3 森の中で(黒狼視点)
目を覚ますと公園だったことはあるが、
「来たこともなさそうな森ん中でしたーっていうのは初パターンだなー」
ぐっと伸びをして体をほぐす。
周りを見渡せば見たこともないような植物が沢山あって。
遥か高くを飛ぶ鳥も見たことないような色や大きさをしていて。
「これは、マジテンションあげるしかないっしょ!」
自他ともに認める中二病患者な俺はガキみたいに目を煌めかせた。
「まぁ、その前にあいつらも探すか」
きっとあいつらもここにいる。
根拠はないが、そういうのは理屈じゃねーんだと思う。
「だって四人揃わねーと始まんねぇだろ!」
「…二人を探すのは賛成」
「うぉわあ!?」
突然背後から声をかけられて不覚にも狼狽えた声をあげてしまった。
振り向くと見知った顔が無表情に立っていた。
「白影さー、急に後ろから声かけるとかやめろし。お前マジで気配ねぇんだからさー」
口を尖らせていえば白影は小さく、ごめんと謝った。
なんか会話が止まってしまい、そのまま何と無く沈黙が続いた。
「……………」
「……………くぅ」
「っておい!寝るな!」
この状況で寝れるとかこいつ天然すぎるだろ。
慌てて揺すれば完全に落ちたわけでは無かったのか目を擦りつつ、一つあくびを落とした。
…危なかった。
白影は寝てるところを起こすとキレる。
そのキレっぷりは銀河でさえ涙目になるものだ。あの銀河が、だ。
冷や汗をダラダラと流しつつ、俺は恐怖を忘れるため無理やりテンションを上げた。
「よーっし!古代の森探検と洒落込みますかぁ!」
「…おー」
レッツ探検!って白影!そっち道じゃねーから!