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血と怒り

《人物ファイル》


・名前


 紅月 純

 あかつき じゅん



・誕生日


 7月11日



・血液型


 不明



・趣味


 読書、スポーツ、音楽鑑賞、可愛い生き物の観察。



・特技


 夜を言い込め、自分の思うがままに行動させる。



・容姿


 ツヤのある雪のように真っ白なロングヘア。スラリと伸びた鼻や、夜と同じ青色に透き通った瞳。可愛いと言うよりは美しいタイプ。


T(身長) 165

(バスト) 84

(ウエスト) 55

(ヒップ) 87




 本作のもう1人の主人公。夜とは正反対の性格で、真面目で何事にも真剣に取り組む、特に夜にはとても厳しい。そして、かなりの負けず嫌い。意外にも可愛いもの、特に生き物が好きだったりする。

 この章で、自分のことを見てくれていたことに気付き、単なる暇つぶしの相手だった夜のことを意識し始める。ただ、まだ自分ではその気持ちに気付いていない。


「ほら、夜!勉強しなさい!」

「で、何をすればいいの?」


「とりあえず自分の魔力の制御だな。」


 おじさんは私の肩に手をおいてそう言った。


「今からおまえの体に魔力を流す。その魔力をコントロールできれば今回の訓練は終了だ。」


「おじさま、それなら私がやりますわ!」


「ティア…おまえに任せると色々と不安だ。」


 ティアには悪いけど彼女に任せると私の身が危なそうだし…


「それでは始めるぞ。」


 って、制御の方法とか教えてくれないの!?


「っ…!」


 体に魔力と思われる強大な力が入ってくる。その力が元々体に流れていた魔力の流れに逆らい、魔力の流れを乱す。制御出来なくなった力が体の外に放出される。


「魔力の流れを操れ。」


 操れって言われても…


 でも入ってくる魔力に流れを乱されるのなら、自分の魔力で流れを整えることだって…


 方法なんてわからなかったが体の感じるがままにやってみた。すると奇妙な感覚に襲われた。


 こんな感覚昔味わったような気がする…


 魔力の流れが安定し次々と送られてくる魔力のコントロールできてきているのを自分で感じた。


「昔の感覚が戻ってきたようだな。」


 昔って子どもの頃からこんなことしてたのね…


「次はここのようなパラレルワールドを創る訓練だ。」


 なんだかいきなり難易度上がった感じがするんだけど…


「とは言っても、パラレルワールド内でパラレルワールドを創ることはできない。」


 できないならどうしろって言うのよ!


「このパラレルワールドを消去できればその逆に創ることもできるだろう。」


 そんなものなの…?


「そんなものだ。まずは、この空間と現実世界との境界線を認識しろ。」


 認識って言われたって…


 精神を集中させて周りに気を配ってみると、学校の敷地内と外との間に妙な歪みがあることに気付いた。


「その境界線を消してしまえばこの空間は消える。」


 ちゃんとやり方ぐらい教えて…


「軽く魔力を放出するだけでよい。」


 周りを意識して、制御していた魔力を解き放った。すると、元気な部活動生の声が再び聞こえていた。


「よし。パラレルワールドについてはある程度できるようだな。ただし、他人の創ったパラレルワールドは基本的に本人以外は壊せない。そのことは覚えておけ。」


「はぁ…」


 終わったとたんにどっと疲れが出てきてその場に座り込んでしまった。


「ほら、これを飲め。」


 おじさんは私に真紅の液体が入った小瓶を渡された。


「人の血…?」


「あぁ、そうだ。」


 人の血を飲むなんて…


 いくら生きるためだとわかっていてもこれを飲む気にはなれなかった。これを飲めば私はもう愛美やクラスメイトと一緒にいることは出来なくなってしまうような気がした。


 私は渡されたその小瓶を遠くに投げ捨てようとした。しかし、おじさんが私の手を掴みそれをさせなかった。


「飲まんと夜のようになるぞ!」


 暴走…か…。暴走した方が気にしないで飲めるかな…。


「暴走して周りの人間に危害を加えたらどうするつもりだ!」


 …そっか…


「わかったら飲め!」


 それでも絶対イヤだ!


