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オカルティック・アンダーワールド  作者: アキラカ
皮裂村怪奇譚【長編】

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第6話 獲物

 どれくらい気絶していただろうか。

 (ふひと)はそこがあまりに寒くて震えるようにして起き上がった。


「く・・・・頭が・・」

 恐らく気絶した時に打ったせいだろうか。異常に右頭部が痛かった。


 痛みを振り払うように頭を振って気を取り戻し前を向くと、そこが牢屋の中だという事に気が付いた。

 しかも着てきたジャケットは奪われたらしく、当然ポケットに詰めたライトやスマホ。GPSやバッテリーなんかも一切手元に残っていない。


「・・捕まってしまったのか・・・・」


 史はよろけながら立ち上がると牢屋の鉄格子をガシっと掴み力一杯に揺らし


「誰かいるのか!?誰かいるならここを開けろ!!」


 と無駄だとわかっていたが、誰か来れば何か情報が分かるんじゃないかと思いしきりに騒ぎ立てる様にガシャガシャと鉄格子を揺らした。


「おい!!いるんだろう??早くここから出せ!!」


 あえて乱暴な口調で叫ぶ。


 しかし本当に誰もいないのか、目の前の階段からも上の階からも足跡一つ聞こえて来ない。

「・・・・・・・・」


 史は仕方なく左手を鉄格子の外に掲げ透視をしてみた。



 そこの建物は小さな民家一軒分くらいの四角い建物で、今いるのは地下1階。地下1階は半分が仕切りのない牢屋になっている。上の1階は詰所のような感じで簡易的な長机とパイプ椅子と棚が備えらえていた。

 更に建物の外にも意識を集中してみる。


 外には入口付近に二人立っているのが分かった。

 シルエットからすると信者の女性だろうか。


 しかしそこから先は透視の範囲が切れて見る事が出来ない。

 今自分が敷地内のどの辺りにいるのかは残念ながら全く分からなかった。

 仕方なく透視をやめ


「おい!!外に二人立っているのは分かってるぞ!!早くこっちに降りてこい!!」


 と外ににまで聞こえる大声で叫んでみたがやはり何の反応も得られなかった。



「・・・・・・」

 仕方なく史はその場に座り込んだ。



 そしてその静寂の中とにかくこの先どうすればここから出られるか。

 どうすれば寿々を救出できるか。

 それだけを考え続けた。



『今頃、知念さんが救助を呼んできてるはずだ。きっともうすぐ誰かがここへ乗り込んできてくれる・・・。そうすれば寿々(すず)さんもきっと・・・』


 そう思いながら史はこんな状況でまたもや寿々を巻き込んでいる事を悔やみ自然と涙が溢れた。


「何でいつも寿々さんと一緒にいると俺じゃなく寿々さんの方が不幸になってゆくんだろう・・・・」


 史は本当に解せなかった。

 シンディに引き寄せの術を使って寿々を呼び寄せたのは自分なのだ。

 それによってもたらされる代償は当然自分が被るべきなのに。

 何故か毎回自分より先に寿々が不幸になってゆく。



 史は今までの数々の寿々の被害が頭の中を走馬灯にようによぎっていった。

 そしてそれを目の当たりにする度に本当にこのまま自分の心臓が止まって死ぬのではないかと思うくらい辛かった。


 しかしそれと同時に


『・・・この辛さこそが俺の代償なのか・・・』


 と思い


『好きな人が目の前で不幸になってゆくのを見守るしかできない事が代償だと言うのならばこんなに酷い仕打ちはないじゃないか・・・。やっぱりもっと早くに編集部を止めて寿々さんへの想いを断ち切っていたならばもう少し状況は違ったのかもしれない・・。しかしシンディさんは〝たとえあんたが今逃げたとしてもいずれどこかでまた引き合ってしまう・・〟そう言っていた。つまりどうしたって自分は寿々さんから離れることはできない・・・』


