3
「ふ~ゆと!!」
「ぶふぅっ…!!」
集会まで時間もあるし……と、ウトウトしてしまい無防備だった俺に後ろから手加減せずに飛びついてきた馬鹿が一人……。
油断してたから変な声でたじゃねぇかっっ!!ふざけんなっ!
「おはよ~。なぁ~に寝ようとしてるのさ。ふゆちゃん♪」
「……お~ま~え~は~。ウザイ!!」
飛びついてきた馬鹿の名前は自称親友の、安倍 巧。
俺がこの学園に入学してから何故か絡んでくる、本人曰く隠れ腐男子だそうだ。
……いや、だけど俺に言ってる時点でもう隠れじゃねぇだろ。こいつ本当に馬鹿だな。
そんな残念な自称友人にお仕置きとして取り合えずヘッドロックをかましたら少し顔が青くなっていた。
まぁけど問題ないよな。うん。
「ゴホッ…。それより今日は王道君と一緒じゃないの?いつもいるよね彼。」
「あ゛ぁ゛っ?!」
「ちょっ!!どこの三流映画のヤーさんなのさ!!本気で恐いよ?!ふゆちゃん!!」
いかんいかん。俺としたことが。
自称友人の不意打ちな言葉に思わず思い出したくもないものを思い出してしまったぜ。
……あぁ、あの黒モジャ、早く俺の前から消えてくんないかな。
ちっ!せっかく今日は奴が寝てるうちに逃げてきたってのに、何であんな黒モジャを思い出さなきゃいかんのだ。
こんなんじゃ何時か絶対胃に穴があく。俺の胃はデリケートなんだ。開いたらどうしてくれるっ!
このムカムカを晴らすべく思い出させた馬鹿の頬っぺたを、今度は両手で思いっきり引っ張ってやっていると、周りがどんどんうるさくなっていく。
けっ。こいつ見た目だけはイケメンだからな。
顔しか見てないこの学園の奴らにはめちゃくちゃ人気で、最近知った残念な親衛隊とやらもあるらしい。
だからこそ馬鹿共がいつもぎゃーぎゃー五月蝿く喚いてきやがったのか。
入ったときから知ってたら何としてでも如何にかしたんだがな……。
まぁ、俺には特に直接的な迷惑はかけて来なかったからまぁいいか。
あ~、だけど本気でうるっさいな。
キャーキャー、キャーキャー。ここはどっかの女子高かよ(怒)
甲高い声を男が叫んでんじゃねぇ。
止まない喚き声にむかつきが止まらず、どんどん眉間にシワができていく。
……あ゛ぁ゛、この俺を不快にさせてんだからこいつ等全員のしたらダメか?
てか良いよな。うん。
体育館にいる奴らを片っ端から片付けていこうとしたら、安倍が何かに気づいたのか慌てて俺の手をバシバシ叩いてきた。
……って、いってぇよ!