終の住処
武田くんって…青山って…
また色々絡んできてますね
私、江波順子76歳は現在は有料老人ホーム「楓」に単身入居している。
夫とも死別して子供も居なかったので、住んでいた家を処分して身軽になって終の住処として入居した。
まだ健康なので個室と食事サポートがあれば充分だ。
やっぱり独りぼっちは寂しいので話し相手も居るこの場所に不満は無かったのだが…
武蔵、青山武蔵はこの施設で仲良くなって話し相手となっていた。
お互い独り身だがもうこの歳になると男女がどうのこうのは無い、良い友達だ。
武蔵には孫までいるので、たまに会いに来ていた。
入居していた途中から経営していた会社が変わり、そこから少しずつ変化があった。
働いていた職員もその時辞めた人も何人かいる。
恐らく給与面で揉めたのだろう。
残っている職員は私達を放っておけないと言う善意だろう。
基本根が優しい人が多い。
経営者が変わって悪くなった事は多くても良くなった事は何もない。
まあ、経営難だったろうからある程度は仕方ないとしても…
正直今は払っている金額にサービスが見合わないと思っていた。
先程話題になっていた食事もそうだ。
味どうこうよりかなり質素になって品数も一品減った。
やはりまだ健康ならマンションを借りて一人暮らしした方が良かったのだろうか…
そして、新しく来た職員の浪川…
パッと見は優しそうな男だ。
ただ、目が笑っていない…
何だか殺気に近いような、狂気のような…
堅気に思えない雰囲気だ
そしてその浪川の最初の被害者…
茅原さんも所謂キレ老人で、些細な事で怒鳴り散らすタイプだった。
若い頃は違っても老人になるとこうなる人もいる。老化が原因で仕方ない事だ。
まあ周りの人間はたまった物じゃないが…
浪川が個室で茅原さんを大人しくさせた
口論となって興奮して転んだと言っていたが恐らく足を折って寝たきりにさせた
その後みるみる衰弱して行って入院し、他界した。
まだ一度だけなら事故とも思えるが、何度も続くと疑うしか無い。
その内、察しのいい人は大人しくしている
「江波さん、下げても宜しいですか?」
前からいる職員の武田くんは口調も優しくて見た目も可愛らしい人だ。
まあ、いいお兄さんに可愛らしいは失礼かもしれないが、私から見たら孫位の歳頃なんでそう見えても仕方ない。
「はい、お願いします」
さあ、気を取り直して…
お風呂に入って冒険に出かけないと。
○○○○○○○○○○
ピカリ「俺そろそろ抜けます」
ジュン「じゃあ、キリがいいからそろそろパーティー解散させますか」
トビー「はあい!お疲れ山〜!」
ホッシー「お疲れ様」
ーパーティーを解散させましたー
パーティーチャットからギルドチャットにかえた
ジュン「今回のマップのモブは経験値良いね、レベ上げに使えそう」
トビー「そうね!白魔法が効くモブも居て助かる〜!」
ホッシー「ひたすら硬い物理攻撃しか効かないモブも俺向きです」
ジュン「今回のマップは暫く混みそうだね」
トビー「まあ、うちらカンスト組はレベル上限解放されてからのんびり来ましょうかね!」
ホッシー「だね。マップのBGMも今回良かった」
ジュン「そうだねー」
ホッシー「じゃあ、俺は生産アイテム集めに行きます」
ジュン「じゃあねー、頑張ってね」
トビーから個人チャットが来た
トビー「ねえ、ジュン、この後私の島に来ない?」
ジュン「うん、良いよ。釣り大会でもする?」
トビー「ちょっと2人だけで話したいんだあ」
ジュン「?良いけど」
ートビーから島への招待が来ましたー
ジュン「話って何?」
普通のチャットはそのマップにいる人全員が聞ける
野良パーティーなんかの募集もこれで声かけする
パーティーチャットはパーティー内だけで聞ける
ギルチャはギルドメンバー全員が聞ける
個人チャットは指定した相手とだけの会話だ
島の中は島のチャットが有って、入らないと周りには聞こえないチャットだ。
多分個人チャットでも良かったが、ギルチャも流れて来ていてそれぞれ会話していたので切り替え操作ミスでギルチャに流れるのを防ぐ為他のチャットを切って島チャットのみにしたいのだろう。
何か相談したい事や悩みなんかが有るのだろうか?
トビー「あのね、ジュンってさ、女の子だよね?」
女の子って歳は遥か彼方に過ぎ去ってはいるが、人類学的性別は女だ。
ジュン「まあ…一応リアル女だけど?」
トビー「実はね…私…俺、男なんだ」
ジュン「へー、そうだったんだ」
カンスト:カウンターストップ、レベルが上限まで達してます
無課金マッタリの割にジュン始め廃プレイヤーが集ってるみたいですねこのギルド




