空」


お父さんはニッコリとした笑顔だった。


私も笑顔で言った。


「私も会いたかった!」


私はお父さんの方に近づいて、気づいた。



お父さんは、包丁を持っている。


人気のない道。 包丁。


殺される!


私は後ろへ、後ずさった。


「どうしたんだ?美空?」


私はもう一歩、後ろへ後ずさる。


その時に、何か柔らかい物を踏んだ感触があった。


足元を見ると、あの人形だった。


「ひっ!」


もう、怖くて怖くて 怖かった。


お父さんは、恨みのある目で私の方へと ゆっくり歩いて来ていた。


私は、もう殺されるのだと思った。


足元を見ると、人形は立っていた。


「お父さんを殺して と言って」


私は唾を飲み込み、言った。


「お父さんを殺して」


泣きそうな声だった。


人形は、コクリと頷き お父さんの方へと歩み寄った。



お父さんはぎょっと驚き、後ずさる。


人形はただ、お父さんの方へと歩み寄っている。


お父さんは尻餅をつきながら、後ずさっていく。


恐怖に怯えきっている顔だった。


人形は、お父さんから包丁を奪い そして


殺した。


私の意識は遠く、消えていった。




6.

目が覚めると、病室にいた。


私は誰にも、真実を言わなかった。


ただ、言ったのは1人だけ。


亜美だった。


「何か、あったら言って」


その言葉を覚えていたし、亜美なら信じてくれると思った。


全部の事情を話し、頼んだ。


「お人形さんを止めて!きっと、私を殺しにくる!」


亜美はコクリと頷き、私の背中をさすった。



日に日に、私の精神は蝕まれていき おかしくなっていった。


その頃には、私は精神科の病室に移っていた。


画用紙に、赤いクレヨンで「お人形さん、お人形さん ごめんなさい」


と、画用紙一杯に、毎日のように書く日々が続いた。


たまに お人形さんが、何をしているのか見える時があった。


その度に、一層罪悪感は膨れ上がるのだった。



原因は全て、私だった。


お人形さんは 今でも、私を探している。


ねぇ、亜美。お願い、今度こそ 止めて。




一応、これで終わりです。

今まで お付き合いいただき、ありがとうございます!


ですが、これはまだまだ序章です。


次はお人形さんの続編を書く予定です。


今度こそ、お人形さんを止められるのか。


活動報告の方で詳しく、お知らせいたします。


本当に、ありがとうございました!!

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