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「蘇芳[すおう]、もうやめましょう…こんなこと。」
「どうした?急に。またジジイ共に何か言われたのか。」
「違う…そうじゃない。元々私と貴方とでは身分が違うもの。」
「やはりジジイ共に何か言われたんだな。大体身分は差ほど変わらないだろう?私とお前は、…」
「そういう意味じゃないのよ、蘇芳。私にはもう耐えられないわ。貴方には、解らないかもしれないけど…」
「……リリィ?」
暗い部屋の中、大きな寝台の上で男女が言葉を交わしていた。しかしそれは、言葉を交わしているというには少し荒々しく、かといって言い争いというには落ち着きがある。
うち男の方である蘇芳はいつもとは様子の違う愛する者に、眉間に皺寄せていた。