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魅惑の王子と魔女とときどき媚薬

「ロザリー・ウェズリー嬢! 君との婚約を破棄させてもらう!」


これで全てが終わるはずだった。ウィルフレッド王太子は両思いだった幼馴染の婚約者ロザリーを捨て、新しく出会った娘メリルを選んだ。


一方ロザリーは、魔窟の森へ追放された。そこは、恐ろしい魔術師と魔獣が住み、人間が足を踏み入れると二度と戻れないと言われていた。


ここまでならよくある話なのだが……。


※連載予定のない、ここで完結する短編です。

「ロザリー・ウェズリー嬢! 君との婚約を破棄させてもらう!」


 華やかな舞踏会会場で、突如婚約破棄劇が始まった。大きなシャンデリアの真下にいるのは、二人の令嬢と一人の王子。まるでそこだけスポットライトが当たったかのような光景に、その場にいた者たちは、一斉に目が釘付けになる。


「薄々そんなことだろうとは思ってました。最近避けられてばかりでしたから……。でもせめて、理由だけでもお聞かせ願えないでしょうか?」


 ロザリーは青ざめた顔でかつての婚約者を見つめた。誰もが目を見張るほどの金髪碧眼は、まるで生まれながら王子になるのを約束されたかのよう。だが、空を切り取ったような青い目は憎悪に歪みこちらを向いていた。


「この期に及んでまだしらばっくれる気か……! 僕のメリルに散々嫌がらせしてきただろう!」


「僕のメリル」という表現がグサっと刺さる。少し前までは「僕のロザリー」だったのに。


「そんな怖い顔をしないで、殿下。メリルは哀しゅうございます。例え、ロザリー様が他の令嬢に命じて私を迫害したり、紅茶に下剤を混入したりしたとしてもです。そんなの些細な日常の行き違いに過ぎません」


「十分おおごとじゃないか! メリルは謙虚すぎる!」


「ちょっと待ってください! そんなことやってません!」


 ロザリーは慌てて叫んだ。全部身に覚えのないことだ。こんなこと許されてたまるものか。


「どうしてデタラメを言うの……? 私がそんな人間じゃないのはご存じでしょう? だって、ずっと小さい頃から結婚を約束した仲だったのに……」


「そんなの知らん! 女は恋に狂うと簡単に変貌する! 本来なら火あぶりの刑だが、元婚約者に免じて減刑してやる。魔窟の森に追放するからそこで一生隠れていろ!」


 魔窟の森、と聞いてロザリーは絶句した。邪悪な魔術師と凶悪な魔獣が住み、そこに迷い込んだ人間は一生出られないと言う秘境、その伝承を恐れて普通の人間は足を踏み入れることがない。実質死刑に等しいではないか。神に誓っても無実なのに、よりによって一番信頼していたウィルフレッドに裏切られるなんて。


「話はこれで終わりだ。沙汰は言い渡したから、とっとと目の前から消えてくれ。一秒でも視界に入って欲しくないんだ」


「…………分かりました。どうかお元気で、さようなら」


 ガックリと肩を落としたロザリーは、とぼとぼと舞踏会の会場から退場した。並いる列席者は言葉を失ったまま、石のように固まるしかなかった。



「よくできました、坊ちゃん。100点満点ですよ」


「近寄るな汚らわしい。あっち行ってくれ」


 舞踏会が終わった後、ウィルフレッドとメリルは、控え室に二人きりでいた。メリルは、ウィルフレッドの体に両手を回し、胸に頭をもたせ掛け、ぴたっと体を密着させている。ウィルフレッドはそれがたまらなく不快だった。


「これでロザリーには手を出さないんだな? 約束を破ったらどうなるか分かってるだろうな?」


「魔女が約束を守ると思ったの?……冗談よ、冗談。そんな怖い顔をしないでよ。ちょっとからかっただけ」


 そう言ってメリルはカラカラと笑った。人前で見せていた庇護欲をそそる可憐な少女はどこにもおらず、狡猾で目をギラギラさせた一人の女がいるだけ。顔の造形は変わらないのに随分印象が変わるものだ。ウィルフレッドはそんなメリルを、汚いものを見るような目つきで見た。


「僕のどこがいいんだ? 王子だから?」


「髪と目の色が好き。あと骨格。あの人にそっくり」


 メリルは舌舐めずりしながら、ウィルフレッドをじろじろと眺め回す。彼は、自分が丸裸にされているようなぞわぞわした感覚を覚えた。

 

