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《人物ファイル》


・名前


 杉本 舜

 すぎもと しゅん



・誕生日


 8月31日



・血液型


 B型



・趣味


 ナンパ、覗き、可愛い娘に関するその他もろもろ。



・特技


 可愛い娘に関する情報を誰よりも速く細かく調べる。



・容姿


 どこにでもいそうなチャラチャラした茶色に染められた髪、鋭い目付きは完全なる不良を思わせる。




 夜のクラスメイト。外見は結構カッコイイ部類に入るが、誰に対しても馴れ馴れしく、特に可愛い女の子に対してはストーカーのような行動を取ることで、大抵の女子には避けられ、男子には夜以外の友達はいない。そのため、夜目当てでやってきた女子を狙っているが、逆に夜が近くにいることでどうしても女子は夜の方に気がいってしまってあまり効果は見られていない。その夜にも友達として見てもらっているのかは不明。


「ねぇ、君可愛いね!一緒にお茶しない?…え?ダメ?そんなこと言わないでさ~!」

「ここどこだ?」


 見渡す限り真っ白に広がる殺風景な空間。


「父さん!遊ぼう!」


 そんな中にふっと4、5歳くらいの男の子が現れてそんなことを何もない方向に向かって言った。


「ノア、ちょっと父さんは忙しいんだ。ロイド!」


 さっきと同様に今度は20代半ばくらいの男性が現れた。どうやら親子みたいだった。


「ただいま参りました。」


 次に現れた男性には見覚えがあった。俺たちがおじと呼んでいる人だった。見た目はほとんど今と変わっていなかった。


「悪いがノアと遊んでやってくれないか?」


「かしこまりました。」


 あのおじが頭を下げるくらいなんだからあの男性は相当偉い人なんだろう。


「ほら、ノア行っておいで。」


「うん…」


 その男の子はなんだか寂しそうにしておじに着いていった。




「お…さま!…て…さい!」


 誰か聞き覚えのある声によって目を覚ました。


「やっと起きたんですね?」


 目の前にティアの顔があった。


「…今何時?」


「6時ですよ。」


 …早すぎる。俺がいつも起きてるのは学校に間に合うギリギリの8時ぐらいなんだけど…


「お兄さま、何ですか?その何で起こしたんだ的な目は?」


 表情に出てたか…


「それよりお兄さま昨日はお姉さまの気持ちも考えず申し訳ありませんでした!」


 ティアはそう言って深々と頭を下げた。


「まぁ、気にするな。だいたいそういうのは本人に言った方がいいんじゃない?」


 ティアの頭にポンと手を置いて、そのままティアを部屋に残して下に降りた。


「そういえばお兄さまに渡さなくてはいけないものが…」


 上から後を追って降りてきたティアが玄関の端に置かれたものを引きずって持ってきた。


「おじさまが言うにはお父様からの贈り物らしいですけど…。重たいですわ。」


 ティアが持ってきたのは鞘に納まった刀のようなものだった。見た目はそんなに重そうには見えないんだけど…


「これって刀か?」


「それ以外の何がありますの?」


 物騒な世の中だな…


 あまりにも重そうにしているので手伝おうと刀に手をかけた。


「え?」


 ティアが驚いたような声を出した。


「普通に軽い…」


 刀はさっきまでのティアの頑張りが無駄だったと言わんばかりに軽く持ち上がった。


「この刀はお兄さまにしか使いこなせないみたいですわね。」


 ためしに刀を抜いてみるとその刀にはあるはずの身がなかった。


「なんだこれ?」


「これは多分お兄さまの魔力によって力を発揮する刀のようですね。」


 また魔力か…


「俺はまだ魔力の制御習ってないしな…」


「軽くやってみます?」


 ティアは少し嬉しそうにそう言った。


「お兄さま、準備はよろしいですか?」


 ティアはやるとも言っていないのにもう俺の手を掴んでやる気満々だった。


「はいはい…」


「それではいきます!」


 魔力が体内に入ってきているのがわかった。


 確か入ってくる魔力の流れを整えればいいはずなんだけど…


 正直整えようとすると逆に流れが乱れているような気がした。


「お兄さま?一体何をなさっているんですか?」


「いや、俺の場合何もしない方が逆に安定するみたいでさ。」


「そんなはずは…。」


 ティアは少しの間俺の体内に色々な方向に魔力を流し、何かを調べているようだった。


「お兄さまの魔力の流れに規則性がありませんわ!」


「どういう意味?」


「普通は魔力は常に一定方向にしか流れないんですが、お兄さまの場合その方向がなく、流されている魔力によって変化しているんです!」


「ふ~ん…」


 イマイチ意味がわからない。


「とりあえずさ、朝ごはん食べよう。」


 朝ごはんの用意を始めても、ティアは俺の観察のようなことを続けていた。


「ところで学校どうすんの?」


 この状況を打開しようとそんな平凡な質問をした。


「学校…そういえばおじさまがそんなこと言ってましたわ。確かお兄さまの学校の中等部らしいですけれど。」


「ふ~ん…。中等部なんてあったのか…」


「ところでお兄さま。学校って何をするところなんですか?」


「…は?」


 今なんて言ったんだ?


