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3章 新たな出会い

3章


リリスは満面の笑みでタナカを迎えた。彼女の紫色の髪は、光の加減で様々な色合いを見せ、まるで魔法そのもののように輝いている。


「さあ、こちらへどうぞ!」リリスはタナカを手招きし、書棚の奥にある、ひっそりとした空間へと案内した。そこは、魔法の研究に使われている特別な部屋のようだった。机の上には魔法陣が描かれた羊皮紙、水晶玉、試験管などが所狭しと並べられている。


「ここが私の研究室です。魔法に関するありとあらゆる知識が詰まっていると言っても過言ではありませんよ!」リリスは誇らしげに胸を張った。


タナカは圧倒されながらも、事情を説明した。

「実は、転移魔法を使った直後から、魔法が全く使えなくなってしまったんです。これまで使っていた魔法の呪文を唱えても、何も起こりません。」


リリスは真剣な表情で頷いた。

「なるほど。転移魔法は、魔力の流れを大きく変化させる可能性があります。もしかしたら、あなたの魔力回路が一時的に混乱してしまっているのかもしれません。」


「魔力回路…ですか?」


「ええ。魔法使いの体内には、魔力を操るための回路が存在すると考えられています。その回路が、何らかの原因で正常に機能しなくなると、魔法が使えなくなることがあるんです。」


リリスは、机の上に置かれた水晶玉に手をかざした。

「ちょっと魔力を見せてもらえますか?」


タナカは言われるがままに、水晶玉に手を触れた。すると、水晶玉が淡く光り始めた。


「ふむ…なるほど。あなたの魔力自体は、しっかりと存在していますね。ただ、魔力の流れが、少し乱れているようです。」


リリスは、いくつかの魔法道具を取り出し、タナカの魔力を詳しく調べていった。


「やはり、魔力回路が混乱しているようです。特に、転移魔法に関連する部分が強く影響を受けていますね。」


「どうすれば、魔力回路を元に戻せるのでしょうか?」タナカは焦りを隠せない。


「いくつか方法があります。一つは、魔力を 循環させる訓練を行うことです。瞑想や、簡単な魔法の練習などを繰り返すことで、徐々に回路が回復していく可能性があります。」


「他には?」


「魔力回復効果のある薬やアイテムを使うのも有効です。まずはこの世界の魔力に同調させないと・・!」


リリスは棚から小さな瓶を取り出し、タナカに差し出した。

「これは、魔力を活性化させる効果のある薬草を調合したものです。少し苦いかもしれませんが、効果は抜群ですよ。」


タナカは薬を一口飲んだ。確かに、苦い。しかし、飲んだ直後から、体の中に温かいものが広がるのを感じた。


「どうですか?」リリスが尋ねた。


「少し、魔力が戻ってきたような気がします。」


「それは良かったです。この薬をしばらく飲み続ければ、魔力回路の回復を促進できるでしょう。」


リリスは、さらに様々な方法を提案してくれた。魔力を制御するための訓練方法、魔力回復効果のある食事、そして、魔力回路に良い影響を与えると言われる場所…。


タナカは、リリスの親身な助言に感謝し、魔力回復のために、できることから始めることにした。


まず、簡単な魔法の練習から始めた。以前は簡単に使えていたはずの初級魔法でさえ、今は全く発動しない。それでも、毎日、根気強く練習を繰り返した。


リリスから教わった瞑想も、毎日欠かさず行った。目を閉じ、呼吸を整え、体内の魔力の流れを意識する。最初は集中できなかったが、徐々に、魔力が体の中をゆっくりと循環していくのを感じられるようになった。


数日が経ち、タナカは少しずつ、魔法を使えるようになってきた。最初は、小さな火花を散らす程度だったが、徐々に、炎の大きさを大きくしたり、風の力を弱く起こしたりできるようになった。


しかし、転移魔法だけは、依然として発動しない。

何か特別な”ロック”でもかけられたような・・・。


いつの間にか夜も遅い時間帯になっていた。リリスとまた翌日魔力調整の付き合いをしてもらうことを約束し、宿屋へと向かうのであった・・。

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