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部活!

《人物ファイル》


・名前


 ルー・ソマリア



・誕生日


 12月11日



・血液型


 不明



・趣味


 様々なことに対する研究、夜や純にちょっかいを出すこと。



・特技


 魔具(魔力によって動く道具)の開発、怪我や病気の治療。



・容姿


 黒色の大きな瞳に、ショートカットのサラサラした黒髪。その魅惑的なスタイルで生徒からの人気も高いらしい。


T 172

B 91

W 56

H 93




 サキュバスの医師でもあり発明家でもある。元々は夜や純を見守るのが仕事であったが、最近ではティアに立ち位置を奪われてしまっている。しかし、その医師としてや研究者として魔界ではとても有名で、魔界からの来訪者もときどきいるほどである。

「なぁ、剣道場ってどこだ?」


 不本意だが情報豊富な杉本に聞いてみた。


「剣道場?あの女の子のこと教えてくれたらいいぞ!」


 交換条件か…。悪い、ティア!


「アイツは俺の妹。」


「おまえに妹いたのか!?」


「さっさと剣道場の場所教えろ。」


「剣道場は体育館の裏にあるけどそんなことよりもっと情報を…」


 情報を聞いたらコイツに用なんてないし…


 俺は杉本のことは完全に無視してその体育館の裏に向かった。



(へぇ~、ここか。)


『なんていうか…えらく新築ね。』


 体育館の裏には明らかに最近建てたのであろうピカピカの木造建築物があった。


 そっと扉を開けると3人の道着をきた人たちが練習していた。


(ふ~ん…。剣道ってあんな風にやるんだな…)


『知らなかったの…?』


 しばらく観察していると、1人がこちらに気付いた。


「先輩、誰か来ましたよ。」


 声からすると男みたいだ。


「あら、お客さまかしら?」


 えらくスローペースなしゃべり方だな…


 1人が面を脱ぎ、もう1人の部員に話しかけていた。


「誰?何の用?」


 凛とした声が響いてきた。どうやら今ここには男子1人、女子2人いるらしい。


「ここって剣道部?」


『ちょっと!あんた敬語っていうものを知らないの!?』


「そうだが、まずは私の質問に答えてもらおうか。」


 コイツが部長かな?


「1年の紅月。剣道部の見学にちょっと来ただけだけど。」


「おまえ、1年のくせに先輩に向かってタメ口を…」


「林、少し静かにしていろ。紅月、見学だけでなく私と一戦交えないか?」


「別にいいけど。俺、ルールとかわからないぞ。」


「ルールは後から説明する。剣道着は向こうから借りてくればいいだろう。」


 部長らしき人が指差す方へ行くと竹刀やら防具やら色々と置いてある中に剣道着がキチンとたたまれて置かれていた。


「よし、それでは始めよう。ルールは先に有効打を与えた方の勝ちだ。」


 何とか着替えて出てくるやいなや部長らしき人がルールの説明をした。


「負けなしの部長ならあんな無礼なヤツ簡単にやっつけちゃいますよね?」


「そうね~。でも油断大敵ね~。」


 へぇ~。この人って強いのか。


「どこからでもかかって来い。」


 どこからでもって言われたって…


 剣道のことなど分からない俺は軽く牽制を入れることにした。


「もう少しやる気を出せ!」


 牽制は軽くあしらわれ、相手はそのままカウンターを放ってきた。


「へぇ~。なかなかやるじゃないか。」


 カウンターを受け流し、一度距離をおいた。


「普通に戦っても勝てないようだな。」


 そんなこと一回の打ち合いでわかるものなのか…?


 部長らしき人は竹刀を右手から左手に持ちかえた。


「へぇ~。左利きだったんだ。」


「右手で十分だと思ったのだが思った以上だった。」


 へぇ~。なめられてたってことか…


『そりゃ、急に道場破りみたいな奴が来たらまずは実力を確かめるでしょ。それにしてもそれで利き手と逆の手を使う方がどうかと思うけど…』


「どのくらい楽しませてくれるか…」


 部長らしき人がものすごい速さでこちらに迫ってきた。


「はあぁぁ~!」


 力一杯振り下ろされた竹刀を左に避けると、相手の胴を狙って竹刀を振った。しかし、その攻撃も受け止められると、相手の猛攻が始まった。


「紅月、防戦一方じゃ勝てないぞ!」


「俺も少し真剣にやろうかな。」


 相手の竹刀が振り上げられた瞬間を見計らって、目に見えないほどのスピードで相手の後ろに回り込んだ。


「なっ…!」


「後ろからの攻撃って避けられる?」


 そのまま軽く竹刀を相手の頭の上にちょこんと当てた。


「あの部長が負けた?…ってか、今アイツは何をしたんだ?」


「2人ともお疲れさま~。」


 1人の部員は呆然とし、もう1人の部員は勝敗など気にしていない様子でお茶を運んできた。


「紅月、おまえの名前は?」


 唐突にそんなことを聞いてきた。


「夜だけど?」


「夜!私と結婚を前提にお付き合いしてください!」

「はい…?」


 結婚…?

