陰謀と書いてミスと読む
《人物ファイル》
・名前
桜乃 憂希
さくらの ゆうき
・誕生日
3月9日
・血液型
A型
・趣味
動物と戯れる、生物観賞。
・特技
動物の気持ちがなんとなくわかったりする(確率60%ほど)
・容姿
長い黒髪を紐でまとめてポニーテールにしている。同じ歳の友達と比べて少し身長が低く、その分か出るべき部分も平均より小さい。
T 149
B 76
W 56
H 78
ティアのクラスメイトで夜に憧れを抱いている。そのためか、よく夜の練習している姿を見に来ていたが、偶然にも夜とティアのキスを目撃してしまいショックを受けていたところでティアからの剣道部のオファー。
性格は真面目で努力を怠らないが周りにも流されやすい。
「あのっ、夜先輩!えっと…その…いい天気ですね!」
「…というわけなんですけど、どうにかできませんか?」
部活終了後、私は保健室のソマリア先生のところへ行っていた。
話の内容は部長や憂希に夜との関係についてしつこく聞かれたことについて。
「いっそ、兄妹だって言っちゃえばいいんじゃないかしら?」
「それだと色々と面倒なんです。双子って割にはあんまり似ていないし、家に来られて夜を探されたらそれはそれで大変です。それに、あのバカと兄妹とかやってられません。」
「現にバレかかってる今の方が面倒な気もするけど。で、具体的にどうするつもり?」
「例えば、2週間の交代期間を1週間くらいに縮めるとか…」
「それでは根本的な解決にはならないわ。」「それじゃ、どうやって…」
「いっそのこと、切り離しちゃえば?」
「切り離す…?」
「こんなことになるだろうと思って、あなたたちの入学が決まった頃からそのための装置を開発してたのよね。」
この先生、学校の保健室で何してるんだろう…
「それってちゃんとわかれるんですか?」
「そうね。わかれることに関しては問題ないわ。」
「それって、他の点に関しては問題ありってことですよね?」
「まぁ問題って言っても、大したことじゃないから大丈夫よ。」
「…信じられません。」
「あら、そんなこと言ってもバレるのは時間の問題なんじゃない?」
「それは…」
「それなら善は急げ、早いうちにやってしまうわよ。」
グイグイ引っ張っていく先生。私の言葉になんて聞く耳を持っていない。
この人、その機械とやらを使いたいだけでしょ…
先生に連れられ、保健室の一角に来ると、先生は何やら魔力を放出し始めた。
「はい、到着!」
「ここは…」
窓の外の風景を見る限りはさっきまでいた保健室。しかし、複数置かれていたベッドは1つに減り、その代わりに妙な機械やら薬品やらが置かれていた。
「もう分かってると思うけど、ここはパラレルワールド。私の研究室って言った方がいいかしら。」
「なんだか散らかってますね。」
「そうね。でも私の研究室は別にここだけってわけでもないのよ。」
「そうなんですか…」
だからって片付けなくていいって理由には…
「ほら、これよ。」
先生は部屋の中で一番大きいであろう機械を指差して言った。
「準備に少し時間がかかるから、その間に服を脱いでおいて。」
「服を脱ぐ!?」
「あら、当たり前でしょ?こんな精密機械に服なんていう余計なものを入れたら一発でダメになるわよ。」
「いえ…でも…」
「私だって女よ。」
先生だからダメなんですけど…
先生はそれだけ言うと、とても楽しそうに準備を始めた。
(夜!目閉じてなさいよ。)
『いや、無茶言うな。閉じたきゃ自分で閉じろ。』
(心の目を閉じとけって言ってるの。)
『はいはい…』
了承を取ったところで覚悟を決めて着ていた物を脱ぎ捨てていく。
