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「ちょっ!!ふゆちゃん、ヤバイって!!来たよ来た!!」
バシバシとまだ俺の腕を叩きながら安倍が訴えてくるが、叩かれているだけなのもムカつくから頬を力の限り横に引っ張ってやった。
くそっ!!少し面がいい奴は慌てても、どんな表情してても様になりやがるな。
イケメンなんか爆発してしまえば良いのに。
と、何俺は安倍に毒されてるんだ。
それもこれもこの馬鹿が事あるごとに俺に良くわからん単語を言ってくるからだよな。
次からは気をつけよ……。
「おいっ!! 何やってんだよ! 冬刀!! 巧が痛がってるだろ?!」
巧が一生懸命訴えるように見ていた視線の先にいた黒いモジャが喚きながらこっちに近づいてきた……。
どかどかやって来たかと思ったらギャーギャー喚きながら、俺と安倍を引き離して一方的に更にギャーギャー文句を言い始める黒モジャ。
もちろんこんな黒モジャに触りたくなんかないから奴に触られる前に逃げたが、それが更に奴の怒りに触れたのかどんどん喚く声がでかくなっていく。
……よし、殴っていいよなこいつ!!
「ちょっ!!ふゆちゃん考えてることまるわかりだからっ!!もうすぐ生徒会も来るんだから今は抑えて抑えて!!」
拳をギュッと握りしめてたら、それに気づいた安倍に止められた。
おいバカ。その言い方だと生徒会が来ないとこならいいって言ってるようなもんだぞ。
お前の言う萌えってのはもういいのかよ、おい……。
「おい冬刀!!! ちゃんと俺の話聞いてるのかよ?!」
「あ゛ぁ゛?! 聞いてる訳ねぇだろうが。馬鹿じゃねぇの?」
イライラするのを一切隠すことなくそう言ってやると顔を真っ赤にして更にうるさくなっていく黒モジャ。
その後ろにいつの間にか勢ぞろいしていた黒モジャ信者共。
一体どこに隠れてやがったんだこいつ等……。
揃いも揃って勢揃いで俺を睨み付けてきやがって。
潰すかやっぱ。
「おぉ今日は何時にも増して豪華だね~副会長に双子書記君でしょ~。不良君に爽やか君とチャラ男会計君に風紀副委員長までいるよ冬ちゃんっ!! ちょっっ! 何この俺得状況?!」
「あ~はいはい。よかったですね~……」
安倍が興奮してどんどん残念な感じでテンションが上がってきている。
……こいつら。安倍に比べたら影薄いよな何時も思うけど。
後、黒モジャうっぜぇ~!!庇ってくれる奴が来た途端にドヤ顔してんじゃねぇよ。
何キラキラした目でそいつら見てんだよ。
んで、その勝ち誇った様にこっち見るのやめてくんねぇ?
目潰し喰らわせんぞ。本気で。
さて、どうするか。
ここで無視してもウザイし、かといって言い返してもウザイ。
それより何でそこまで俺が考えなきゃいけないのかって考えたら更にウザイんだが……。
あ~、こういうのを八方塞がりっていうのか?
てか、生徒会がここにいていいのかよ。
お前らがここにいたら朝会は誰がすんだ?