「いくら魔法で顔をいじっても浅ましい本性は隠しきれないな。少しは取り繕ったらどうだ?」


「あら、男の人はこういう女の子が好みなんでしょう? 頭も見た目も弱々しくて思わず守ってあげたくなる子が?」


「僕が好きなのはロザリーだけだ」


「あの芋女を戻したければどうそ。その代わり、今度こそ彼女の命はないけどね」


 その言葉に反応するかのようにウィルフレッドの体がこわばる。メリルはそれを楽しむかのようにくつくつと笑った。


「口ではどんなことを言っても、あなたも所詮男。美女の誘惑には勝てないでしょう?」


 そう言って、中指でつーっとウィルフレッドを逆撫でる。彼は思わず苦しげな呻き声を上げた。


「何が美女だ。お前は魔女だ。それもとびきり邪悪な。お前が欲しいのは僕なんだろ? それなら僕だけを見ていろよ」


「そうね。あなたは美しいわ。だからキスをしなさい。舌も入れるのよ?」


 ウィルフレッドは吐きそうな顔をしながら、それでもメリルの頭をがばっと押さえると、半ばやけくそに唇を差し込んだ。彼の意思と反して起こる体の反応をメリルは心行くまで楽しんだ。



 魔窟の森は、どこまで分け入っても景色が変わらないほど広大だった。太陽の光も入らずどこまでも禍々しく、精神まで汚染されそうな心地がする。ロザリーは、自分はこんな辺鄙な場所で誰にも気づかれずに死ぬのかと考えながら、当てもなく歩いた。


 自分はどこへ行くのだろう。力尽きたらそこで野垂れ死ぬ覚悟だ。長らく心を通わせてきたウィルフレッドからまさかこんな仕打ちを受けるなんて思いもよらなかった。


 彼との出会いは5歳の時。まだお互いを遊び相手としか思ってなかったが、周囲の大人は将来の結婚相手と想定して引き合わせたようだ。


 その思惑は成功し、二人はすぐに仲良くなり友情を育んだ。思春期になると友情は自然と愛情に変わり、政略結婚ながら両思いの関係になった。それなのに、数ヶ月前に現れたメリルの出現で全てが台無しになったのだ。


 最初のうちは、ウィルフレッドはメリルに目もくれなかった。それが、いつしか傾倒するようになりロザリーを蔑ろにした。わけが分からないうちに彼はメリルに絡め取られ、二人の関係は破綻した。その変貌ぶりはまるで魔法のようだった。


 ついには、舞踏会会場で起きた婚約破棄。坂道を転げ落ちるようにロザリーは身分を剥奪され、この魔窟の森に追放された。今はこうして死に場所を探して彷徨っている有様である。


 その時だった。地面にはびこる木の根に足を取られてつまずいた。しこたま派手に転び、衝撃と痛みでしばらく起き上がれない。そのままロザリーはぐずぐずと泣きじゃくった。どうせならここを死に場所にしようか。誰にも看取られないのだからどこでも同じだ。そんなことを考えながら腹ばいのままうずくまる。


 どれくらいそうしていただろう。突然キエーーッという耳障りな鳴き声に意識が引き戻された。鳥の鳴き声のような不協和音に神経を尖らせる。まさか、この森に巣食う魔獣に目をつけられたのか?


 彼女が想定していたのは野垂れ死にだった。死んだ後なら腐った体がどうなろうと構わないが、魔獣に無惨に殺される覚悟はできていない。


 本能的に恐怖を感じた彼女は起き上がり逃げようとするが、体が冷え切って思うように動かない。魔獣の鳴き声はどんどん近づいてくる。もう無理、殺される――。そう思った時。


「どうした、マドレーヌ。随分興奮しているようだが? うわっ、人間!? どうして人間がここに?」


 驚いたのはロザリーも同様だ。まさか、魔窟の森に人間がいたなんて。驚いて顔を上げると、黒いローブをまとった一人の男が立っていた。


 年齢は30代くらい。金髪を無造作に伸ばし、薄暗い森でも光る青い目、無精髭を生やしむさ苦しいが、なぜか見覚えが……。


「おい、どうしてこの森に――うわっ!」


「ウィル! 助けに来てくれたのね! ありがとう!」


 どこにそんな力が残っていたのか、ロザリーは急に飛び上がり男に抱きついた。その弾みで、男と一緒に転がり二人で地面に倒れてしまう。それでもロザリーは彼から離れようとしなかった。悔し涙から嬉し涙に変わり咽び泣いている。


「何だよ! 訳が分からん! ウィルって誰だ!!」


 男はすっかり動転して素っ頓狂な声を上げたが、錯乱したロザリーは鼻水まで垂らしながら何度もウィル、ウィルとかつての恋人の名前を呼んでいた。



「……するってえと、王子に婚約破棄されてこの森に追放されたと、そういうわけか」


 とりあえず、男の住む小屋に通されたロザリーは、汚れた服を脱いで毛布をすっぽり被り、暖炉のそばに座らされこれまでの経過を説明した。


 結論から言うと、男はウィルフレッドではなかった。当たり前だ。よく見ると年齢が違うし背格好も似ていない。しかし、顔の造形は同じ型から取ったのではないかと思うほどにそっくりだった。金髪碧眼という特徴も一緒。見間違えるのも無理はない。