「やっと脱ぎ終わったのね。」
結局脱ぎ終わるまでにかなりの時間を要してしまっていた。
「ジロジロ見ないでください。」
両手で最低限隠せるところは隠しながら尋ねる。
「その手が少し気になるところだけれど、まぁいいわ。そこのベッドに寝転がってくれる?」
さっさと終わらせたかった私は先生の言う通りにベッドに横になった。
「それじゃ、少し眠っておいて。」
【夢眠】
突然かけられた魔術をどうすることもできず、私は眠りに落ちた。
「おい、起きろ。」
聞き慣れた声が私を起こした。
「やっと起きたか…」
目を開くと目の前には…
「…これ、どうなってるの?」
目の前には白衣を着た私が。それに気のせいか声が低い。
「驚かないで聞けよ?」
自分の体をくまなく触る。あるはずのものが無くなり、ないはずのものがあった。
「…鏡。鏡をちょうだい。」
「わかった。」
鏡を受け取り、恐る恐る鏡の向こうを見る。そこには予想通りの夜の顔があった。
「…」
「状況はわかったみたいだな。」
「あの先生は?」
「さぁ?目覚めたときにはもういなくなってた。」
「つまり、治す方法は今はないってことね…」
私はがっくりと肩を落とし、少しの間悲しみにうちひしがれていた。
「それで、この置き手紙。」
机に置かれていたらしい置き手紙に書かれていたのは、
「夜くん、純ちゃんへ。多分別れることには成功してると思うけど、もし何か困ったこと、例えば、心が入れ替わったとかがあったら自分たちの力で解決してちょうだいね。私は魔界に用事があるので、束の間の交換生活を楽しんでね。」
「…」
あの人、わざとやったってことね…
「ほんと、何考えてるんだよ…」
「冗談じゃないわよ…」
「あの人が帰ってくるまでどうする?」
「そうね…。やっぱり普段通りの生活をするしかないんじゃない?」
「この姿で普段通りか…」
「…無理ね。」
「誰かに助けでももらうか?」
「誰かって言ったって、バンパイアのことを知ってるのは愛美とティアだけでしょ。」
「いっそのこと、2人に話してしまった方がいいんじゃないか?」
「だいたいあの2人なら話さなくても気付きそうね…」
珍しく意見も一致し、とりあえず家に帰ることにした…のだが…
「…で、どうしろって?」
「私が着せる。」
着てきた制服をどうするのかが次の問題になっていた。
「そんなのこだわる必要あるのか?」
「あるわよ!」
「それに今のおまえの体、俺のだけど?」
「…まあしょうがないわ。」
「別に着替えなくてもいいんじゃないか?」
「学校の生徒が白衣を着て下校するって怪しすぎるでしょ!」
「そうか…?」
「そうよ!」
観念したようで、夜は机に置かれた制服をこちらに放り投げるとベッドの上に腰かけた。
「目、瞑ってなさいよ。」
「言われなくてもやってる。」
色々と確認した上で白衣を脱がせにかかった。
ガラガラ…
「「!!!」」
扉の開いた音がした。自分でも驚くほどのスピードでベッドを仕切るカーテンを閉め、夜を押し倒し、布団を慌てて被った。
「あれ~?純ちゃん、保健室に入って行かなかったっけ?」
「間違いなくこちらにお入りになりましたわ。」
「愛美先輩、こういう尾行はどうかと思いますけど…」
「純ちゃんが1人で急いでどこかへ行くなんて滅多にないからね~。一体何のために急いでるのかを知るためにはこれが一番手っ取り早いんだよ!」
「私もお姉さまが一体どのような隠し事をしているのか知りたいですわ!」
愛美、ティア…あんたたち一体何考えてんのよ…
どうやら保健室に入ってきたのは、愛美、ティア、憂希の3人のようだった。
『…くすぐったいんだけど…』
(我慢しなさい!)