 私は持てる限りの力を振り絞りその場から走って逃げようとした。


「今を逃れたとしてもいつしか通らなければならない道だぞ!」


 そんなこと言われなくてもわかってる。わかってるけど…


「わかっているなら早く飲め。」


 それでも私はそうしようとはしなかった。


「仕方がない少々手荒だが…」


【操術・体】


 突然体が金縛りにあったかのように動かなくなった。


 どうなってるの?


 私の意に反して勝手に動く体。真紅の血の入った小瓶を再び受け取ると、そのふたを開け口の中に流し込んだ。


 え…?そんな…


 口の中に広がる生暖かい血。そんなものを少しでも美味しいと感じてしまう自分に腹が立った。そして目の前が真っ暗になっていく。正直そのまま目を覚まさなければいいのにとも思った。



 自分の部屋か…


 起きたと同時に頭の中に小さな泣き声が聞こえた。


(おまえ…)


『ほっといて…』


 驚いた。コイツが泣くなんて思ってもみなかった。


 すると、激しい怒りが腹の奥底からわいてきた。俺はアイツを探して1階のリビングへ降りた。


「お兄さま、お起きになったのですね!?」


 確かティアってヤツだったな。悪いが今は相手をしている場合じゃない。


「お兄さま、何をお探しですか?」


 何かを探しているのはすぐに気付かれた。


「アイツはどこに行った?」


「アイツ?…おじさまならつい先ほど急用だと言って出ていきましたよ。」


「…ふざけやがって!」


「どうなさったのですか、お兄さま?」


 やりたい放題やって帰りやがって…


「もしかしてお兄さまはおじさまのなさったことに憤りを感じていらっしゃるのでは?」


「当たり前だ。」


『え?』


「おじさまの行動は少々強引でしたが、お姉さまのためには最善だったと私は思っていたのですが…」


「あれが最善…?」


 その言葉を聞いたとたん、ティアにも怒りを感じた。


「あんな強引なやり方が最善?おまえもアイツのこと何にももわかってなかったんだな。」


『あんた何言って…』


 正直俺だってアイツのことはよくわからない。けど…


「おまえたちは魔族の子どもとして1から育てられてきたかもしれない。だけど、アイツや俺はその事実を少し前に聞かされたばかりなんだ。それなのにいきなり狙われてるだの魔力だの挙げ句の果てには人の血を飲め?今まで人間として生きてきた俺たちに急にバンパイアとして生きろって?俺みたいな無神経なヤツだったらよかったけど、アイツはそんなに単純なヤツじゃないんだよ!」


 目の前でそれを聞いていたティアの目からは涙がこぼれ落ちていた。


「ごめん、言い過ぎた。」


 何故こんなにもムキになっていたんだろう…


「お姉さまぁ…」


 ここは1人にしてやった方がよさそうだな…


 再び自分の部屋に戻りベッドの上に横になった。


『どうして?』


 不意にアイツが話しかけてきた。


『ねぇ、どうして私のためにあんなことを…』


(おまえのため?俺はただムカついたから言っただけなんだけど。)


『…ありがとう。』


(ん?何が?)


『まったく…よくわかってるんだか鈍感なんだか…』


(…?)


 コイツが何を言っているのか全く理解できずそのまま寝てしまった。

《人物ファイル》



・名前


 片岡 愛美

 かたおか えみ



・誕生日


 1月10日



・血液型


 A型



・趣味


 夜の追っかけ、服のコーディネート、買い物。



・特技


 五感をフルに使って夜を見つける、他人の服のコーディネート。



・容姿


 肩ほどまである黒のカールしたミディアムヘア。くりっと丸い目に栗色の瞳。カワイイ系。


T 155

B 81

W 58

H 84




 少し天然の入ったカワイイ系の女の子。自分勝手なところもあるが、持ち前の可愛さで基本的に男子からは許してもらえる。

 襲われていたところを夜に助けられた。そのときに一目惚れしてしまい、今では夜に猛烈アタックしているが、全く相手にしてもらえない。


「夜くんは絶対誰にも渡さないよ!!」

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