「お兄さま?」


「あ~、勉強するところらしいけど…」


 俺はまともにやってないしな…


「勉強…ですか。勉強ならおじさまから習いましたわ。」


 あの人勉強もできるのか…


「勉強ってどんな辺りまで?」


「確かフェルマーの最終定理を終えたところでした。」


(フェルマーの最終定理ってなんだ…?)


『数学の最難題クラスの証明らしいけど…』


 …学校行かなくていいだろ。



<<ピンポーン>>


 そうこうしている内に7時になっていた。


「お兄さま、私が出てきます!」


 そう言ってティアは玄関の方へ歩いていった。


 って、アイツが出たらダメだろ!


 時既に遅し。もうティアは扉を開けてしまっていた。


「純ちゃ~ん!…ってあれ?」


「どなた?」


「おまえが出たってどうしようもないだろ?」


「あっ!夜くん!」


 愛美はこちらに気付いたようでまっすぐに指差してきた。


 人を指差すなよ…


「あれ?でもまだ2週間経ってないよね?」




「…まぁ、そんなわけで。」


 起こったことをある程度話し終わる頃には学校の近くまで来ていた。もちろんアイツが人の血を飲んだことは話していない。


「ところでお兄さま、私まだこの方のことを教えてもらっていないのですが。」


「あ~、コイツはただの知り合い。」


「夜くん!知り合いなんて生ぬるいものじゃないよ!」


 全力で否定された…


「なるほど。お兄さまの知り合いなんですね。」


「だから知り合いじゃ…」


「名前は何というのです?」


 話を遮られた愛美は少し面白くなさそうな顔をした。


「愛美。」


「愛美様ですね?」


「様かぁ…。悪い気しないなぁ!」


 そういえばコイツって無駄に敬語使うよな…


「それじゃあ、あなたの名前は?」


「紅月 瑠璃るりですわ。」


 ふ~ん…。偽名だよな、たぶん。あれ?だったら俺の今の名前も偽名なのか?


「ところで瑠璃ちゃんも夜くん狙ってる?」


 狙う?俺の命狙われてるのか?


「残念ながら私はお姉さましか眼中にありませんの。お兄さまはお姉さまの次ですわ。」


「え?お姉さんってたぶん純ちゃんのことだよね?」


「そうですがなにかあります?」


「いえ、なにも!」


「ところで中等部ってどこ?」


 話しているうちに学校に着いた。


「グラウンドを挟んで高校の向かい側ですわ。」


 へぇ~。あれって中等部の建物だったんだな。


「私はここで。お兄さま、また帰りにお迎えに参ります。愛美様も。」


「うん!学校がんばってね~!」


 ティアは中等部の校舎のある方向へ歩いていった。


「ねぇ、夜くん。…夜くん?って、いない!」




「1週間ぶりに来たっていうのにいきなり追っかけられるとは…」


「やっぱりここに来たか!」


 屋上の俺の定位置のわきに隠れていたのであろう杉本が現れた。


「おまえ、一体どういうことだよ!」


「なにが?」


「とぼけるなよ!」


 何のことを言いたいんだコイツは?


「おまえ、愛美さんに加えもう1人めちゃくちゃ可愛い子連れてたじゃないかよ!」


「…言いたいことはそれだけか?」


「それ以外に何がある!」


 俺、こんなに呆れたのは初めてかも。


「あの子誰なんだよ。」

「紹介してくれよ~。」

「モテない俺に救いを~!」


 コイツ、うるさいな。



 俺は珍しくコイツの質問から逃れるためだけに今日1日の全ての授業を受けた。もちろん聞いてはいなかったが。



「紅月!明日のスポーツテストは参加しないと体育の単位足りなくなるぞ。」


 帰る間際に先生に言われた。


「先生、単位はテストで点数取ったらいいっていうはなしじゃ…」


「紅月、おまえ体育のペーパーテストなんてあると思っているのか?」


 そうだった。体育には実技テストしかなかった。


「お兄さま~、帰りましょう!」


 声の先には予想通りティアがいた。


 高校の校舎に入ってくるなよ…


「めちゃくちゃ可愛いじゃん、あの子。」

「紅月の妹か。」

「さすが兄妹だよな。」


 この雰囲気は…めんどくさいことになる前にさっさと帰った方がいいな…


「ティア、帰るぞ。」


「お兄さま、ここでは瑠璃と呼んでください。」


 まったくややこしいよな…


 俺たちは騒ぎが大きくなる前に何とか校門を出ることができ、そのまま家に向かって帰った。

ティア「お姉さまぁ~!」


純「ちょっ!引っ付いてこないで!」


ティア「少しくらいいいじゃありませんか~。」


純「キャッ!どこ触ってんのよ!」


ティア「あらあら、可愛い声をお出しになって…」


純「あんたたち見てないで助けなさいよ!」


愛「人の恋路にちょっかい出したらダメだよね~?」


杉「いやぁ~。眼福眼福~!」


純「夜!助けなさいよ!」


夜「しょうがない…。……?」


純「ちょっと、どうしたのよ!?」


ティア「魔力で壁を作っておきましたわ!」


夜「だってさ」


純「…ティア?いい加減にしとかないと…」


ティア「えへへ…。怒ったお姉さまも魅力的ですわ!」


純「…」


愛「よ、夜くん!あっちにいこ!」


夜「そ、そうだな!」


杉「2人ともこんなに素敵な光景を見ないなんてどうかしてるぜ!」


純「さて…覚悟はいい…?」

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