 お付き合い…?

 …もしかして告白?


「部長!?」


「あらあら、唯ったら…」


「どっちなんだ、夜?」


 情報を処理している間に部長らしき人が詰め寄ってきていた。


「え~っと…」


 逃げたい…


 しかし、制服は部室に置きっぱなしで、剣道着を着て逃げるわけにもいかない。


「ちょっと着替えて…」


「どうなんだ!?」


 どちらか言うしかなさそうだ…


「ごめん、おまえのことイマイチわかんないからさ。」


「フラれた…」


 一瞬悲しんでいるように見えた。


「しかし、私は諦めんぞ~!」


 次の瞬間には復活していた。


「唯、がんばって~!」


 いや…この人、応援しないでほしい…


 とりあえずこの人たちはほっといて制服に着替えた。


「おまえ、すげーな!」


 後ろを向くと男子部員がいた。


「剣道部に入部すんの?」


「そのつもりだけど?」


「俺、1年C組の林 真吾。よろしくな、夜!」


「あぁ、よろしく。」


 真吾と握手を交わした。


「俺、部長のあんな姿初めて見たわ!いつもはクールな人だったのに、おまえに負けたとたんああなったからマジで驚いたよ。」


「へぇ~…」


 コイツはかなりいいヤツみたいだ。


「ところで、頼みがあるんだけどさ~。部長と付き合ってあげてくれないか?」


「は…?」


 あまりにも突然に奇妙な頼みをしてきたので焦った。


「ほら、部長ってさっき言った通り超クールな人で、多分恋とかしたの初めてだと思うんだ。」


「で、なんでおまえが頼むんだ?」


「いや、やっぱり部長には幸せになってもらいたいっていうかなんていうか…」


 わけわかんないな…


『ほんとあんたって鈍感ね。』


(はぁ…。いたのか。)


『こんなに面白い話があるのにじっとしてるのはバカよ。』


(…なにが面白い?)


『この林って人は、ほんとは部長に恋をしてるの。でも、その部長に好きな人ができてしまった。だから、部長の幸せのために自分は身を退いてその好きな人を部長と結びつけようと努力しているの。』


(ふ~ん…)


 その話を聞いたとき俺はコイツにあることを言いたくなった。


「おまえって部長のことが好きなんだろ?」


「いや違う!断じて違う!だいたいそんなわけ…」


「それならいいけど。でも、見守ってるだけじゃ気持ちは伝わらないんじゃないか?」


 そう言い残し部室から出た。


「夜!やっぱり私はおまえのことが忘れられないんだ!付き合ってくれ!」


「忘れるってまだ30分も経ってないのに忘れられる方がすごいって。」


「2度目の敗北…。しかし、私は諦めないっ!」


「あ!俺、入部する予定なんでよろしく!」


「私のために入部…」


「いや、違うけど。」


 そう言って剣道場を出た。


 ん…?


 剣道場を出ると3人の女の子が見学をしていたようだった。向こうはこちらに気付くと足早に逃げていった。


 ティアと同じ制服だし中等部の生徒かな…


 そういや、ティアいないな。いつもは放課後すぐにうちのクラスまで来るんだけど…


「お兄さまぁ~!」


 噂をすれば…


「どこにいらしたんです?」


「そこ。」


 剣道場を指差した。


「お兄さま、剣道をおやりになるんですか?」


「一応今日見学してきた。」


「なるほど…」


 ティアが何やら考え込んでいると、


「紅月さ~ん!私たちの部活に入って~!」


 女子の群れがこちらに迫ってきていた。


「お兄さま、逃げましょう!」


「あぁ。」


 ティア…おまえも苦労してるんだな…


 そんなことを思いながら学校をあとにした。

愛「夜くんが道場破りしたってほんと?」


夜「ただ見学に行っただけなんだけど。」


純「見学でいきなりそこの部長を倒すって、完全に道場破りでしょ!」


愛「えぇ~!?あの生徒会長を倒したの!?」


夜「生徒会長?」


純「部長のことでしょ。」


夜「あぁ、あの人か。勝ったけど?」


愛「なんでそんなに当たり前みたいに言えるの?あの会長、去年は全国大会まで言ったって話なのに。」


夜「だって俺バンパイアだし。」


愛「あぁ~…。ところでバンパイアが大会に出るのってズルくない?」


純「言われてみれば…」


夜「じゃあ、辞めるか。」


愛「え!?」


純「コイツにそんなこと言ったら即辞めるわよ。」


夜「じゃあ、退部届け出してくる。」


愛「ちょ、ちょっと待った~!」

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