 そのあまりにも残酷な運命に嗚咽を漏らしながら涙を流した。



「・・・うぅ・・・ぐ・・・・・・」



 そして膝を抱え腕に顔を埋め泣き続けていると

 ふと牢屋のどこからか




 トン・・トン・・



 と床を2回叩く音が聞こえてきた。


「!!」


 史はその音を聞いて驚いて顔を上げた。


「・・・・・・・・・」


 そして牢屋内を見回した。


「・・・・そんな・・・何で」


 史は信じられないといった顔をして様子を伺う。

 もしかしたら勘違いだったのではとそう思った時。

 もう一度



 トン・・・トン・・・・


 とやはり床を叩く音が聞こえたのだ。


 史はその現象に震え、そして自分でもかつて同じようにやっていたように

 床を


 トン・・トン・・トン・・・・


 と三回ノックするように叩いた。



「・・・・・・・・」


 暫くの静寂のあと



 トン・・トン・・トン・・・・


 と同じテンポで叩き返してくれた。



「何で・・・だって・・()()()はあの座敷牢にしか存在しないんじゃ・・」


 そう、史は子供の頃祖母に折檻される度に押し込められた(はだ)家の地下にある座敷牢で泣いているとこうやっていつも傍にいるよと教えられるように毎回慰めてくれる存在がいたのだ。


 史はそれをずっと()()()だと思っていた。

 だからまさかこんな場所でも同じように返してくれた事があまりにも信じられなくて何だか嬉しいのと信じられないのが一緒になって良く分からない状態になっていた。


 史はその出来事ですっかり涙が収まっていた。


 そして自然とそのまま左手を掲げると目を開いたまま牢屋の中を透視した。



 するとそこに視えてきたのは自分と対面するようにして座るキラキラと七色に光る存在だった。


 その存在は姿形こそ不安定で分からなかったが、人のような形をしたかと思えばすぐに揺らぎモヤのようになり。モヤになって消えそうになったかと思うとまた人のような形をするを暫くの間繰り返していた。



 そしてふと史はその存在を直感的に呼んでいた。




「・・・・・・寿々さん?」



 なんの根拠もない。

 ただ本当に自然とその存在が寿々のような気がしたのだ。


 しかしその名を呼んだ途端に七色の光は線香花火の火花の様にパチパチっと弾けて消えていってしまった。




 史はその現象があまりにも神秘的すぎて信じられずに呆然としてしまった。


「そんな・・・・・じゃあ。小さい頃のあの存在も座敷童ではなく・・・・・」




 とそう呟いた時、急に地上の方で女達が慌ただしく叫び何かを追いかけるような声がした。



「そっちに行ったぞ!!逃がすな!!」


 牢屋の外にいたであろう見張りの女達も明らかにバタバタと走り出して誰かを追いかけているような動きが声から察せられた。



 史は立ち上がると急いで地上に向けて左手を掲げる。


 すると透視で視えたのはちょうど建物の脇を足がもつれるようにして逃げる一人の人物のシルエットだった。



「寿々さん!!!!」


 史は普段の声量の数倍はあろうかという大声で寿々の名を呼んだ。

 そう、逃げるその存在は間違いなく寿々本人だ。


 史は透視を続けながら寿々が地上で一瞬立ち止まって辺りをキョロキョロと確認する様子を捉えていた。


「寿々さん!!」


 もう一度大声で呼ぶ。

 すると寿々は建物の裏辺りにある壁際にしゃがみ込むと


「史!?」


 と声を掛けてきた。

 どうやらそこに通気口があるらしく、寿々の声は天井辺りから鮮明に牢屋の中に響き渡った。


「寿々さん!無事でしたか!今俺はここで牢屋に入れられてます!寿々さんは逃げられる限り逃げて下さい!壁の外、崖のような山裾にトンネルがあってそこから廃村に戻れます!知念さんが救助を呼んできてくれているはずなのでなんとか合流してください!!」