「ここは人の住めない森と聞きました。瘴気にあふれていて魔獣が住んでいると。どうしてあなたはここにいるんですか?」


「だって、その噂ウソだもん。俺が流したの。誰にも近寄らせたくなかったから」


 それを聞いたロザリーは、呆気に取られて固まった。


「どういうこと? あなたは何者なんですか?」


「俺は魔術師だよ。元は人間だったけど。歳を取らないから気味悪がられるだろう? だから誰も寄せ付けないために森に入らせないようにした」


「さっき魔獣がいたじゃない!マドレーヌとかいう!」


「魔獣だけどただのペットさ。ここはとんでもなく奥深いだけで、人間が入ったところで死ぬわけじゃない。ただなぜか魔女だけは立ち入ることができない。どうしてか分からないけど何かはあるんだろうな。だから俺はここにいる」


 ロザリーは、口をあんぐり開けたまま魔術師の話を聞いていた。


「それにしても、そんなに俺にそっくりだったのか……。300年も経つのに血は争えないんだな」


「え? 今何て言いました?」


「血は争えないって言ったんだよ。こう見えても昔は王子様だったの。王族の暮らしに馴染めず国を出て、各地を放浪するうちに魔女に血を分けてもらい、長命種になったってわけ」


「魔術が絶滅してなかったなんて……。血を分けてもらったってどういうこと?」


 それに対して男は答えず、ぷいと横を向いて話題を変えた。


「さあ、疲れただろうから今日はもう寝な。これを飲めば元気になれるから」


 魔術師はそう言うと、木の椀に注がれた薬膳スープをロザリーに差し出した。薬草臭いと顔をしかめながら飲んだが、味はともかくにわかに体がポカポカと温かくなった。


「味は悪いが効果は抜群だ。今日はこれを飲んで寝なさい」


「ありがとう。あなたは命の恩人です……。そうだ、名前を聞くのを忘れてました」


「名前なんて忘れちまった。昔はロニと呼ばれていたかも」


「ロニ、おやすみなさい……」


 ロザリーはそう言うと、古ぼけたソファに身を横たえて、すぐに寝息を立て始めた。



 その晩、ロニは何ものかに覆い被された衝撃で目が覚めた。


「おい! どうした!」


「抱いて! こうなったらあなたでいい! ウィルにそっくりだし!」


 半狂乱で上に乗っかってくるロザリーを、ロニは慌てて振りほどいた。どうしてこんなことに!?


 もしかしてさっきの薬膳スープか! あれは滋養強壮効果があるが、人によっては催淫効果があるんだった。ロニは失敗したと言うようにがっくりとうなだれた。


「俺が悪かった! まさかこんな副作用があるとは。頼むから落ち着いてくれ!」


「だめ、我慢できない。私じゃだめ?」


「いやそういう……待てよ? お前をこの森に追いやったのは王太子なんだよな? それなら俺の話も知ってるかも。多分伝説になってるだろうし。そうだ、突然現れた女狐ってのはどんな女だ? いつ、どうやって現れた?」


 ロザリーは、欲情していることも一瞬忘れ、ロニの顔を不思議そうに覗き込んだ。どうして突然メリルの話題? 戸惑いながらも質問に答える。


「なるほど……。おい、もし希望が出てきたと言ったらヤケにならずに済むか? つまり、王太子がまだお前を愛しているとしたら――」


「私を拒むために出まかせ言ってるんでしょう!」


「じゃなくて! 王太子は、お前を守るためにこの森に追いやったんだよ。邪悪な魔女もここには近づけないから」


「どういうこと?」


「そのメリルとかいう娘が突然現れて急に様子が変わったんだよな? 話を聞いていると人間業とは思えない。王太子は、魔女も踏み込めない魔窟の森にお前を追いやった。追放じゃなくて避難させたんだとすれば、彼はまだ正気を失ってない。おそらく、メリルの本性は魔女でそれを見破った王太子は自分が犠牲になってもお前を守った」


「どうしてそんなことを? だって王になる人が一人の女のためにそこまで……」


「それだけ愛してるんだろ? 知らんけど」

 

