1/20 プールのこと
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もともと私はカナヅチだった。
しかし、ある日、仕事の都合上「どうしても泳げなければダメ! 」という場面に陥った。
「泳げなければダメ! 」は、仕事の中のほんの一場面でしかなかった。私が自分の能力を活かせるところは、別にたくさんあった。
だから、その仕事を断ってもよかった。出来る人は他にもいるのだから、誰かに任せてもよかった。
今思い返して見ても、なぜあの時「やります! 」と答えたのか、わからない。
私は貧血を持っているので、1人で泳ぐことはしてはいけない。人命救助できるレベルの人がそばにいないと、プールに入れない。
さらに、運動音痴である…などなど、壁はいくつもあった。
だが、猛特訓の末、私は25メートルをクロールで泳げるようになった。一夏かかった。
根気強く教えてくれたコーチに、心から感謝している。
クロールを習得してからは、早かった。
ドルブレ(手は平泳ぎ、足はバタフライ)やアンダーウォーター(潜水)など、出来ることが増えていった。
クイックターンをして、50メートル単位で連続で泳げるようにもなった。
水泳の専門用語も勝手に勉強して、どんどん覚えた。
仕事で必要以上に、趣味として、「なんか面白いかも! 」と思うようになってきたのだ。
水に濡れるのが大嫌いだった私だが、ゴーグルから見える美しい青の世界に、心奪われたのだ。
今は秋に発覚した病気をまだ引きずっているので、普通には泳げない。でも、フィンを履けば、浮力(泳力)が上がるので泳げる。
また、少し泳ぐだけ、とか、休憩しながら…ならば、激しい貧血にはならなそうだ。それくらいには回復している。
夫とフィン使用可の室内プールを探したら、自宅から行ける距離にあった。
次のお休みの日には、行こうねと夫と話し合っている。とても楽しみだ。
もし当日の朝、体調不良なら、日をずらして行こうねと夫が言ってくれた。夫がそう言ってくれた時、心がホワホワッとした。
「いつも優しくしてくれて、ありがとう。」
想いが大きすぎて、言葉にならなかったけど、胸の中ではそう呟いていた。
ちなみに、私が水泳を始めたのは、今から4年前、30歳の時だ。
ー新しいことを始めるのに、躊躇しなくてよかった!
キラキラ光るプールを見るたびに、そう感じる。
泳げるようになるまでは、毎日練習して、毎日泣いた。あの猛特訓の日々では、一生分のプールの水を飲んだと思う。←本当(笑)
でも、気がついたら出来ることが増えていて、その分、生きる希望も増えた。
次のお休みが、楽しみでしかたない!
ちなみに、クロールのフォームはプロから褒められました(*´꒳`*)
頑張りました!