「でも史を置いて行けない!!」


 天井から寿々の声が聞こえ思わずまた涙が出て来そうだったが


「・・とにかく俺はここにいる限りは大丈夫だと思います!今は一刻も早く救助を呼んで来てください!!お願いします!!」


 と精一杯の虚勢を張った。


「・・・わかった。必ず助けに来るから待ってろよ!!」


 そう声を掛けると寿々は再び辺りを見渡しとにかく身を隠す様にその場から去っていった。








 寿々は史みたいに空間把握能力に長けてはいないが、暗がりの中逃げるうちに何となくこの奇妙な施設の配置が大体見えてきた。


 まず白い塔がある教会のような施設がある。

 そこから右奥に屋敷が続き、その中で寿々は目覚めた。

 外に出てから少し見ただけだが、教会の入口から土色の高い壁の方に進むと敷地の出入口になる。

 当然その辺りが一番警備が厳重だ。


 教会から左側の敷地は分からないが、教会と隣接する逃げてきた屋敷から連絡通路を経て3階建ての白い建物が一棟。何となくだがそこは女達が住む宿舎のように思えた。

 そして今駆けてきた方向から奥の断崖絶壁に向かって雑木林が広がり、少し離れたその中に史が捉えらている牢屋の建物がある。

 更に奥に進むとその先は切り立った山裾が壁のように塞がり先に進む事は出来ない。

 この間要所要所に2,3台の監視カメラがあったが、茂みに隠れて進めばその辺は回避できそうだった。


 寿々は今切り立った山裾の際を沿うように歩き、敷地の一番奥の壁へと辿り着いてしまっていた。



 右手には山裾、そしてその先は崖。崖手前には安全対策なのか敷地を囲むように高さ1m程度の柵が設置されていた。

 寿々は背後を警戒し、その柵を越え崖ギリギリまでやってきた。

 下を流れる川まではそれこそ数十メートル程度では済まなそうな高さだ。


「・・うわっ・・・・」


 勿論下が崖だとわかっていて覗き込んでみたものの、寿々はその想像以上の高さに思わず何も履いていない股下がヒュンとした。


 それにしてもそろそろ本気で体力が限界かもしれない。

 シーツ一枚を体に密着させながらここまで来たが、外を逃げ回ってからそろそろ1時間近くが経とうとしている。


 自ずと奥歯もガチガチと震え擦れる。

 本当にこれじゃあ館山と同じことになりそうだ。


 しかし寿々は以前よりも遥かに意思も意識もはっきりとしている。

 何故ならばなんとしても史を救出しなくてはならないからだ。


『・・・・・・・・万一俺が駄目そうだったら素直に投降して何とか交換条件で史を助けられないだろうか・・・』


 寿々はまさに限界の思考の中そんな究極の選択を大真面目に考えていた。

 自分がこの不可思議な組織に従順になれば、もしかしたら史だけは外に出して戻してくれるのではないか・・・。

 それはあまりにも考えが甘く賢い選択では無かったとしてもせめてもの時間稼ぎにでもなれば・・・。と寿々は最終手段としてそれを踏まえておこうと心に決めた。



 寿々は崖すれすれの場所を慎重に歩き何か手がかりがないかと辺りを隈なく調べながら進んだ。

 敷地をぐるりと回り進みながら、左手の柵向こうに女達の宿舎が再び見えてくるとより一層警戒を強めて更に草むらに身を屈めながら進む。


「・・・・?」


 するとちょうど宿舎裏から崖際にかけて壁のような大きな高い岩が立ちはだかり、その岩の裏辺りから崖下に向けてなにやら隠れる様にして緩やかな坂道が続いているのが月明りに照らされ見えた。

 寿々は崖から吹き上がる風から身を護るように岩にしがみつきその先を確認する。


『・・・やっぱり。この岩を慎重にまわれば下の道に行けそうだ・・』



 もしかしたら先にはもっと酷い事が待ち受けているのかもしれないが、今この状況においてその道を選ばない選択肢はない。そう確信すると再び辺りを警戒しながらゆっくりと下に降りて行ったのだった。








