グモールの森⑤
その後、まだ!!!と叫ぶアキを制してウサギを放し、寝るために解散となる。
僕はハンモックに乗ってみる。
ツルを編み込んだ簡単なものだが、寝転んでみると気持ちいい。
すぐに寝れそうで安心した。
「セト。全然落ち着いてないね。どうしたの?」
アキがハンモックから覗いてくる。
僕はそわそわしていたことがバレて、いたたまれない気持ちになった。
(アキが七芒星で一番強いって聞いただけなのに・・・・・なんだか落ち着かないな・・・・・)
「私が何も言わないから拗ねた?」
「・・・・・いや、そんなことじゃない・・・と思う。」
「・・・セトって人と接したことないからその感情が分かんないんだね。」
「そうなのかな?」
そう答えると、アキが苦笑いしながら頭を撫でてきた。
「セトは知識はあるけど、感情とかはまだ子供だね。アキは安心しましたよ・・・」
アキが涙を拭うように右手を動かすが、アキの頬に涙は流れていない。
僕は自分が子ども扱いされてると分かると、恥ずかしくなってアキの手を払う。
アキはその様子見てニヤニヤ笑う。
(こういうところは質が悪いんだよなあ・・・・・・)
「そんなセトに私が教えてあげましょう。その感情は''不安''と''恐怖''です。」
「不安と恐怖?」
「私という、動きや考えの分からないジョーカーが手元にいることが怖い・・・あ、自分で言ってて悲しくなってきた・・・コホン。ま、簡単に言えばそうなる。」
「そうなの?」
「多分ね。」
「たぶん・・・・・」
「あと、吸血鬼との戦争になるかもしれないっていう不安。」
僕は改めて思う。
なんで吸血鬼との戦争に巻き込まれているんだろう。
「安心しなって。どんな奴が来ても大丈夫だから!」
「本当に?」
「ホント・・・・・あ、でも私は本気出さないからな~」
「え。」
「最高位とは楽しい戦いができそう。」
ニヤリと笑うアキに僕は面食らった。
アキは自分のハンモックに戻り空を見る。
僕も釣られて空を見ると、
「わあ・・・・・」
満天の星空が見えた。
「話を戻すけど、私を怖がるのも無理ないよ。初めて包丁を握ったときと同じだ。その包丁に怯えるのが普通。その包丁を扱えるようにするには、慣れるか包丁のことをよく知らないとね。」
アキが笑う。
僕はその言葉の意味を理解して、笑う。
「これからよろしく。」
「こっちらこそ!」
握手をした。
今日、初めてアキという人物の整理がついた気がする。




