アプリコットフィズ(200文字小説)~いろはさんへのホワイトデーのお返し~
レトロな喫茶店。
開店時間前に日下部が店から出て来た。
入り口のドアに“本日貸切”の札をぶら下げる。
店に入って来たいろはは日下部に聞いた。
「外に貸し切りって…」
「大切なお客さんが来るからね」
帰ろうとするいろはを日下部は呼び止めた。
「今日、ここに座れるのは君だけだよ」
日下部はいつものいろはの指定席を指した。
そして、一杯のカクテルを差し出した。
アプリコットフィズ。
その意味は“振り向いてください”
「乾杯!」