 廃村まできた知念は再びトンネルを抜けて謎の施設へ戻ろうとしたのだが、何故かトンネルの出口は固い石の扉で塞がれてしまっていた。


 昼間史がその場所で熊よけスプレーを爆破させた事で見張りの男達が警戒して道を塞いだのだが、勿論知念はそれを知る由もなかった。


「嘘だろ・・・ここの先に進めないのかよ・・・」


 知念は本気で困った。これでは実質廃村に閉じ込められた事になる。

 電波も届かないし正確な場所すら分からない。

 何とかならないかと暫くの間その場で色々と調べてみたものの全く解決方法が思い浮かばず途方に暮れた。


 今まで色んな廃墟や廃村を回って来たがこんなにも窮地に追い込まれたのは初めてだ。

 そして絶望しながらトンネルを戻ると本当にどうしようかと頭を抱えた。


『今時刻は・・・』


 そう思いスマホを確認する。


『もうすぐ7時・・・。まだ少しは動けそうだが、先を考えると闇雲に歩きまわって体力を消耗するのも得策ではないな・・。どうしようか、雨風を凌げる場所と言えば・・・』


 そう考えながら知念は例の獣の皮が捨てられている小屋くらいしか思い浮かばず、仕方なくそちらへと足と進めた。


 畑を越え6軒続く道に戻ろうしとしてその異変に気付いた。


「!??」


 何と毛皮があった小屋に小さな明かりが灯っているではないか。


『おいおい・・嘘だろう。今あそこに誰がいるって言うんだよ』


 知念は確認をする為に身を潜めながら、敷地の入口からではなく裏の段差がある石垣の方へと回り、静かに石垣を上ると息を殺し小屋の中を覗き込んだ。


「・・・・・・・」


 小屋の中に一人の小柄な女が座っている。

 彼女は毛皮があった小上がりで後ろ姿のまま何か作業をしているように見えた。

 耳を澄ますと女の手元から


 シャッ・・・・シャッ・・・シャ・・・


 と一定のリズムで何かを研磨するような音が聞こえる。

 知念は更に身を乗り出し女の手元を確認すると、女は作業台の上で鎌を砥いでいる最中だった。


「!!」


 知念は驚いて自らの口を塞ぐと急いで来たルートを戻ろうと音を立てずにゆっくりと歩きだした。

 がしかし・・。


 ガシャンッ!!


 その瞬間勢い良く小屋の扉が開け放たれ、中にいた女が飛び出してきた。

 見るとそれは女というよりかは小柄で体型も未熟な少女のようだ。


「待て!!」


 少女は妙に掠れた声で知念を呼び止めた。

 しかし知念はその少女の鋭い目と手に持った砥がれたばかりの鎌を見ると急いで石垣を飛び降り、畑に向かって全速力で逃げだした。


『もしかして史君の言っていた子供って今の・・・!』


 そう思い畑を抜けようとした瞬間、何故か先ほどの少女が目の前に立ちはだかっており知念は驚きその場に凍り付いた。


「・・・・嘘だろ・・後ろにいたはずなのに何で・・」


 知念はもはやこれは降伏するよりないとそう思った。

 廃村からは出られないし目の前には人間離れした動きの少女が鎌を持って迫ってきている。


「・・わかった降参する。逃げもしないし言う通りにするからその鎌を下してくれ」


 知念はそう言って両手を上げた。

 しかし少女は特に慌てる様子もなく、知念をじっと見つめ鎌を下す事もなくただじりじりと近づくと


「大人しくついて来い・・・」


 と一つも表情を変えることなく知念に向かって命令した。









 寿々は崖沿いの緩やかな坂を下りてゆくと途中から急な上り坂になり、月明りで照らされた道幅はどんどん狭くなってゆくのが見えた。

 崖下からの強風が容赦なく体に吹き付け、もはや体力の限界がきていた。


『ダメだ・・もうなんでもいい。とにかくどこか寒さを凌げる場所があれば・・・』


 そう思いながらも絶対にここで気絶してはいけない、と最後の望みの様に何度も言い聞かせ一生懸命その急な坂から転落しないよう気を保ちながらなんとか登り切ろうとしたその時