 それを聞いたロザリーは顔がかーっと熱くなった。さっきまでの人為的な欲情とは違う、心からの熱い感情が全身を貫く。


「それならウィルが危ない! 彼を助けなきゃ!」


「無理だよ。だってあいつ強いもん」


「あいつって、メリルを、魔女を知ってるの?」


「まあ、昔のよしみで……。血を分けてもらったのもそいつからだし」


 ロニは気まずそうに目を逸らしながら答える。しかし、ロザリーはもう逃げなかった。ロニの体の上に馬乗りになると、胸ぐらをつかんでぶるぶると揺さぶった。


「お願い! 力を貸して! あなたの力が必要なの! メリルに血を分けてもらったってことは浅からぬ因縁があるんでしょう?」


「勘弁してくれよ! 気性の強さにドン引きして逃げたんだから――分かった、分かった! 子孫を助けるために一肌脱いでやるよ。頼むから乗っからないでくれ! 媚薬の効果は切れたんだろ!」


 誰もいないはずの森で男の悲痛な叫びが響き渡ったが、それに気付いたのはマドレーヌだけだった。



 数日後、ウィルフレッド王太子とメリルの結婚式が行われた。メリルという娘の素性は誰にも分からない。それなのに、ウィルフレッド本人を除いては、誰もこの結婚に疑問を持つ者はいない。これもメリルの力の成せる技だ。


 ウィルフレッドとしては、自分さえメリルを押さえ込めば他に危害が及ぶことはないだろうと見ていた。ロザリーは安全な場所に追いやった。自分さえ我慢すれば全てが丸く収まる。


 その時にわかに外が騒がしくなった。一体何が起きた? ウィルフレッドはたまらず顔を上げた。式の列席者も異変を感じ取りヒソヒソ話している。すると、次の瞬間、大聖堂の天井が大きな音を立てて砕け散った。


「天井が――あーっ!」


 みな一斉に悲鳴を上げたが、いつまでも破片は落ちてこない。どうやら不思議な力で空中に止まっているようだ。こんな超人的な力を使えるのはまさか――。そのうち、割れた天井から二つの人影が降りたった。


「一体どういうことだ、ウィルフレッド殿下か!?」


「いや違う、しかしよく似ている――」


「おうよ、伝説の大魔術師ロニと言えば俺様のことよ! 待たせたな、大魔女さんよ!」


 列席者のざわめきから言葉を拾ったロニは、勢いよく自己紹介した。豪放磊落な身のこなし、とても森に引きこもっていた人物には思えない。


 しかし、ウィルフレッドの目を引きつけたのは隣の少女だった。見間違えようがない、ロザリーだ。


「ロザリー! 魔術師ロニに会えたのか!」


「ええ、森で助けてもらったの。それよりあなたは大丈夫?」


 ロザリーは、すっかり痩せこけたウィルフレッドに目が釘付けになった。すぐに駆け寄りたくなるが、まだ油断してはならない。彼の隣には魔女がいる。


 メリルは、ふらふらした足取りで前に躍り出るとロニに話しかけた。


「ロニ、あなた生きていたのね? どうして今まで姿を隠していたの?」


「そんなのお前から逃げていたからに決まってるじゃねーか! でもこのお嬢ちゃんに頼まれて来たのよ! お前の本命は俺だろ! 無関係の人間まで巻き込むな!」


「あなたがいつまでも逃げ続けるから、瓜二つの子孫で妥協したのよ。でも本物が現れたならどうでもいいわ。ロニ、愛してる。永遠に交わっていたい」


「そういうこと公衆の面前で言うな! あと、男がみんな狸顔好きだと思うな? 俺は男を狂わせるような魔性の女が好みなんだ!」


「それってあたしのことじゃない! 嬉しい!」


 メリルはそう叫ぶと、扮装を解いて元の姿に戻った。布面積の少ない黒づくめのドレスに、男を食いそうな真っ赤な唇、傾国の美女とはこんなものかと言わんばかりの容貌だ。


「そういやそんなツラだったな! 相変わらずの美人だ! 久しぶりの逢瀬を記念して殺し愛と行きますか、ほれ!」


 ロニの掛け声で二人はぐーんと宙に飛び上がった。いつの間にかロニの手には杖、メリルの手には鎌が握られている。二人は先ほど穴の空いた天井から中空に飛んでいき、やがて見えなくなった。


 みなが呆気に取られていると、天から金属をぶつけるようなつばぜり合いの音が聞こえてきた。これが彼らの「殺し愛」らしい。なるほど激しい愛だ。一同は、口をあんぐり開けて中空を眺めていたが、しばらくしてウィルフレッドは我に返りロザリーに駆け寄った。


「ロザリー! 無事だったか!」


 そのまま彼女をぎゅっと抱きしめる。この感触とふんわりした匂いは本物のロザリーだ。間違いない。


「ごめん、冷たい態度を取って。辛かったろう。どうか許してくれ」


「私を守るためだったんでしょう? 大丈夫だから気にしないで。それより、あなたこそ一人で耐えていたのに気づけなくてごめんなさい」


 それだけ言葉を交わせば十分だった。二人はいつまでもその場で抱き合っていた。その後花嫁を変更して結婚式が続行されたのは言うまでもない。

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