私は見つかってしまったときのことを考えるので頭が一杯だった。
「愛美先輩、探すつもりならあからさまに怪しい場所が一ヶ所ありますよね?」
「そうだね~。カーテンが一ヶ所だけ閉まってるなんてあからさまに怪しいよね。」
憂希…なんだかんだ言って、あなたもやる気満々じゃない…
なんだか裏切られたような気がした。
「それにしてもお姉さまが私たちに隠れてまでやることとは一体何なんでしょう?」
「それは~…アレだよアレ!」
「先輩、アレって何ですか?」
「こんなカーテンで仕切られたベッドの上で隠れてすることといったら1つしかないでしょ?」
「お姉さまもお年頃ですからね~。」
「純先輩が学校でそんなことを…」
あぁ…私のイメージが崩れてゆく…
『アレってなんだ?』
(あんたは知らなくていいの!)
そのとき、シャッとカーテンが開けられた音が聞こえた。
「これは間違いないね。」
「そうですわね。」
「先輩…」
ヤバイ…どうしよう…
この絶体絶命の状況では何も思い付かなかった。
「みんな心の準備はいい?」
「はい、いつでもいいですわ。」
「…はい。」
そして、中と外を分けていた布団がどけられた。
「…お姉さまにお兄さま!?」
「…私たちの想像以上のことを…」
「せ、先輩…」
「「…」」
沈黙した空気の中、ドサッと憂希が倒れた。
「とりあえずさ、コイツをどうにかしない?」
夜が珍しくまともなことを言った。
「純ちゃん…だよね?」
「お姉さま、今なんと?」
しかし、中身が入れ替わっていることを知らない2人はその普段と違った言葉遣いにかなり驚いていたようだった。
「…そんなことがあったんだ~。」
「つまり、お姉さまの体にお兄さまが、お兄さまの体にお姉さまが、ってことですわ。」
「そういうこと。」
なんとか事情を説明し終えると、思った以上に2人ともあっさり納得してくれた。
「それよりも!」
「お姉さまとお兄さまが何故ベッドの上であんなことをしていたんですの!?」
入れ替わりよりも単にそっちに興味があるだけなのね…
「何でって言われてもな…コイツが押し倒してきたから後はその流れにのっただけだけど。」
夜がそう言ったとたんに2人が私を変なものを見るかのような目で見てきた。
「言っとくけど私はただ隠れようとしただけよ。」
「そんなの分かってるって~。」
だったら、そんな目で見るな!
「そんなことよりもその言葉遣いどうにかなりませんか?」
「そうそう!入れ替わっちゃったんだから、そこんとこちゃんとしとかないとバレちゃうよ!」
「まぁ、言われてみれば…」
って、急に言われてもできるわけないでしょ!
「やはりここは特訓あるのみ!今晩しっかり練習しましょう、お姉さまっ!」
「あんたは下心見えすぎ!」
「お姉さま、そんなことありませんわ。」
「だいたい普段から夜の近くにいた愛美が私の指導を、瑠璃が夜の指導をしなさい。」
「えぇ~!私は夜くんと…」
「却下」
「お姉さま、酷いです…」
「そんなこと言ってる暇があったら、憂希が起きたときのごまかしでも考えときなさい!」
「あっ、そっか!」
絶対憂希のこと忘れてたでしょ…
「私がいると邪魔だろうし、先に家に帰っとくわ。あと、夜に制服着せておかないと、白衣のままじゃ不自然よ。」
バンパイアの身体能力で人には見つからずに済むでしょ。
「りょ~かい!さぁ夜くん、覚悟はいい?」
「は?覚悟って…うわっ!」
愛美が夜に飛びかかるのを横目で見ながら、保健室を後にした。
「私もお兄さまのお着替えをお手伝いしますわ!」
「重い!離れろっ!」
「離れたら着替えれないでしょ~?夜くんは恥ずかしがりやだなぁ~!」
…私の体、もつかしら…
夜「明日から休んでもいいか?」
ティア「だめですわ、お兄さま。」
愛「そうそう!学校は大切だよ。」
純「あんた、単に面白がってるだけでしょ。」
愛「いつボロが出るかニヤニヤして見守っとくだけだよ!」
純「それを面白がってると言わず何と言うのよ!」
ティア「とにかく学校には行ってください。」
夜&純「「…学校潰そうかな…」」
愛「…2人とも発想がちょっと…」