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「ぅう……眠い……」
今日が集会がある日だって言うのを分かってて、夜中までゲームなんかするんじゃなかった……。
落ちそうになる瞼を必死に擦り眠気に抗っていた俺は軽く昨日の行動を後悔していた。
集会が行われる第一体育館に来た時はまだ良かったが、用意されていた椅子に腰掛けていると必死に我慢しててもまた強い眠気が襲ってくる
ぅう……。
フカフカすぎる椅子がこんな時はちょっと憎い。
なんで、たかだか高校生の集会くらいでこんなに立派な椅子が用意されてるんだよ……。
普通は直に床に座るもんだろ。これだから金持ち学校は……。
……あぁ。すまん。
自己紹介しないとダメだよな。
自己紹介……。
俺の名前は三上 冬刀。高校2年に上がったばっかりの日本男児だ。以上。
ん?そんなもんじゃ良く分からん??
あ゛~、たいして紹介できる特技があるわけでもないどこにでもいるような平凡だ。
あえて上げるとしたら、ちょと人より気が短くて、ちょっと口が悪いくらいだな。うん。
あぁ、でももう一つ。最近の俺の特徴を挙げるなら疫病神がついてるんじゃないかと思うくらいに運が悪い。これでもかって位には。
ん?そんなの気のせいだぁ?
いやいや。本当。冗談抜きで。
まぁそれもこれも全て、よくわからん時期に転入してきた『1人の転入生のせい』っていうのが後につくんだがな。
あ゛~なんだっけ、あれだあれ。
自称友人が言ってたやつ。『王道』?なんて言ってたか?
そのくそフザケタ奴が来てから静かに過ごしてた俺の周りが一変に騒がしくなりやがったんだ。悪い意味で。
そのせいで溜まったストレスを発散するために、最近の俺はゲームで気晴らしをする時間が増えたってわけだ。
じゃなきゃ、本気で誰かを殴りそうで殴りそうで……。
まぁ、でも殴るとしても不特定多数の相手じゃないぞ?
俺もそこまで無差別にやったりはしないからな。
だけど、ほら、あれ。王道?って言う奴だけは殴らせてくれ。
手加減しないでボッコボコになるくらいに。
あの馬鹿のせいで俺はここ暫くイライラが収まらないんだから、殴ったって罰は当たらないだろう?
それ位奴は糞めんどくさい生活を俺に押し付けやがったんだ……。
事の起こりは、やっとクラスに慣れてきた5月。
奴がこのクラスに転入して来た事から始まった。
俺の数少ない喋る奴……、自称友人いわくこの学校は『王道学園』らしく、美形ともてはやされる奴らには『親衛隊』なんていうファンクラブが存在してるらしい。
俺はそこら辺はまったく興味がないから知らなかったんだが、そいつらは只のファンじゃなかった。