表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/22

13





「冬ちゃん、冬ちゃん! 王道君が来たよ」

「……っは!!」


突然の事に軽くトリップしていた俺は安倍の声と、興奮しているのか何回も叩かれる肩への衝撃で意識を取り戻した。

今まで加來咲家の人間に迫られてきたとは言っても、一族の中で何か誓約があるのか脚に纏わり付いてきたり口付けてきたり何かの変態行為はよくあったが、性的行為に繋がるようなことは一切されたことがなかった。

言ってしまえば犬とかが足元にじゃれ付いてきたりするようなもんだ。


なのにこのバ会長は俺にナ・ニ・ヲ・シ・タ……?


まぁ、言いすぎかもしれんがコイツは俺に性的な意味で触れたってことだ。

下僕が。ご主人様に。


これは許されることか……?

否。


これは許していいことか?

否。


下僕がご主人様に手ぇ出したらどうなるかきっちり躾けねぇと、なっっ!!


「死に晒せやクズがっっ!!」

「……グッゥ」

「ちょっっ?! 冬ちゃん??!」


軽くトリップしている間もバ会長は俺を離さないどころか、ずっと引っ付いていた奴の腕を思いっきり掴むとそのまま馬鹿の後ろに回って床に沈める。それと同時にすぐ奴の背中を全体重をかけて踏みつけてやると、とっさのことで受身が取れなかっただろう馬鹿はくぐもった呻き声を上げた。


「なぁ、会長さんよ。テメェ俺に今何しやがった。何時俺が好き勝手して言いって言った。あぁ゛?」

「も……しわけ、ございま、せん……御主人様」


さっきよりも爆発的に食堂の中が煩くなったが、気にすることなく床に這いつくばってる馬鹿を踏みつけ睨みをきかせる。















…………んだが、馬鹿の顔がどんどん恍惚としたものに変わり、最後には何故かハァハァと息まで上がってきた。


あ゛~~~~っっくそっ!! だから変態の相手は嫌なんだっっ!!

何で痛めつけてるはずなのに俺の方がダメージうけてんだよっ!! ふざけんなクソッ!


「あ~~っっ!! 冬刀、薫樹に何してるんだよっ!! そんなことしちゃいけないんだぞっっ?!!」

「ぅるせぇ! 俺の名前呼ぶなって何度言ったら分かんだボケッ!!」

「御主人様との甘い時間を邪魔するなっ!!」


黒マリモが喚きながら走ってこっちに近寄ってくるのに怒鳴り返すと、足元から今まで聞いた中で一番大きな声で馬鹿が怒鳴ったその言葉に一気に俺の全身に鳥肌が立った。

何が甘い時間だっ!! 天地が引っ繰り返っても男なんかと甘い時間なんか過ごすかっっ(怒)!!


「ふふ。冬ちゃん大丈夫!! 心配しなくても俺がきっちり愛され受けにしてあげるからね♪」

「だ・ま・れ(怒)」


今まで静かだと思ったら急にテンション上げて安倍がキモいこと言ってきたから、思いっきり鳩尾に右ストレートを入れると綺麗に入ったのかむせ始めた。はっ、ざまぁ。




…………てか、何で俺の周りってこんな変態共しかいねぇんだろ。

俺の平凡な生活はいつになったらおくれんだ?


少し黄昏ていると、黒マリモがそこら辺の生徒を突き飛ばしながらやって来た。

こいつは全く避けることをしねぇな、本当。


「冬刀っ!! 薫樹に何てことしてんだよっ!! そんなことしちゃいけないんだぞ?!」


近寄ってきた黒マリモがギャーギャーと喚いてくるが、未だに足の下で恍惚とした表情をしている会長をどうするか真剣に考えている俺は取り敢えずそれをスルーする。

それに付随して黒マリモ軍団や食堂内が一層煩くわめきたててくるが、それもいちいち構ってられないので全部スルーだスルー。


さて、まずこの変態をどうしてやるか。

ただ痛めつけただけじゃ今みたいに喜んで俺にダメージがくる。

かと言ってこのまんま何もしないのは何か釈然としねぇし、どうしたもんか。


……あぁ、そうか。俺が痛めつけるのがダメなら、俺が痛めつけなければいいんだよな。


「冬ちゃんすっごい悪どい顔してるよ~」


腹が痛いのか安倍がそんなこと言ってきたが、今俺は機嫌がいいから一発殴るだけで許してやることにした。

さて、そうと決まったらヤツを探さないとな。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