7つめ
今回は、始まり方が違います。
週に1回、精神科の病院に行っている。
そして 今日も来たのだ。
3階の1番端の病室。
そこが、親友の病室だ。
コンコン、 ガラッ
いつも通り、扉を開けて中へと入る。
親友だけの病室。
他には誰もいない。
「美空…」
親友の名前は橘 美空。
今日も紙に、クレヨンで赤く「ごめんなさい。」と書いていた。
「亜美!」
私が来たと思った途端、美空は私の肩を掴み 揺さぶる。
「どうしよう。お人形さんが。お人形さんが。」
私は美空の頭を撫でて言った。
「大丈夫だよ。大丈夫。」
「早く、殺して。殺して! 早くしないと。私、殺されちゃう」
美空は、床へペタンと座り込んでしまった。
「大丈夫だよ。 また、殺すから」
* * *
「お人形さん、お人形さん どうか
井端 聡美を殺してください」
1.
社会の教師になってから数年。
そこそこ、楽しい日々を過ごしていた。
生徒達は、かわいくとても良い子だ。
でも 中には悪い生徒もいるわけで。
特に、井端 聡美。
いつも 俺の授業になると、邪魔をしてくる。
大声で、影で、 事あるごとに俺の悪口を言う。
許せない。
恨みは、どんどん膨れ上がっていく。
でも、結局は教師と生徒。
それだけで 思い留まっていた。
2.
「お人形さん?」
生徒達が、噂しているのを知った。
「あ、先生!最近 この学校で生徒が死んだりしてるじゃないすか?」
そんなに、簡単に死ぬとか言ってもいいのか!と怒りたいが 一応 聞いてみるか。
「そうだな。」
「それ、お人形さんの仕業らしいかもって。」
お人形さん。
生徒の間で流行っているのかもしれない。
「お人形さんって…」
「あ、ごめん先生!次 移動だった!」
「あ、あぁ。遅れないようにな」
結局、聞けなかったな。
後で調べてみるか。
「先生、じゃまぁ!」
井端 聡美。
スッとどき、注意する。
「先生に向かって、邪魔とは なんだ!」
「ちっ お前がデブなのが悪いんだろ!」
と言いながら他の生徒達も、笑う。
許せない。
俺は目線を下にしながら、職員室へと戻った。
3.
夜の11時30分。
やっと、明日の授業の準備が終わり 一息つく。
「あ、そうだ!」
コーヒーを飲みながら、思い出す。
お人形さんについて、調べてみようと思ったんだ。
パソコンで「お人形さん」と打ち込む。
「あっ、これか?」
案外、早く見つかった。結構 有名なのかもしれない。
カチッとサイトをクリックした。
お人形さんのやり方
1 深夜の0時にやること。
2 照明を消すこと。
3 自分の部屋で1人、やること。
手順
照明を消した、自分の部屋で深夜の0時に
正座しながら扉に背を向ける。
そして、目を瞑りながら
「お人形さん、お人形さん どうか(嫌いな人の名前)を殺してください」
と、1回唱える。
お人形さんは、嫌いな人を殺してくれる代わりに、あなたの身体の一部を奪います。
なんだ、これは。
でも 殺してくれるのか。
自分の身体など、どうでもいい。
井端が死ぬのならば。
11時40分。
やってみよう。
嘘なら嘘でいい。
本当なら本当でいい。
そんな気持ちで俺は、お人形さんをやったのだ。
12時。
照明の消えた、暗い部屋で窓に向かって正座をする。
目を瞑り、呪文を口にする。
「お人形さん、お人形さん どうか
井端 聡美を殺してください」
静寂が耳を包み込む。
やっぱり、無理か。
そっと 目を開く。
すると、目の前に人形が転がっていた。
「ひっ!」
人形の頭がぐるりと俺の方に向く。
「井端、聡美?」
「あ、あぁ そうだ!そいつを殺してくれ!」
怖さというよりも、お願いをしなくては という気持ちが勝っていた。
お人形さんは、立ち上がり 手に持っているチェーンソーで。
俺の、
俺の、
腹を、
切り裂いて、グチャグチャに。
「うわあああああああああああ!!!!!」
* * *
「お人形さん、どこにいるの?」
もう、終わりにしなきゃ。
この悪夢を。
亜美は窓の月を眺めた。
もうそろそろで、最終回の予感!




