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ふ~。あいつらを第二体育館らへんでまいてきたがどこに行くか……。
せっかくめんどくさいのを我慢して五月蝿いやつ等を全部振り切ってきたんだからな見つからない場所を探さないと。
……ん?よく黒モジャ達を撒けたなって?
自慢だが俺の脚はこの学園内でなら一番速いって断定できるくらいには速い。
中学で無理やり助っ人で走らされた陸上の全国大会で、一年の頃からぶっちぎり1位取るくらいには。
ぶっちゃけこの学園にもその推薦で入れるって言われたが、めんどくさそうだったから断った。
勉強しなくても進学出来るのは魅力的だったんだがな、そんなので入ったら確実に部活に入って毎日毎日走らされるだろ?そんなの考えただけでもめんどくさくすぎる。
まぁ学園入ったばっかのときは陸上部の熱血に何回か追っかけられたこともあるが、その全部をまいて丁重にお断りをしていたら諦めてくれたのは今となっては良い思い出だ。
……別に脅した訳じゃないからな?
お話し合いという平和的な解決策をしただけだぞ。うん。
陸上部の奴等未だに俺を見て蒼い顔して逃げてくのはきっと気のせいだ、気のせい。
まぁ俺の理想は、目立たず、騒がす、平凡に。惰性な日々を謳歌することだ。
邪魔するようなやつがいるなら退かすのはしかたないだろ?
その中心人物なら尚更……。
「邪魔するなら誰でも潰す。なぁ、良い言葉だと思うよなぁ? 会長さん。」
完璧にまいて見つからないと思ったからこそこんな学園の端の旧校舎まで来たってのに、何故俺の背後にいるんだバ会長は。
黒モジャ……というより集会はどうした。集会は。
「……って近いわ!!」
まったく息切れしないで俺の後をつけてきた事に本気で驚きつつも、若干イラっとしてたら何故か馬会長が俺の目の前まで来ていた。
……いやいやいや。こいつついさっきまで五メートルくらい離れた校舎の影に隠れてたはずだよな?
なのにどんな瞬発力してのこのバ会長。
というより、何故片手で俺の手を握って、片手を腰に手を回す。
普通よっぽど親しい奴でも肩が触れないくらいまでしか近寄らないだろうがっ!!
……って、今までまったく息切れしてなかったってのに何で急に息が荒くなってんだ!
ちょっ!!顔を近づけんな、顔を!
例え美形だろうと俺には男の顔を見て喜ぶ趣味なんかないって言ってんだろうが。キモイ(怒)
「……ふ、ゆちゃん?」
「あ゛ぁ?」
無言で俺に顔を近づけてこようとするバ会長をどかそうと必死で抵抗していると何かが落ちる音がした。
あぁ、何かこの先の展開がよめるが、恐る恐る音がしたほうへ振り向いた。
その先を見たら案の定、自称親友である安倍がこっちを見ている。
……それも、どこぞの少女漫画のヒロインのように胸元を握りしめ、俺の今のよく分からん状況をガン見してた。