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5、彼の実力

あの事件以来、不良仲間たちが絡んでくることが少なくなり、暖陽(はるひ)は朝から学校へ登校することも多くなくった。

たまに彼が協力しているグループのボスからお願いされて協力する程度に減っていた。真面目に授業受けるようにはなったものの今までの行いから信頼を得るには足りない。そんな中行われた簡単な小テストで、先生たちや他の生徒たちからもカンニングしているのではと疑われていた。この前、都羽咲(つばさ)に頼まれて教えたことも実は知っていた答えを教えただけで自分で解いてないのではと疑いを持たれており、信頼を得るにはどうしたらいいのか頭を悩ませていた。

「暖陽〜、最近まじめって聞いたけどー」

彼の友人がクラスへ訪ねてきた。からかうことしか言わない友人だが、役にはたつことしてくれるだろうかと考えた。

「⋯⋯まじめって思われてねぇよ。疑われてんだよ」

「何が? 何か疑わしいことでもしたんか?」

「してない。違うんだ、小テストいい点とったら疑われてるんだよ。カンニングじゃないかって」

意外な理由に唯弦(ゆづる)は拍子抜けした。いつものと同じようにからかってやろうとしていた彼にとって思いもよらない悩みに返答に困って言葉に詰まってしまった。

「⋯⋯⋯お前がそんなことで悩むとはな」

「俺も思わなかったよ」

「⋯⋯俺が証人なってやろうか? 」

証人が必要なのは確かだろう。今までの行いからして信じてもらえないのは当たり前だ。唯弦は暖陽のことをよく知る人物の一人であると同時に頭の良さを兼ね備えており、トップの都羽咲に続く2位の実力の持ち主である。そんな彼が証人となれば納得する者が出てくるだろう。それから、暖陽の証人なるべく、毎日一緒に勉強の口実にクラスにやってきては教え乞うているように見えるよう偽装しに来るようになった。

「⋯⋯最近、我妻(あがつま)くんよく来るね?」

「あー、暖陽さがさ、カンニングを疑わらて困ってるって言うから、勉強してるんだって事実を作ればいいだろ? だから協力してる」

「なるほどね、でも、そんなことしなくても大空くんは頭良いでしょ?」

「⋯⋯なんでそれ知ってんの? 唯弦から聞いた?」

暖陽が返すと、彼の視界の端で唯弦が首を横に振るのが見えた。違うということなのだろう。ということは質問の張本人である都羽咲が何故か知っていることになる。

「そんなのわかるよ。私、先生から聞いたんだけど、入試テスト2位だったって聞いてて。でも入学してからはずっと1位。だから、もしかしたら1位だった人がしっかり受けれてない人なのかなって」

「それだけで俺って判断したのか?」

「⋯⋯そうだよ、だってそうでしょ? 1番ちゃんと受けてなかったのは大空くんだけだよ。だからたぶんそうかなって」

都羽咲の分析力にびっくりだった。だか、彼女は頭も良く先生たちからの信頼も厚いため、分析するにいい情報も多かったのだろう。

「すごいな。ならお前も証人なってくれる?」

「⋯⋯うん。じゃあ、真剣になった大空くんと勝負ね」

「俺、負けねぇよ? 1位の座奪い返してやるよ」

「⋯⋯望むところよ」

約束をするとそれぞれ真剣に学業へ取り組むことにした。暖陽は唯弦と言う証人の元勉強したと言う事実と競う目的で意気投合した都羽咲と言う承認を得て真面目に取り組んでいるということを周りに見せつけた。

「⋯⋯白石、俺が勝ったらなんでも言うこと1つ聞いてくれる? お前が勝ったらお前の言うこと聞く」

「⋯⋯いいよ? 私も負けないよ」

「あぁ、じゃあ約束だからな」

彼女は“うん”と頷き、お互いに当日向かえるまでより一層、勉強へ打ち込んだ。

テスト当日。しっかり朝から来た暖陽は、試験が始まると机に向かい真面目に問題に取り組む姿に、疑いをいだいていた先生達も彼の様子に疑念は信念へと変えた。

数日間のテストの間、彼らはお互いの持ってる力をより高め合いながら競い合った。

それから数日後、テスト結果が貼りだされた。発表された結果、暖陽が1位、都羽咲が2位だった。その差、1点の違い。

「⋯⋯あと1点?! でも負けたことは変わりないか。しょうがないなんでも聞くよ」

「俺もまさか、勝てると思ってなかったけど、勝てたからには聞いてもらわないとな〜」

彼は思ったより意外だった結果に思わずニヤニヤしながら都羽咲の顔を見た。彼女もムスッとした様子の顔をしていた。

「悔しい! それでなんなのよ、聞いて欲しいことって」

「⋯⋯白石、俺とデートして」

「⋯⋯え? デート?」

ポカンとして聞き返す彼女の顔はときめくような可愛さをしていた。周りにもときめいた男たちがいたくらいである。

「あぁ、約束だからな? 今週日曜日、10時駅集合な」

「⋯⋯わ、わかった」

デートの約束を取り付けた彼は先に手を上げ離れていった。都羽咲は近くで様子を見ていた親友、未由璃にからかわれるまでポカンとその場を動けずいにいたのだった。

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