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タブレット・ジュン  作者: 水嶋


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11/16

文殊の知恵

結局それから私はこの役は辞退した



「その程度の事で傷ついてる様じゃ綺羅々はこの世界じゃやってけないわね」



母からはそう言われた


まあ、呆れてられた、見限られた…とも言える



私はまだ子供で世間、芸能界の事を甘く見ていたのかも知れない



学校へ行くと周りの友達とのお喋りも年頃なんで恋愛話が多い



「この間、彼氏とキスしちゃったあ」


「私は初めてエッチしちゃったよ〜。年上だからリードしてくれて…優しくしてくれたあ。でもやっぱ痛かったあ」


「愛されてる〜」




母からも失望されて学校でも話が出来ず自分がされた事と比べてしまい落ち込んで、段々部屋に引きこもる様になっていた



高校にも進学せず、部屋でひたすらYouTubeやテックトックを見たり、携帯ゲームアプリをしたり…


ドラマや映画を見ると芸能界…あの日の事がフラッシュバックするので見れなかった


誰とも関わらず部屋で過ごしていると段々自分が生きているのか死んでいるのか分からなくなっていた


たまに衝動的に自傷行為をしてしまっていた


手首に軽くカミソリで傷を付けて血が流れる姿を見ると何故か気持ちがスゥッと落ち着いた


あぁ、まだ生きてる…


そう思えた



そんな風に長く過ごしていた時にこのゲームに出会った


まあ基本無料だし、暫く他人と話もしてなかったけど…


チャットしなくても1人で黙々と集中出来れば現実も忘れられて自傷行為もしなくて済む


キャラはゴツいドワーフの男を選んだ


ゲームの世界では別人に…男になって違う人生をしたかった


選んだキャラのせいで中々レベルも上がらず多少難航していた


そんな時にたまたまレベル上げの募集チャットが流れてきて、その人は女のキャラだったので初めて他人に声をかけた



ホッシー『初めてパーティ組むんで分からない事が色々有るけど宜しくお願いします』


ジュン『実は私もなんだあ、まあ失敗してもゲームだしさ、気楽にやろ?』



そうしてジュンと初めて出会った


そこから人と出会い、リアルでは話す人も友達も居なかったけどこの世界で段々人と話せるようになり、社会復帰のようになって来て癒されて行った





○○○○○○○○○○





『ジュンは大切な友達だから…私みたいな怖い目に遭って欲しくないの』


『そんな目に遭っても私の事心配してくれるなんて…キララは凄いね。優しくて強い。やっぱりナイトだなあ』


『そうかなあ…私は怖い事から逃げて引きこもってるだけだよ』


『ううん。だってこの間のパーティーでも武蔵言ってたよ。ホッシーは男前で俺が女ならホッシーに惚れるなって。』


『あはは。私の演技の経験も役に立ってるみたいだね。上手くみんなをだませてるのかな』


『うんうん。私だって分からなかったもん。大した役者だよ』


『そうかあ』


『だからね…キララがこのまま役者を辞めちゃうのは勿体無いなあって思うよ』


『そうかなあ』


『うんうん。またいつかドラマや映画で見たいなあ』


『なんか…ジュンに警告するつもりが私が励まされてるなあ』


『あ!そうだった、トビーの事だったね。まあ、何とかするよ。伊達に年食ってないからね』


『あはは。ジュンは謎多き女…だけど…やっぱり凄い人だなあ』


『そう?』


『うん。それに、大切な友達』



『うん、私もキララは大切な友達だよ』




○○○○○○○○○○




『トビーの事色々分かったよ』


ピカリこと光太郎からラインが来た



『どんな?』


『上野拓磨24歳、埼玉県○○市で住み込みで働いてたけど退職ってか多分クビ。部屋を追い出されて高校の頃の先輩を頼って東京に住んでる先輩の部屋へ転がり込んでる』



『えっ!?名前は浩二じゃ無いの!?』



『偽名だね。この浩二って名前、聞き覚えがあったから思い出して…2年前に人から頼まれて調べた人物だった』


『でも…メールの名前は浩二ってなってたよ?』


『あー。名前表記って設定で変えられるから。気をつけてね』


『成る程…勉強になります』


『で、その偽名元の浩二、邦枝浩二は高校の頃からの友達ってか悪友?クラスの男の彼女に手を出す…一緒にレイプしたりかな』


『えっ!?』


『まあ上野はおこぼれ頂戴の腰巾着かな?浩二にくっついてた感じ?大体主犯は浩二。因みに本物の浩二は2年前通りすがりの人にケンカ売って刺されて死んでる。その浩二が居た先輩って人の所へ行くみたいよ』


『うわあ』


『因みに上野拓磨は同僚の女に手を出そうとして揉めて喧嘩沙汰になって暴れてクビ』


『ドクズだった…』


『まあ、多分先輩って人の所に行ったら詐欺やらなんやらやらされるだろうね。浩二もやってたから。あと、今使ってるトビーも他人が育てたキャラからアカウント買ってる。キャラの名前変えてるけど』


『最悪…でもよく調べたね』


『まあ、上野拓磨にウイルス付きのエロメール送ったらあっさり食いついたから簡単だったよ』


ピカリ…何者だ…


でも


『ちょっと後で連絡していい?』


『うん?』





キララにラインしてピカリの事を話した



『ピカリなら…キララの事襲った富永って人の事暴けるかも』


『ピカリって凄い人だったんだね』


『多分富永は他にも同じ事やってると思うんだよね』


『そうだろうね…現にママも若い頃同じ事されてる』


『私ね、キララはこのままじゃダメだと思うんだ。起こってしまった事はどうしようも無いけど…それに立ち向かって生き直して欲しいって思う。まだ若いんだし』


『うん…私もこのままじゃダメだって…思ってる』


『ピカリに相談してみない?きっと力になってくれると思う。』


『うん…そうだね…ジュンが言うなら…きっと出来る気がする…』


『そうだよ!伊達に年食ってないからね私。大丈夫、キララは絶対立ち直る。あれだけコツコツ真面目にやれる人だもの!任せて』


『分かった。てか何歳よジュン。あはは』



ピカリにラインして、私とキララと光太郎のグループラインを作った



『私、ホッシーこと石田綺羅々と言います。昔子役をやってました』


『俺は坂田光太郎まあ俺、女ダメだから安心して』



そうだったんだ…ピカリのまた謎のプロフィールが増えたぞ



キララが私に話した経緯をピカリに改めて話した

2周目でも腹が立つ


『成る程ね。多分被害者は多いかもね。調べてみるよ。分かったら連絡する』


『有難う』


『被害者達の証言を集めて戦おう!』


『あはは、ジュン、まるでボス戦前みたいだね』


『そうよ!ついでにトビーの事も解決させてやるわ』


『その点は俺に任せて。考えが有るから』


『何か…パーティー組んだみたいで…少しワクワクしてきた』


『そうよ!1人じゃ戦えなくても3人寄れば文殊の知恵よ』


『ジュン、例えが渋いね』




まあ、お婆ちゃんですからね





邦枝浩二については「吸血鬼と仕事人」

光太郎が調べた経緯については「深海」


を参照下さい。

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