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ヤンキーくんの世界

不真面目な生徒の1人、暖陽(はるひ)は、争いごとに巻き込まれることが多い。彼の1日は真面目に学校に朝から行くことからは始まらない。

「⋯⋯おっ! 大空じゃん、なにしてんの?」

「⋯⋯お前らこそ何してんだよ」

「何ってサボりだろ? どこが面白くて学校にいくんだよ」

不真面目な仲間達とすれ違う。彼らの服装はいかにも行く気のないチャラチャラした服装である。髪は染めピアスなんてつけ学校近くに(たむろ)っている。一方、暖陽は着崩してはいるものの、下は学校の制服に上は着なれたパーカーである。違いといえば暖陽の方がそういう着崩して着るような少し真面目さを持ち合わせていることであろうか。

「⋯⋯あ。あいつらなんてどうだ? 真面目そうで、騙せそうじゃね?」

彼らの視線の先をおった暖陽の目に飛び込んだのは都羽咲(つばさ)と彼女の友達、紅月(あかつき)だった。

「⋯⋯あいつらはやめとけ」

「はぁ?! 何だよ大空。のり悪ぃな!」

「悪かったな。ノリが悪くて。だけどなぁ、あいつらに手を出すつもりなら俺は容赦しねぇぞ。」

そう言って戦闘態勢に入る。実は暖陽の中で都羽咲のことはかなり気に入っていた。見ていて何故か飽きない、なんとも言えない感情を抱いていた。だから不良仲間に手を出されるのが気に食わない。

暖陽のゆら〜っと変わっていく気配に仲間はビクリと身体を震わせた。

「⋯⋯あ、あの大空?!」

「⋯⋯どうしてもってなら、俺が相手になってやるよ」

ビクビクしながら、震え出す彼らを容赦ない鉄槌(てっつい)を食らわしてやった。

「⋯⋯す、すいませんでした! もう、あの子達をターゲットにはしません! 大空、許して!」

仲間の1人が暖陽に殺られながら叫びだすと、先にやられた男達も、首が取れそうなほど縦に振っている。それを見た暖陽はパッと手を離し睨みつける。屯っていた仲間達は慌てて去っていく。この手の不良仲間達は暖陽を恐れていることが多い。

「⋯⋯何だよ、唯弦(ゆづる)

追い返したあとで後ろから“クスクス”と笑い声が聞こえ、振り返ることもなくその主、我妻(あがつま)唯弦を呼んだ。

「⋯⋯いやー、だって暖陽が、必死だなーって。もう認めたらいいのに」

笑いながら彼は訳の分からないことを言う。“認める”とはなんの事だか分からない。

「⋯⋯なんの事だよ」

暖陽の返答にさらに笑いながら彼は先に手を振り校門の方へあるって行く。残された暖陽は複雑な表情を浮かべながらその彼を見送った。そして学校へ足を向けようとしたその時、彼は気配を感じ向けかけたその足を止めた。

「⋯⋯⋯。」

「大空〜、ちょっと手をかしてくれねぇ?」

ため息をつきながら話しかけてきた男たちに顔を向けて軽く睨む。身をすくめながら話しかけてきた男は睨む暖陽に「悪い」と謝りつつも案内をする。彼らはこの街の裏世界の暖陽が協力する不良グループの仲間であった。彼は協力を断る理由はない。

連れて来られたのは彼らが拠点とする、広めの路地裏の空き地だった。そこには別のグループとの争いが起き喧嘩が始まっていた。その状況で察する。暖陽は自分がどうして欲しいのかと。

「⋯⋯おっ、来たな暖陽! あとはよろしく〜。追い返してこいつら」

「⋯⋯ったく、お前がやれよ、ボスだろ」

「そんなこと言っていいのかな? 暖陽くん? 」

「⋯⋯⋯っ⋯わかったよ。やればいいんだろ」

拠点に乗り込んできた別のグループと勃発する場所取り合戦。相手は数十人に対して、こちら側は相手より多くいるもののボスに戦えと言われるのは暖陽1人だ。他は観客とかして見守る形でくつろぎ始めていた。中には最近入ったのか、慌てている人もいるようだったが。

「⋯⋯舐めてんのかァ!? 1人にさせて(こう)か⋯⋯」

「どうでもいいから早くかかってこいよ」

早く終われせたい暖陽は相手のボスであろう煽る言葉を遮り挑発した。案の定それに乗るように殴りかかってくる相手を次々と倒していく。暖陽1人相手に手も足も出せなかった彼らは拠点を去っていく。場所争いに見事な勝利だ。

「⋯⋯これでいいだろ。帰るよ俺は」

「⋯フッ⋯ありがとな、暖陽」

ボスの返答に恨めしく思いながらその場を立ち去った。この時点でもう遅刻なのは間違いないことはわかっていた暖陽は焦って行かない。普通に街中を歩く。

学校を前にして閉まっている表門ではなく、裏門をよじ登り敷地内へ入った。そこから入ると木々が茂り薄暗いために人が寄り付かず、ここの学生の不良たちの溜まり場になっていた。グループ化してる不良たちがいる。

「⋯⋯大空」

誰かのつぶやきと共に襲いかかってくる襲撃者。それを見事に交わして仲間内で相打ちにさせ、さらに別で掛かってくる相手は華麗に叩きのめし、去っていく。基本この学校には彼に喧嘩に勝てるものは居ない。なのにだいたい絡んでくるので返り討ちにしてしまうのだ。そんな風にして半日が潰れ登校できるのは決まって昼休み頃になるか、行けないかどちらかだ。

「⋯⋯なぁ、白石。お前飯も食わないでまたなにやってんの?」

「⋯⋯え? あ、大空くん。おはよう。そうだ! これ、生徒会長に話したの、そしたらOKが出たから! 来てくれるよね?」

「⋯⋯あぁ。それより飯を食え。もう授業始まるだろ」

今日も生徒会で頼まれたことなのだろうか、何かをしていて食べるのも忘れて夢中だったようだ。彼女は慌てて弁当箱を出して食べ始めている。彼女の友人は隣のクラスなのでクラスに仲の良い友達でもいるのか来ることがあまりないようで、こういう時は暖陽が気がつくしかないのかと心配になる。そこでふと自分の友人が同じクラスだったことを思い出し、連絡とることにした。また、友人にからかわれそうではあるが、それは忘れて連絡を入れていた。

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