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美形に安易に近づこうとする奴に制裁するのが当たり前。
生徒会に近づくなら『死を覚悟しろ』と言わるくらいに危ない連中がウヨウヨ加入しているのがその『親衛隊』らしい。
聞いたときは何だそりゃとは思ったが、まぁ全寮制の山の中にあるこの学校は外部との接触が普段まったくと言っていいほどなく、隔離された特殊な世界だからこそホモやバイが当たり前になってしまったらしい。
……若いエネルギーが良くわからんとこに突っ走ったんだろう、きっと。
まぁ、そんな中に根暗そうな人間が、美形をギャルゲーのようにどんどん落としていったらどうなるかなんて、火を見るより明らかだろ?
そして落とした後に、全く見向きもしなくなった日には……なぁ?
そんなもの誰だって怒るに決まってる。
自分の好きな奴を粗末に扱われて怒らない奴がいたら、そいつは余程のSだろ。
……とは言え、俺に言わせたら長期休みとかには普通に家帰れるんだから、そこまで熱狂的な信者みたいに染まることはないと思うんだが、どうなんだ?
自称親友にそうもらしたら
『そんな正論なんか誰も望んでなどいないのだよ、親友よ!!それじゃあ何も始まらないじゃないか!!全寮制の、し・か・も男子校ときたら腐女子及び、腐男子の皆様は、夢あふれる王道学園の物語をお求めなのだよっっ!!分かるかい?!だが心配する事はない、安心したまえ!!僕は王道よりも、脇役主の方が大好きさ!!これはもう1日や2日で語りつくす事ができない程の萌えなのだよ、わかるかい?!そして親友よ君は僕が夢に描いてたその脇役主にピッタリだ!!大丈夫!僕が責任をもって君を総受けにしてあげるから!!』
よくわからない事を声高々に言う自称親友が、興奮しすぎて鼻息が荒くなってきたから気持ち悪くて取り敢えず鳩尾に一発いれておいた。
そしたらなんか鳩尾に綺麗に入ったみたいで良い感じに静かになったな。うん。
だが気持ちが悪いうえに俺を変な妄想にしやがって……やっぱもう一発入れとくべきだったか?
まぁ、そんなこんなで、奴のせいで学園が自称友人が言っていたみたいに荒れていったのは言うまでもないんだが、何を血迷ったのか奴は偶々隣の席だった俺を、あ・ろ・う・こ・と・か、親友宣言しやがった。
言葉もめんどくさくて交わさなかった俺に。
名前さえ知らないうちから親友。
自称親友でさえ始めてあったときはある程度礼儀は弁えてたぞ。
まぁ今はネジが何本も飛んじまってるが……。
頭おかしいだろアイツ。
そこは百歩譲ってそれに関しては許してやっても良い。(俺って優しいな。うんうん。)
だけど何をトチ狂ったか奴はあろうことかこの俺を、隠れ蓑の生贄にしやがった。
それは一体全体どういうことなんだ?あ゛ぁ゛?!
親衛隊がいても、あの顔だけいい集団に近づいたのはお前の意思だろうが。
そこに親友だなんだと俺を引っ張りまわしたあげく不の感情を俺にすべて押し付けてくる。
それも自覚があるのか、それとも無意識か……。
まぁ、どっちにしろ……これは八つ裂きの刑にしても誰も文句なんかないよなぁ?