16
「会長、加來咲がここにいるってことはもう隠すのやめたの?」
奴の事をどうにか呪えないものかと考えている俺に、奴はいつもの如くニヤニヤと笑いながら言ってきた。
「あ゛ぁ゛? お前はそれより前に俺に何か言うことあんだろが? なぁ?」
「別に? 楽しそうに学園生活送っていたみたいだからすこしスパイスは加えてあげたけど……。それがどうかした?」
顔の表情は全く動かさないでその実その心情は爆笑しているだろう奴はそう宣った。
あ゛ぁ゛? だ・れ・が楽しそうだって? めちゃくちゃ嫌がってただろうが(怒)
わかってて言う貴俊にイライラが止まらず、顔面を殴ろうと拳を握ったがそれよりも前に何故か奴と俺との前に馬鹿が立ちはだかった。
……あれ? 今までこいつ痛みで動けなかったはず、だよな? なんでこいつもう立ってんの? 何でこんなタフなんだ?
結構手加減なしで痛めつけたはずなのに、平然と目の前に立っている馬鹿を見て本気で腕がなまったのかと不安になる。
いや、俺がなまったんじゃなくて馬鹿が変態なだけだな。うん。
「川上貴俊。御主人様に対して少し口が過ぎるぞ」
「なに? マテもちゃんと出来ないような犬が僕にでかい口叩かないでくれるかな?」
「ふざけんじゃねぇぞ、てめぇ。御主人様以外がそう言うんじゃねぇっ!! てめぇこそ御主人様の傍に行くことが許されてたっつうのに随分手抜き仕事してるみてぇじゃねェか。使えねぇ、爪も牙もねぇ猫ごときが俺に指図してんじゃねぇぞ」
俺の目の前で、何故か阿呆と馬鹿が喧嘩一歩手前のにらみ合いを始めだした。
周りが呆然としていることも気にせず、マリモが馬鹿に何か喚きながら突進していくのも片手で振り払って全く歯牙にもかけていない。
いやいやいや、なんだこれ。何でこうなった。
馬鹿を痛めつけるために阿呆をわざわざ探したっつうのに、何でこうなった。
俺の計画では阿呆が出てきたら意外と力が強い阿呆に、馬鹿を殴らせて制裁する予定だったってのに何で今こいつらは目の前で喧嘩なんか始めてやがんだ?
え? 俺の計画ミス?
そんな馬鹿なことあるわけ……。
「……冬ちゃんあの人探して何がしたかったの?」
「……聞くな」
少し離れた場所で状況がどうなるのか見てたんだろう安倍が隣に来て聞いてきたが、そこは軽く流して今度はなぜか俺に突進してきたマリモを蹴り上げて遠ざける。
何でこいつはこっちにくんだ。馬鹿どもがてめぇのこと無視すんのは別に俺のせいじゃねぇだろうが。
「で? 今まであんなにめだちたくないとかいろいろ言ってたのに、加來咲を連れてるなんて表に出てくる気になったの?」
「あ~、まぁ馬鹿は成り行きだが、そろそろそこにいる奴等やギャーギャー喚いてるクズ共が鬱陶しいからな」
「だけど加來咲との繋がりバラしたほうが煩くなると思うよ?」
てか馬鹿とやりあっていたはずの阿呆が何で俺の隣で普通に喋ってるんだ。いつの間に来やがった。
「まったく。君が口が悪いのは知ってるけど、僕のことを阿呆何ていうのはやめてくれるかな? ねぇ? ご・しゅ・じ・ん・さ・ま?」
「わかったからその呼び方はやめろ。気持ちわりぃ……」
わざとだとは分かっていても川上に普段絶対呼ばれない気持ち悪い呼び方をされ腕にいっきに鳥肌がたった。
やめてくれ。
……ってかまたナチュラルに思考読まれた?
俺の周りのやつは思考読むのが標準装備なのか?まじで。
「ん? 別に思考なんか読んでないよ? そんなことしなくても顔と僅かな動きや動作でだいたい言いたいことってわかるし」
……俺の周りって、いや、それより俺の平穏っていつになったら戻ってくんだろうな。
はぁ~~……。
なんか一気にめんどくなったな。こいつら置いて帰ったらダメか?
んで、俺はこいつらと一切関係ないってことで
「無理に決まってるんだからいい加減諦めなよ。というより、どっちかというと今は君が中心になってるようなものなんだから、さっさと諦めて収束させたら? そのほうが君の言うめんどくさいのは少ないでしょ。ぜったい」
だから人の思考を読むんじゃ……って俺何回、同じこと考えてんだよ本気で。
「どんまい☆ 冬ちゃん♪」
いや、うん。
もういいからだ・ま・れ(怒)