 崖下から



「・・・ぉおーーーい・・・・ぉおーーーい」

 と男の声が聞こえて来てその場に凍り付いた。



『・・・・何だ・・今の・・・。風の音・・だよな・・?』



 そう思いながら暫くその場に硬直していると


「ぉおーーーい!・・・ぉおーーーい!!」


 と再び足元から別の男の声が聞こえ、しかもその声はさっきより自分の足元に近づいて来ている。


「ひぃっ!!」

 寿々はあまりの恐ろしさで急いで坂を四つん這いになりながら登った。

 そして思わずその瞬間足元を見てしまった。



「・・・・・・」


 が、幸いそこには何も見当たらなかった。


 ・・・見当たらなかったのだからそれで終わりにすればいいものを、何故なのか寿々はそこで・・・・・少しだけ眼鏡をずらしてその下を覗き込んでしまったのだ。



 すると下にはヒラヒラと月明りに照らされた白い布のようなものがいくつも崖にくっついてたなびいているではないか・・・。

 そしてそれが寿々に向けてこう呼びかけていたのだ。


「ぉおーーーい!!・・・ぉおーーーい!!」



「!!!」

 寿々は何故かそれが何なのかよくわかった。

 そしてそれがわかった瞬間心臓が跳ね上がり一気に崖の小道を走って登り切った。



 寿々が視たのものは何十体とたなびく骨身が抜かれた男の皮だけの幽霊だったからだ。



『何だアレ!・・皮?人の皮の形をした霊!?』



 急いで逃げるように走りると少しだけ開けた場所に出た。そして目の前に一軒の小屋が見えてきた。


「はぁ・・はぁ・・!!」


 その小屋は切り立った崖の下がえぐられて窪んだ場所に隠れる様にして建てられていた。

 寿々はそのまま走り切ってその掘っ立て小屋の扉を叩く。



 ドンドンドン!!

「すみません!!誰かいますか!!」



 数秒間待ったが何も応答はない。

 寿々は恐怖から逃れようと扉の取っ手部分に手をやりこじ開けようとしたその瞬間、


 中から扉が開かれ一人の人物が寿々の前に現れた。



「・・・・・・・え」


 寿々はその人物を見た瞬間再び顔が青ざめ凍り付いた。

 そして昼間意識が混濁した時の記憶が蘇る。


「あら・・あなた・・・。何故今ここにいるのかしら?あなたは御前様の贄になったはずでしょ?」


 とその女は寿々を見るなり侮蔑の目で見下してきた。

 そう、今寿々の目の前にいる女は昼間誘拐されてきた寿々に謎の注射を打ったあの女医だったのだ。



「・・・・・」



 寿々は言葉を発する事もできずそのまま後ずさりをする。

 女医は腕時計を見ると


「5時間・・もう切れてるとはいえアンフェタミンとタダラフィルが効果なかったなんて。余程臆病なのかそれとも女に興味がないのか・・・」


 と嘲笑った。


 寿々はその顔が恐ろしくて逃げ出そうとして踵を返したその瞬間、今しがた通ってきたところに手に鎌を持った一人の少女とその後ろに両手を縛られた知念が連れられているのを見てもはや逃げ場所が無い事を悟った。


「三枝さん!!」


 知念は寿々を見て安心したかのように笑顔を見せる。

 しかし寿々は決して素直に再会を喜べるような状況ではないと思い、やはり何も言葉を発する事が出来ずただ絶望したままもう一度女医の方を見た。

 すると女医は


「セラ・・・おかえりなさい。あんたもようやく獲物を捕らえられるようになったんだね?」


 とその鎌を持った少女に嬉しそうに話しかけた。


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